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犬に手からゴハンを食べさせると、食器から食べなくなるってホント?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.60
オスワリやマッテなどの練習をたくさんする場合、おやつを使うとカロリーオーバーになってしまうため、西川先生はごほうびに主食のドライフードを使うようすすめています。主食のフードをごほうびに回し、必要なトレーニングを十分に行うと、主食をフードボウルで与える必要がなくなります。そんなときによく出る質問が「手からフードを与えてばかりいると、食器で食べなくなるのでは?」ということ。本当にそうなってしまうのでしょうか?(編集部)
普通のドライフードを、ごほうびとして使用します。
すでにコラムで何度も取り上げていることですが、結果的にいいことが起きた行動を犬に限らず動物はまたやろうとし、それを繰り返すことで習慣化していく。
トレーニングの基本は、同じ行動、パターンを繰り返すこと。すなわち、繰り返しが重要。おやつをいいこととして使用してしまうと何が起こるか?
繰り返しが多くなればなるほど、おやつをたくさんあげることになる。
結果、栄養のバランスが崩れる、主食のドライフードを食べない、肥満になる、といったことにもなる。
そこで、「ドライフードをいいこととして用いる」。トレーニングを十分に行うと、1日のフードすべてを手からあげることになるかもしれないが、それでかまわない。逆に、食器であげるほどのフードが残るということは、トレーニングが足りていない、そう考えるべき。
そう日頃指導しているわけですが、先日、生徒さんからとある質問がありました。
手からあげていると入院時困る
はたして、手からあげていると、本当に食器からフードを食べなくなるのでしょうか?
確かにその獣医さんはそうした犬に、過去遭遇しているのでしょう。
でも、それはトレーニングを通じて手からあげていたからではなく、食器で食べないから手からあげていたから、です。
「食器のフードを無視する」。すると「飼い主が手から与える」。手からあげることは、かまってあげること、すなわち犬にとっていいことが起きているということ。「いいことが起きることを習慣化する」。
結果、「食器からはフードを食べなくなる」。
フードを食べないのでトッピングをする、するとトッピングをしないと食べなくなる、というのと理屈は同じということです。
「食べないから手からあげる」は甘やかし
こうも言えます。目の前の食器にあるフードを食べないからといって、トッピングをする、手からあげるという行為、それは甘やかしだと。
人間の子どもであれば、「こんなのいらない」って出したものを食べないからと、食べたがるものを用意する、あるいは「あ〜んして」といって食べ物を口に入れてあげる、そうした行為をいつまでも(大人になっても)続けることと同じ、ということです。
犬を甘やかすことのない、適切なしつけのトレーニングを行っていれば、先の獣医師が指摘したようなことは、起き得ないのです。
実際、私の生徒さんで入院時にフードを食器から食べなくて困ったという飼い主はいません。
水飲みにはステンレス食器を使用する
その子は、フードはすべてトレーニングを通じて手から、水は給水ボトルであげていました。
教室のカリキュラムには、フードを食器に入れてある行動を教える(結果そのフードを与える)項目があります。
その子がその食器のフードを食べようとしたときです、鑑札が食器に当たったのです。教室の食器はステンレス製のものを使用しています。
金属と金属が当たる音。犬が嫌がる音のひとつです。
その子は、食器から身を引いたのです。もちろんすぐに慣れ、フードを食器から食べることはできました。
この経験から今では、生徒さんには万が一のことも考えて、水飲みにはステンレスの食器(とくに動物病院の食器はほとんどがステンレス製なので)を使用するようアドバイスしています。
以上、手からフードをあげていると食器から食べなくなる、とお考えの獣医さん、それ違うって、わかっていただけましたか?
写真/Can!Do!PetDogSchool提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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