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子犬期によくある悩み|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.58
今回は、食フンに関するお話。西川先生によると、①飼い始めの子犬、②サークルをハウスとして使っている、この両方に当てはまる子犬の多くが食フンをするのだそう。なぜその条件で食フンが起こりやすいのでしょうか? 先生がその理由を解き明かし、改善策をアドバイスします(編集部)
と前回のコラムで記したところ、食フンはどうしたらいいか?という質問をいただきました。
質問者は当コラムの編集担当。「コロナ禍で犬を飼い始めている人が増えていて、困っている方がいるかと思って」だそうです。
食フンとは、ウンチを食べてしまう行為のこと。
遊びたい盛りで成長著しい生後3カ月齢前後から始まることが多く、ウンチがすぐに片づけられない状況にある「サークルの中にトイレトレーとベッドを配置する」、という飼育環境で起きやすい。
成長するに従い自然とやらなくなる犬もいますが、そうでない犬もいる。
自然とやらなくなるか、習慣化するかは、運任せのようなもので、習慣化してしまった日には、ウンチを食べたその口で飼い主の口まわりを舐めにきたりする、なんてことも。
ここは運任せではなく、積極的に習慣化させない努力をいたしましょう。
そもそもなぜにウンチを口に
こうした要因の場合は、子犬に限らず症状が見られるわけですが、予防医療が十分になされ、ドッグフードも進化した現在ではそうした要因は多くありません。
とくに先に挙げた遊びたい盛りで成長著しい、子犬の時期から始まるのは、別の理由によります。
かつてショーウインドーの中にいる子犬を観察したことがあります。その子犬は、以下のような流れで食フンを始めていました。
①片づけていないウンチがそばにある→②そのウンチで遊び始める→③そのウンチを口にする(犬にとっては噛むことが遊びですから)→④そのウンチを食べてしまう……
犬は体験を学習し、習慣化していく。早い話が、食べられる状況にあるから、食べるようになる。そういうことなのです。
体験できなければ学習できない
重要なのは、犬にウンチを食べるような機会を与えないこと。体験できなければ、確実に習慣化は防げる、改善できる。
そのためには、犬の排便時にいつも立ち会える飼育環境を用意することです。
サークル内にトイレとベッドを配置するという飼育環境ではなく、当コラムVol.53〜54およびVol.57に記した、ハウスをクレート(プラスチック製キャリー)、トイレをサークルで囲う環境設定に変えること。
そして、トイレでオシッコとウンチをしたあとには、必ずフードを与える。
そうした体験を重ねることで、やがて犬は排泄のあとウンチを口にすることなく「ウンチしました」と飼い主のもとにやってくるようになるのです。
鈴をつける、リードをつける
そうした犬の場合は、目を離さないこと以外に、犬がトイレに行ったことがわかるように鈴を犬につける、といったアドバイスをすることもあります。
ウンチの後にフードをあげようにも、すぐに口にしてしまう。そう訴える飼い主さんもいます。そうした犬の場合は、リビング内でも犬にリードをつけるようにアドバイスします。
ウンチをし始めたら犬の口が地面に届かない位置でリードを持つ。そうすれば、ウンチを口にすることが物理的に防げ、飼い主からフードを与えることができるのです。
ウンチをまずい味にするという、食フン防止のサプリメントを試すことをアドバイスすることもあります。ただそれのみでの確実性は高くありません。他の改善策と合わせるこが不可欠といえます。
さてさて、つらつらと話を勧めてきましたが、編集担当さん、こんなところでよろしいですかね、食フンに関しては……。
写真/Can!Do!PetDogSchool提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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