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不況だと犬を飼う人が増える理由|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.59
コロナ禍で犬を飼う人が増えているようです。長年ペット業界を見てきた西川先生によると、「ペットビジネスは不況に強い」のだそう。不況なのになぜ? その理由を紐解きます(編集部)
店を構える前は趣味と実益を兼ねたような感じで、ブリーディング(ブリーダー)を副業的に数年行っていました。
その頃の犬の価値は、血統書がどれだけ赤いか、で決まっていました。
血統書が赤いというのは、両親、その両親、またその両親という血筋の中で、ショーでタイトルを取った犬が多いことを示しているのです。
当然ショーにもよく出向いていました。
その頃の記憶はまだ子どもだったのでうっすらとしかありませんが、まぁ何を言いたいかというと、そんな時代からペットビジネスを傍らで見ていたので、私、自分で言うのもなんですが、ペットビジネスウォッチャーとしてはかなり年季が入っていますよ、ということです。
今回は、そんなペットビジネスウォッチャーからのつぶやきを少々……。
不況に強い、ペットビジネス
ペットビジネス全体も右肩上がりで伸びていました。
もちろん父の仕事も、トリミングサービスを他の百貨店に先駆けて始めるなど、売上を順調に伸ばしていました。
しかし高度成長期といわれた右肩上がりの時代は、1971年のドル・ショック、1973年のオイル・ショックを経て、終止符を打つ形となります。
ドル・ショック、オイル・ショックともに、世の中の景気は大きく落ち込みました。ただ、父の仕事が大きく落ち込んだ印象は受けませんでした。
その頃は、トリミングを必要とするような犬を飼う層、ましてや毎月定期的に百貨店でトリミングを行う客層は、ある程度お金に余裕があるような人たちだった。
その後第二次オイル・ショックもありますが、そこでも大きな影響を受けなかった。それも、そうした客層が多かったからだと思います。
産業として注目され
そうしたペットビジネスの特徴に、世の中の関心が向かうのは必然です。
かつてペットビジネスは、世の中全体からいえばスモールビジネスで、いわゆる有名企業が手を出すようなものではなかった。
しかし、全体として伸びている、不況のときにも強い。
1980年代に入ると、誰もが知っている企業が、ペット産業に関わり始めていくのです。業界全体の構造も大きく変化していきます(街の小さなペットショップは淘汰されていくなど)。
そして時代はバブルへと向かいます
父が亡くなった後、私がペットショップを手伝い始めたのは、1993年です。いわゆるバブル経済は1991年までとされていますので、まさにバブル崩壊の渦中。そうした中でペットビジネスを本業としていったのですが、ここでも不景気感を感じることはありませんでした。
海外旅行とペットの関係
海外旅行です。
日本からの海外渡航者数が1,000万人を超えたのは、1990年。
そして、2000年には1,780万人へと。
バブル崩壊後も、その人気が高かったことは数字を見ればわかります。
そんな時期に私はペットショップ経営に携わっていたわけですが、あるときある関係に気づきました。
それは、ボーナスが増えるなどの理由で海外旅行熱がそれまで以上に高まるとペットの注目度は下がる。中でも高額な犬の販売は鈍化する、ということ。
海外旅行に目が向いていれば、お金は海外旅行に使うことを考える。犬を飼い始めれば旅行には行きにくくなる。
逆もしかり。海外に目が向かないときには、ペットへの注目度は上がる。とくに犬の販売は伸びる。そういうことなのです。
ペットビジネスウォッチャー歴50年超の私としては、このコロナ禍、ワイドショーなどのペットの映像コーナーが増えているのも、ペット関連の番組が増えるのも、犬の販売が好調なのもうなずける、ということなのです。
(リーマンショック以降のお話はまた機会があれば……です)
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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