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犬は痛みに対する何かが違う!?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.56
今回は、前回に続き、犬の痛みの感じ方のお話。西川先生のパートナー・ドッグの鉄三郎が手術を受けたものの、目を見張る回復ぶりに、「一体どうなってるの?痛くないの?」と不思議に思った先生。そこから、犬の痛みの感じ方について考えていきます(編集部)
もう20年前の話です。
しつけ教室3回目のレッスンに、突然エリザベスカラーをつけて来た犬がいました。もちろん2回目のレッスンでは、つけていなかった。
話を聞くと、子宮蓄膿症が判明して一昨日緊急手術、昨日退院。エリザベスカラーをつける以外はなんの制限もなしということなので休まずにレッスンに参加した、とのことでした。
動物病院側の方針にも驚いたものですが、本人(本犬?)は痛くないのだろうかと考えさせられたものです。
痛みに関しては、痛点の数が人間の1/5とかそれよりはるかに少ないとかで痛みも少ないという説あり、痛いことは痛いがそれを周囲に悟られないようにガマンしている説ありですが、いずれも科学的な視点においての真偽が定かではなく、いかがなものか、という感じです。
あ、そうそう、今回は鉄三郎(以下・鉄)の話の続きでしたね。
手術は無事終了、翌日会いに
手術は無事終了。現在の状況は安定している、ということを伝えられました。
すでに動物病院(以下・病院)はクローズの時間。面会となるとスタッフは私が行くまで待っていなくてはならないわけで、その日病院へと出向くことは見合わせることにしました。
翌日、鉄は酸素室(ケージ)の中で寝ていました。
私に気づくと起き上がり、オスワリの姿勢に。ただ目に力はなく、だるいらしく、しばらくすると横たわる姿勢へと戻りました。
とはいえ、人間なら開胸手術の翌日ベッドの上で身を起こしたようなもの。とてもとても、人間であればありえない。
翌々日はケージから出て来てしっぽをフリフリ
昨日に比べると目力がありました。
ケージから出してもいいですよ、ということで扉を開けると、鉄は歩いて出て来ました。手を出すと、その手にほっぺたをすりすり押しつけて来ます。
しっぽもフリフリしています。
人間に例えるとまたかと言われそうですが、人間なら開胸手術の翌々日に点滴のスタンドをガラガラ移動させながら病室を歩いているようなもの。
絶対にありえない。
いやぁ、ほんとにどうなっているんですかね、
犬の痛みに関する何かってのは。
術後5日で退院
獣医師から伝えられた注意事項は、抜糸の日までの抗生剤の投与、ほかは特になしでした。
家から仕事場(スクール)への行き帰りは、パートナー・ドッグたちと歩くのが常です。獣医師からはお散歩もOKということでしたので、その日の帰りは早速、鉄も歩いて、ということに。退院翌日は、朝からいつも通り。
抜糸はまだですが、開胸器で肋骨と肋骨の間を開き腫瘍を摘出、っていう手術の6日後に見事社会復帰を果たしたということです。
いやぁ、おそるべし、犬です。
まぁ、以上の出来事で改めて、犬は痛みに対する何かが違うことを考えさせられてしまった、というわけです。
ちなみに、痛点の数が少ない説、ガマンしている説がいかがなのものか、という理由はですね、例えば、かつて鉄が前足の指をフェンスの間に挟んだときのこと。そのときはこの世の終わりってぐらいにギャンギャン騒いでましたからね。
間違って足やしっぽを踏むと、鉄に限らず犬はギャインと叫びもします。
いずれもそんな大げさなって感じで、痛さをアピールする。
いやぁ、ほんとどうなってるんですかね。犬は痛みに対する何か、ってやつは。
写真/Can!Do!PetDogSchool提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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