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老犬の介護の仕方と心構え~食事、排泄、散歩、夜鳴き、寝たきり、介護施設、介護疲れ

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可愛い愛犬も、いつかは老いて介護を必要とする時期がきます。老犬の介護では、トイレを失敗したり、夜鳴きをしたりと、飼い主を悩ませることも。愛犬の補助はもちろんですが、飼い主がストレスなく介護することも大切なポイントです。愛犬が歳を取る前に、早めに考えて準備をしておきたいですね。

1. 犬の介護の基本の考え方とは?

老犬介護の心の準備

日本の飼い犬の寿命は年々長くなっています。飼い主さんたちの「愛犬と出来るだけ長く一緒に過ごしたい」、「健康で元気に暮らしてほしい」という気持ちと日々の努力が、このような結果につながっていることと思います。これから先、愛犬と末永く楽しく過ごすためには、病気の予防や治療と同じように、愛犬が高齢になったときの介護についても、早めに考えて準備をしておきたいですね。

いつまでもかわいい愛犬ですが、高齢になって体が変化すると、行動にも変化が出てきます。飼い主さんは「どうして、ずっと出来ていた事が出来なくなったのか?」と不思議に思ったり、不安に感じたりするかもしれません。しかし、「老犬は、出来ないことが増えてくるのが当たり前」なのです。犬が年を取ると、どのようなことが出来なくなってくるかを知って、心の準備をしておけば、愛犬の介護に余裕をもって対応することが出来るのではないでしょうか。

介護は犬が出来なくなった事を手助けすること

愛犬の行動で、今までは出来ていたのに出来なくなってきた事を見つけたら、まずは、体に異変がないか、痛がっている部分はないかなどを確認しましょう。病院で治療して違和感や痛みがなくなれば、普通の生活に戻れることもあります。ですが、年をとったために出来なくなったとわかったら、手助けしてあげることを考えましょう。犬が出来なくなった事を手助けすることが介護です。

介護の形は一つではありません。これが絶対に正しいというものもありません。愛犬の状態や好み、飼い主さんの生活スタイルに合った方法を選びましょう。介護が必要となった犬と末永く快適な暮らしを続けるためには、無理せずに出来そうなことを暮らしに取り入れることが大切です。

最近は犬と一緒に出掛けられる場所もたくさん増えてきました。自分の飼っている犬といろいろな所へ行き、楽しい時間を共に過ごせるようになるためにも、トイレのしつけは大事なポイントになりますね。

2. 老犬の食事の介護の仕方

食事介護の重要性

老犬は元気そうに見えても、噛む力が弱くなったり、食べる姿勢が取りづらくなることがあります。また、食が細くなり消化能力も低下しがちです。そのままにしておくと必要な栄養素が取れなくなり、筋肉量も落ち、免疫力の低下や貧血を招くこともあります。

次のような食べる力が弱くなった様子が見られたら、しっかり栄養を消化吸収できるように手助けすることを考えましょう。

食が細くなったら

完食することが少なくなった、ガツガツ食べなくなった、といった様子が見られたら、小分けにして与えましょう。1日の量は変えずに、1回に与える量を減らして回数を増やし、様子を見ましょう。それでも残す量が目立つようなら、フードをふやかす、少し温めて香りをたてるなど食べやすいように工夫したり、消化吸収の良いフードに変更しましょう。

食べる姿勢が取りづらそう

首を下げて食べるのが負担になっているようでしたら、犬が食べやすい高さに食器を置いてあげましょう。収納用ボックスをひっくりかえしたり、雑誌を積み重ねたりと、身近なものを利用して愛犬が好む高さを見つけてあげましょう。足腰が弱って踏ん張りきれなかったり、立てなくなってしまうと、食べる気はあってもなかなか食べられず、徐々に食欲がなくなってきてしまうことがあります。食事台の前に滑り止めのマットを敷いたり、食べている間、飼い主さんが後ろから支えてあげましょう。

噛む力が弱くなってきた

いつものフードを噛みにくそうにしていたり、口からこぼすようになったら、噛む力が弱くなっているかもしれません。まずはフードをふやかしてみましょう。それでも食べにくそうなら、ふやかしたフードをすりつぶしたり、ペースト状の介護食に切り替えるなどの工夫をしましょう。

もし愛犬が何も口にしなくなったら

口当たりが良い物や大好きな物を与えて食欲をわかせてあげても良いでしょう。しかし、健康を害する物、病気を悪化させる物など、愛犬にとって与えてはいけない食べ物があるかもしれません。必ずかかりつけの獣医に確認してから与えましょう。

3. 老犬の排泄の介護の仕方

排泄の介護をするには?

老犬になると徐々に筋肉が衰えてきます。特に腰や後ろ足の筋肉が衰えやすく、中腰の姿勢がうまく取れなくなって、上手に排泄が出来なくなることがあります。思い通りに排泄出来ないことは、犬にとってストレスになったり、皮膚病や、膀胱炎などの病気を起こす可能性があります。また、排泄の汚れやニオイは飼い主さんの悩みになることもあるでしょう。排泄に関しては、愛犬の病気を予防しつつ、飼い主さんの快適さも守るような介護の方法を考えましょう。また、排尿や排便の手助けは、犬の状態に合わせた方法でしましょう。

ふらついたり、排泄の姿勢がうまく取れなくなったら

足がふらつくと、トイレに移動する間、堪えきれずにおもらしをしてしまうことがあります。いつも休んでいる場所や寝床の近くに、トイレを移動してあげましょう。また、ふらつきながらも自由に行動している場合は、複数のトイレを設置したり、サークルなどで区切った中に愛犬の居場所を作り、ペットシートを敷き詰めてどこに排泄しても問題がないように用意しましょう。

トイレの中で足が震えたり、滑ってしまう犬は、腰を支えて排泄の姿勢の補助をしてあげましょう。このような場合、足まわりやお腹が汚れてしまうことも多いので、こまめに拭いて清潔にすることも大切です。ペット用ウェットティッシュや水がいらないドライシャンプーなどで拭き取ってあげると良いでしょう。

失禁が続くようになったら

おもらしが目立つ犬や、長時間留守番させる時は、おむつを使用するのも良いでしょう。犬専用の紙おむつもありますし、人の赤ちゃん用の紙おむつを代用することも出来ます。しっぽを出す穴をあけ、テープが背側にくるように作ります。おむつを付けていると蒸れやすいので、こまめに取り換えましょう。

寝たきりになったら

寝床でそそうをしても、オシッコやウンチで犬の体が汚れないように、手早く掃除出来るようにしておきましょう。寝床のマットの上に防水加工のシートやビニールシートを重ね、その上にトイレシーツを敷きます。体の下に大きいペットシート、さらに腰の辺りに小さめのペットシートを敷いておくと、交換の際に便利です。必要に応じておむつを利用しても良いでしょう。排泄後は、ペット用ウェットティッシュやドライシャンプーを使って体をきれいに拭き、シートやおむつを交換してあげましょう。

自力で排尿や排便が出来なくなったら

寝たきりになり、お尻周りの筋肉が弱まると、自力で排泄しにくくなる犬もいます。お腹をさすったり、お尻を刺激して排泄を促しましょう。

自力で排尿するのが難しくなったら、下腹部をさすって刺激します。中々出ないときは、下腹部の膀胱のあるところをやさしく両手で挟んでおしり側に押し、圧迫します。おしっこは出来るだけ全て出し切るようにしましょう。おしっこが膀胱に残っていると、細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎などの病気になってしまうことがあります。オスは前方にメスは後方におしっこが出てきます。ペットシートを敷く位置に気を付けて、犬の体を汚さないようにしましょう。

自力で排便するのが難しくなったら、肛門付近の筋肉を刺激します。しっぽを持ち上げて肛門を囲む筋肉を手で軽くもみます。肛門の方に押し出すようにもみほぐすと出やすくなります。

自力で排泄が出来なくなった犬の介護は、初めのうちは難しいので動物病院で指導してもらうと良いでしょう。病院と相談しながら無理のない範囲で行うようにしてくださいね。

排泄の介護には、排尿や排便の手助けの他にも大切なことがあります。愛犬も飼い主さんも気持ちよく生活するためには、犬の体や室内を清潔に保つようにしましょう。

愛犬の体を清潔に保つために

寝たきりや立てない犬は、排泄するたびにお尻周りが汚れやすく、清潔に保つ工夫が必要になってくることがあります。肛門周りの毛をカットしておけば、ウンチの汚れが拭き取りやすくなります。しっぽを持ち上げて、バリカンで肛門付近の毛を内側から外側に向かって、肛門がはっきり見えるくらいまで毛を短くしておきましょう。

ふさふさしたしっぽの毛を束ねておけば、排尿や排便を手助けした時のしっぽの毛先の汚れを防ぐことが出来ます。包帯をしっぽのつけ根に一巻きし、先端に向かってらせん状に巻きます。きつく締め付けないように気を付けましょう。

排尿や排便後に汚れたら、その都度かたく絞った濡れタオルやペット用ウェットティッシュで拭き取りましょう。場合によってはシャンプーをしなければならないほど汚れてしまうかもしれません。体力も落ち疲れやすくなっているため手短に済ませるように考えてください。水がいらないドライシャンプーを利用する、部分浴だけにする、タオルは吸水性の高いものを使用するなどの工夫をしましょう。

家の中を清潔に保つために

老犬は、思わぬ場所でそそうしてしまうことが増えてくることも考えられます。手早く室内をきれいにする工夫を考えておけば、飼い主さんのストレスを減らせそうです。

例えば、フローリングでそそうをしていたら、雑巾やタオルで拭く前に、ペットシーツでオシッコなどの水分を十分に吸収させてしまいましょう。その後に洗剤を使って、タオルや雑巾で拭けば手間がかかりません。カーペットなら、ペットシーツで水分を吸い取り、タオルなどで汚れを拭きとった後に重曹をまきます。1~2時間後に掃除機で重曹を吸い取れば、ニオイも軽減されるでしょう。

4. 犬の散歩の介護の仕方

散歩の重要性

散歩は老犬にとっても大切です。毎日の適度な散歩は筋肉を維持し、健康で長生き出来る体を作ります。また、好きなことが出来る場所や、楽しい場所を歩けば、脳が活性されて若さを保つ良い刺激にもなります。愛犬の歩く力が弱くなっても手で支えたり、歩行補助器具などを使って手助けして、体力に合わせた散歩をできるだけ続けられるようにしましょう。愛犬の前足に問題がない場合は、次のような介護を試してみましょう。

歩くときによろけるようになったら

愛犬のペースに合わせて歩くようにしましょう。よろけてもすぐに抱っこしてしまわず、一休みさせて、再び歩きだす事ができるようにします。尻もちをついてしまったら、犬の後ろに回り込み両手で腰を支えて上に持ち上げます。後ろ足の裏が地面に着くように下して歩く様子を見ます。よろける様子が続くなら、腰を支えて歩きやすいようにサポートしましょう。

後ろ足に力が入らなくなったら

補助器具やタオルを使って支えてあげましょう。タオルは犬のサイズに合わせて用意します。小型犬ならフェイスタオル、大型犬ならバスタオルが良いでしょう。タオルをお腹の下に通して腰を持ち上げ、後ろ足が地面につくように持ち上げます。大型犬やタオルが前にずれてしまう犬は、タオルに2つ穴をあけて足を通すとよいでしょう。犬側の手でタオルを束ねて持ち、もう片方の手でリードを短く持ちましょう。犬が前足を使って一歩進んだら、後ろ足を浮かせ気味にして前足の動きに合わせてついていきましょう。

補助器具には、歩行補助ハーネスや車椅子があります。歩行補助ハーネスはタオルと同じように後ろ足を支えて、犬のペースに合わせて飼い主さんが一緒に歩く場合に使いましょう。

車椅子は前足が元気に動かせて、犬が自由に自分の力で動きたがる場合には使用してみても良いでしょう。完全に歩けなくなる前から使用すれば、リハビリの効果も期待出来そうです。

前足も後ろ足も力が入らなくなった場合には次のような方法があります。

前足後ろ足ともに支えられる歩行補助器具の利用

前足と後ろ足をそれぞれベルトで支えて、4本の脚がそれぞれ地面につくように犬の全身を持ち上げます。犬が足を動かしたら、そのペースに合わせて、犬の体を前方に移動させます。無理せず短い距離をゆっくり歩かせるようにしましょう。

カートの利用

支えて歩くのが難しいようなら、犬用カートなどに乗せて、好きな場所まで連れていってあげるのも良いでしょう。そこで少し時間を過ごして戻っても、犬にとっては楽しいお散歩になるでしょう。

老犬は歩く力だけではなく、聴力や視力も衰えて、急な物音に驚いたり障害物につまずきやすくなることがあります。もし、愛犬にこのような様子が見られたら、散歩を安心して楽しめるように、静かで障害物の少ない道を選んであげましょう。

5.犬の夜鳴きの対応の仕方

夜鳴きの対応はどうすればいいの?

老犬を介護する上で、大きな問題の一つとなるのが夜鳴きです。夜遅く、または、明け方に大きな声で鳴き続ける場合もあるので、飼い主さんの睡眠が妨げられたり、近所迷惑になったりと、飼い主にとって辛い悩みになることがあります。飼い主さんだけではなく、犬にとっても夜鳴きはストレスを感じたり、体力を消耗したりと辛いものです。完全にやめさせることは難しいですが、少しでも減らせるように対応を考えましょう。

老犬が夜鳴きをする原因はいくつか考えられます。愛犬の様子を観察して原因が分かったら、それに合わせた対応しましょう。

痛みによる夜鳴き

病気やケガによって痛みがあると夜鳴きをすることがあります。元気や食欲に変化はないか、触ると痛がるところはないか、など愛犬の状態を確認しましょう。異変が見つかったらすぐに受診しましょう。

不安による夜鳴き

視力や聴力が衰えた老犬は、大好きな飼い主さんの居場所が分からなかったり、飼い主さんの声が聞こえなかったりして不安になると、夜鳴きをすることがあります。愛犬の普段の居場所や寝床などを飼い主のそばにするなどして、出来るだけ不安がらないようにしてあげましょう。

要求による夜鳴き

お腹が空いた、トイレに行きたい、寝床が暑いなど、今までは我慢出来ていたことが老犬になると我慢出来なくなり、夜鳴きをすることがあります。トイレの設置場所や食事の時間などを工夫して、ある程度愛犬の要求に応えてあげましょう。ですが、要求によっては、続けることが難しかったり、飼い主さんの負担になるものもあるでしょう。そのような要求は、我慢させなくてはならない場合もあります。

認知症による夜鳴き

認知症による夜鳴きは、他の認知症の症状と共に現れることが多いでしょう。認知症は、
・意味もなく単調な声で鳴く
・昼夜逆転してしまう(昼に寝て夜は起きている)
・狭いところにもぐりこみ出られなくなる
・同じ方向ばかりに旋回する
・名前を呼ばれても無反応
・食欲旺盛でよく食べるのに痩せてくる
・トイレの失敗が多くなる
といった症状が1つ、または複数で見られます。

夜鳴きと一緒にこのような症状が見られるようでしたら、認知症による夜鳴きが疑われます。犬の認知症に有効な治療薬は、残念ながら今のところ存在しません。しかし夜鳴きがひどい場合、動物病院では鎮静剤や睡眠導入剤などを処方したり、認知症の症状の改善を期待して、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)の入ったサプリメントやフードを利用することがあります。飼い主さんの生活を守り愛犬の健康を維持するためにも、認知症を疑う様子が愛犬に見られたら早めに動物病院に相談しましょう。

認知症を軽減させる工夫とは?

日常生活の中でも認知症の症状を軽減させる工夫をしてみましょう。夜鳴きを減らすことが出来るかもしれません。

・日光浴をさせる
日光浴は体内時計をリセットさせる効果があります。その結果脳に良い刺激を与えることが出来ると言われています。

・昼寝をさせないようにする
昼夜逆転してしまった場合、なるべく昼間に起こしておくことが大切です。こまめに声をかけてあげましょう。動ける犬には、おもちゃで遊ぶなどの刺激を与えてあげましょう。

・積極的に運動をさせる
筋肉の衰えや寝たきりを防ぐことは、認知症の進行防止にもつながります。
無理のない範囲でお散歩に出かけたり、おもちゃで遊んであげましょう。また、外の音を聞いたり、室内と違うニオイを嗅ぐのもとても良い刺激になります。

・こまめにコミュニケーションをとる
マッサージやボディ・ケアなどのスキンシップで、皮膚や手足に刺激を与えることが脳の活性化につながると言われています。あまり動けない犬にとっては、優しく名前を呼ぶ、ほめるなどの声かけも良い刺激になります。このようにコミュニケーションをこまめにとると愛犬に安心感を与えることも出来ます。

以上のことを全て毎日実行しようとすると、飼い主さんにはかなりの負担になり、イライラやストレスが溜まってくるかもしれません。そうした飼い主さんの状態は愛犬に伝わり、かえって落ち着きをなくしてしまうかもしれません。ストレスを出来るだけ溜めないように、まずは無理せずにできる事から始めてみましょう。

この記事は、いぬのきもち相談室の獣医師が執筆しています。

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