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【獣医師監修】老犬介護のポイントとは?トイレや夜鳴きの対策方法も

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犬も長く生きると、介護を必要とするときが訪れます。今回は、老犬の介護の基本的な考え方や、食事、散歩、トイレの介護方法について解説します。また、夜鳴きや認知症などの困りごとの対策についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。


目次

老犬介護の基本の考え方とは?

老犬の食事、どうサポートすればいい?

老犬の散歩、どうサポートすればいい?

困りごと①老犬の排泄の介護について

困りごと②老犬の夜鳴きについて

困りごと③犬の認知症について

愛犬と末永く楽しく過ごすために

老犬介護の基本の考え方とは?

なでられる犬
getty

老犬介護の心の準備をする

犬は高齢になると、体だけではなく行動にも変化が出てきます。そんなとき、飼い主さんは「どうして今まで出来ていたことが出来なくなったのだろう?」と不思議に思ったり、不安に感じたりするかもしれません。しかし、老犬は“出来ないことが増えてくるのが当たり前”なのです。
犬が年を取るとどのようなことが出来なくなるのかを知り、心の準備をしておけば、余裕をもって愛犬の介護に対応出来るのではないでしょうか。

介護とは、犬が出来なくなったことを手助けすること

愛犬の行動の中で、今までは出来ていたのに出来なくなってきたことを見つけたら、まずは、体に異変がないか、痛がっている部分はないかなどを確認しましょう。動物病院で治療して違和感や痛みがなくなれば、これまでの生活に戻れるかもしれません。

しかし、それが加齢によるものだった場合は、飼い主さんがこの先、手助けする必要があるでしょう。とはいえ、老犬介護の形はさまざまです。愛犬の状態や好み、飼い主さんの生活スタイルなどに合った方法を見つけ、無理せずに取り入れていくことが大切ですよ。

ここからは、老犬介護のポイントを見ていきましょう。

老犬の食事、どうサポートすればいい?

エサと犬
getty

食事介護の重要性

老犬になると、元気そうに見えても、噛む力が弱くなったり、食べる姿勢が取りづらくなったりすることがあります。また、食が細くなり、消化機能も衰えがちです。そのままにしておくと必要な栄養素が取れず、筋肉量も落ち、免疫力の低下や貧血を招くことも。
愛犬の食べる力が弱くなった様子が見られたら、しっかりと栄養を消化吸収できるように手助けすることを考えましょう。

食が細くなったときは

完食することが少なくなった、ガツガツ食べなくなった、といった様子が見られたら、まずは小分けにして与えてみましょう 。1日の食事の量は変えずに、1回に与える量を減らして食事の 回数を増やして様子を見ます。

それでも残す量が目立つようなら、フードをふやかす、少し温めて香りをたてるなどして食べやすいように工夫したり、消化吸収の良いフードに変更したりしてみましょう。

食べる姿勢が取りづらそうなら

首を下げて食べる姿勢が負担になっているようなら、犬が食べやすい高さに食器を置いてあげるとよいでしょう。
高さのあるフードボウルや専用の台を購入する方法もありますが、収納用ボックスをひっくり返したり、雑誌を積み重ねたりと、身近なものを利用して愛犬が好む高さに合わせてあげるのでもOKです。

また、足腰が弱って踏ん張れなかったり、立てなくなってしまったりすると、食べる気はあってもなかなか食べられず、徐々に食欲がなくなってしまうこともあるので注意してください。
その場合は、食事台の前に滑り止めのマットを敷いたり、食べている間飼い主さんが後ろから支えてあげたりしましょう。

噛む力が弱くなってきたら

いつものフードを噛みにくそうにしていたり、口からこぼすようになったりという様子がみられたら、噛む力が弱くなっているのかもしれません。まずは、フードをふやかしてみましょう。
それでも食べにくそうなら、ふやかしたフードをすりつぶしたり、ペースト状の介護食に切り替えたりするなどの工夫をしてみてください。

愛犬が何も口にしなくなったときは

口当たりが良い物や愛犬が大好きな物を与えて、食欲をわかせてあげてもよいでしょう。
しかし、健康を害する物や病気を悪化させる物など、与えてはいけない食べ物があるかもしれません。必ずかかりつけの獣医師に確認してから与えましょう。

老犬の散歩、どうサポートすればいい?

リードと犬
getty

散歩の重要性

散歩は老犬にとっても大切です。毎日の適度な散歩をすることによって筋力を維持し、健康で長生き出来る体を作ります。また、好きなことが出来る場所や楽しい場所を歩けば、脳が活性化されてよい刺激にもなるでしょう。

そのため、愛犬の歩く力が弱くなっても、飼い主さんが手で支えてあげたり、歩行補助器具などを使ったりしてサポートし、愛犬の体力に合った散歩をなるべく続けられるように工夫することがポイントです。

ただし、老犬は歩く力だけではなく、聴力や視力も衰えて急な物音に驚いたり障害物につまずきやすくなったりすることがあります。もし、愛犬にこのような様子が見られたら、散歩を安心して楽しめるように、静かで障害物の少ない道を選んであげましょう。

愛犬の前足に問題がない場合

◆歩くときによろけるようになったら


歩くときによろけるようになったら、愛犬のペースに合わせて歩くようにしましょう。よろけてもすぐに抱っこせず、ひと休みさせて再び歩きだすようにします。もし尻もちをついてしまったら、まずは犬の後ろに回り込み、両手で腰を支えて上に持ち上げてください。
次に後ろ足の裏が地面に着くようにおろし、歩けるか様子を見ます。よろける様子が続いていたら、腰を支えて歩きやすいようにサポートしてあげましょう。

◆後ろ足に力が入らなくなったら


後ろ足に力が入らない場合は、補助器具やタオルを使って支えてあげます。タオルの大きさは小型犬ならフェイスタオル、大型犬ならバスタオルがよいでしょう。大型犬やタオルが前にずれてしまう犬は、タオルに2つ穴をあけて足を通すようにすると、使いやすくなるかもしれません。

タオルを犬のお腹の下に通したら、犬側の手でタオルを束ねて持ち腰を持ち上げます。このとき、後ろ足が地面につくように持ち上げるのがポイント。そして、もう片方の手でリードを短く持ってあげます。犬が前足を使って一歩進んだら、後ろ足を浮かせ気味にし、前足の動きに合わせてついていきましょう。

犬の歩行補助器具には、歩行補助ハーネスや車椅子があります。歩行補助ハーネスはタオルと同じように後ろ足を支えて、犬のペースに合わせて飼い主さんが一緒に歩く場合に使います。
一方、車椅子は前足が元気に動かせて、犬が自由に自分の力で動きたがる場合に使用してみると良いでしょう。完全に歩けなくなる前から使用すれば、リハビリの効果も期待出来そうです。

前足も後ろ足も力が入らなくなった場合

◆前足・後ろ足ともに支えられる歩行補助器具を使う


前足と後ろ足をそれぞれベルトで支え、4本の足が地面につくように犬の全身を持ち上げます。犬が足を動かしたら、そのペースに合わせて、犬の体を前方に移動させましょう。無理せず短い距離をゆっくり歩かせるようにしてください。

◆犬用カートの利用


支えて歩くのが難しいようなら、犬用カートなどに乗せて、好きな場所まで連れていってあげるのもよいでしょう。それだけでも、犬にとっては楽しい散歩になるものですよ。

困りごと①老犬の排泄の介護について

粗相しちゃった犬
getty

排泄の介護をするには?

老犬になると徐々に筋肉が衰えるため、中腰の姿勢がうまく取れず、上手に排泄が出来なくなることがあります。思い通りに排泄出来ないことは、犬にとってストレスの原因になりますし、皮膚病や膀胱炎などの病気を起こすおそれも。
また、排泄の汚れやニオイは飼い主さんの悩みの種になることもあるでしょう。排泄の介護に関しては、飼い主さんの暮らしの快適さを守り、愛犬の病気予防と健康状態に合った方法見つけることが大切です。

◆ふらついて、排泄の姿勢がうまく取れなくなったら


足がふらつくと、トイレに移動する間、堪えきれずにおもらしをしてしまうことがあるため、いつも休んでいる場所や寝床の近くに、トイレを移動してあげましょう。
また、ふらつきながらも自由に行動している場合は、サークルなどで区切った中に愛犬の居場所を作り、複数のトイレを設置したり、ペットシートを敷き詰めたりして、どこに排泄しても問題がないようにします。
トイレの中で足が震えたり、滑ったりしてしまう場合は、腰を支えて排泄の姿勢の補助をしてあげましょう。そのとき、足まわりやお腹が汚れてしまうことがあるので、こまめに拭いて清潔にすることも大切です。ペット用ウェットティッシュや水がいらないドライシャンプーなどを使うと便利ですよ。

◆失禁が続くようになったら


おもらしが目立つ場合や、長時間留守番させるときは、紙オムツを使用するのも良いでしょう。犬専用の紙オムツは、ペットショップやドラッグストア、ホームセンターなどで購入できます。
ただし、紙オムツをつけていると蒸れやすいので、こまめに取り換えてあげるようにしてください。

◆寝たきりになったら


寝床でおもらしをしても、オシッコやウンチで愛犬の体が汚れないように、工夫をしてあげましょう。
寝床のマットの上に防水加工のシートやビニールシートを重ね、その上にトイレシーツを敷きます。体の下に大きいペットシート、さらに腰の辺りに小さめのペットシートを敷いておくと、交換の際に便利ですよ。必要に応じてオムツを併用するのもよい方法です。
排泄後は、ペット用ウェットティッシュやドライシャンプーを使って体をきれいに拭き、シートやおむつを交換してください。

また、寝たきりになると血行不良になって床ずれがおきやすくなります。床ずれを防ぐためには、適宜寝返りを打たせてあげる必要があります。床ずれ防止マットやクッションを使うと、寝返りを打たせたときの負担を軽くすることができるため、寝たきりになったらすぐに用意してあげるとよいでしょう。


◆自力で排尿や排便が出来なくなったら


寝たきりになり、お尻周りの筋肉が弱まると、自力で排泄しにくくなる犬もいます。自力で排尿するのが難しくなったら、下腹部をさすって刺激しましょう。なかなか出ないときは、下腹部の膀胱のあるところをやさしく両手で挟んでおしり側に押し、圧迫します。オシッコが膀胱に残っていると、細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎などの病気になってしまうことがあるため、出来るだけすべて出し切るようにしましょう。
オスは前方にメスは後方におしっこが出てきます。ペットシートを敷く位置に気を付けて、犬の体を汚さないように注意してください。

自力で排便するのが難しくなったら、肛門付近の筋肉を刺激します。しっぽを持ち上げて肛門を囲む筋肉を手で軽くもみます。肛門の方に押し出すようにもみほぐすと出やすくなります。排泄が出来なくなった犬の介護は、初めのうちは難しいので、動物病院で指導してもらうと良いでしょう。病院と相談しながら無理のない範囲で行うようにしてくださいね。

愛犬の体を清潔に保つために

寝たきりで立てない犬は、排泄するたびにお尻周りが汚れやすいため、清潔に保つ工夫が必要です。しっぽを持ち上げ、肛門付近の毛をバリカンで内側から外側に向かってカットしておけば、ウンチの汚れが拭き取りやすくなります。肛門がはっきり見えるくらいまで短くしておくとよいでしょう。

もしも排尿や排便後に汚れたら、その都度かたく絞った濡れタオルやペット用ウェットティッシュで拭き取ります。体力が落ちて疲れやすくなっているため、シャンプーをする場合は水がいらないドライシャンプーを使ったり、部分浴だけにしたりするなどして、手短に済ませましょう。タオルは吸水性の高いものを使用するとよいですね。

家の中を清潔に保つために

老犬は、思わぬ場所で粗相してしまうことがあります。手早く室内をきれいにできる方法を考えておけば、飼い主さんのストレスを減らせるかもしれません。

もしもフローリングで粗相をしてしまったら、雑巾やタオルで拭く前に、まずはペットシーツでオシッコなどの水分を十分に吸収させるのがポイントです。その後に洗剤を使ってタオルや雑巾で拭けば、手間が省けますよ。
カーペットの場合は、ペットシーツで水分を吸い取り、タオルなどで汚れを拭きとった後に重曹をまいて、1~2時間後に掃除機で重曹を吸い取れば、ニオイが軽減されるでしょう。

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困りごと②老犬の夜鳴きについて

あくび
getty

夜鳴きの対応はどうすればいいの?

老犬を介護の中でも、大きな問題の一つとなるのが夜鳴きです。夜遅く、または、明け方に大きな声で鳴き続ける場合もあるので、人の睡眠が妨げられたり、近所迷惑になったりと、飼い主さんにとって辛い悩みになることがあります。犬にとっても、夜鳴きはストレスを感じたり、体力を消耗したりします。 完全にやめさせることは難しいですが、少しでも減らせるように対応を考えるとよいでしょう。

老犬が夜鳴きをする原因はいくつか考えられます。愛犬の様子を観察して原因が分かったら、それに合わせた対応をしましょう。

◆痛みによる夜鳴き


病気やケガによって痛みがあると夜鳴きをすることがあります。元気や食欲に変化はないか、触ると痛がるところはないかなど、愛犬の状態を確認しましょう。異変が見つかったらすぐに動物病院を受診してください。

◆不安による夜鳴き


視力や聴力が衰えた老犬は、大好きな飼い主さんの居場所が分からなかったり、飼い主さんの声が聞こえなかったりして不安になると、夜鳴きをすることがあります。愛犬の普段の居場所や寝床などを飼い主さんのそばにするなどして、出来るだけ不安にならないようにしてあげましょう。

◆要求による夜鳴き


老犬になると、お腹が空いた、トイレに行きたい、寝床が暑いなど、今までは我慢出来ていたことが我慢出来なくなり、何かを要求するために夜鳴きをすることがあります。この場合、ある程度愛犬の要求に応えてあげる必要がありますが、中には応え続けることが難しかったり、飼い主さんの負担になったりして、我慢させなくてはならない場合も。
まずは、トイレの設置場所の見直しや食事の時間を工夫など、できることからやってみてください。

◆認知症による夜鳴き


認知症の症状のひとつに、夜鳴きが挙げられます。犬の認知症に有効な治療薬は今のところ存在しないため、夜鳴きがひどい場合は、動物病院で睡眠導入剤などを処方されるケースがあります。また、認知症の症状の改善を期待して、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)の入ったサプリメントやフードを利用することも。一度、動物病院で相談してみるとよいでしょう。

認知症の症状や対策については、次章で詳しく解説していきます。

困りごと③犬の認知症について

犬の認知症ってどんな症状?

犬の認知症の症状は以下の通りです。

・意味もなく単調な声で鳴く
・昼夜逆転してしまう(昼に寝て夜は起きている)
・狭いところにもぐりこみ出られなくなる
・同じ方向ばかりに旋回する
・名前を呼ばれても無反応
・食欲旺盛でよく食べるのに痩せてくる
・トイレの失敗が多くなる

このような症状が1つ、または複数で見られます。飼い主さんの生活と愛犬の健康を守るためにも、認知症が疑われる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

認知症の症状を軽減させる工夫とは?

日常生活の中で、ちょっとした工夫をすることによって、夜鳴きなどの困りごとを減らすことができるかもしれません。

◆日光浴をさせる


日光浴は体内時計をリセットさせる効果があるため、脳によい刺激を与えることが出来るといわれています。

◆昼寝をさせないようにする


昼と夜が逆転してしまっている場合、なるべく昼間に起こしておくことが大切です。そこで、こまめに声をかけてあげましょう。動ける犬には、おもちゃで遊ぶなどの刺激を与えてあげるのも良い方法です。

◆積極的に運動をさせる


筋肉の衰えや寝たきりを防ぐことは、認知症の進行防止にもつながります。無理のない範囲で散歩に出かけたり、おもちゃで遊んだりしてあげましょう。また、外の音を聞いたり、室内と違うニオイを嗅いだりすることも、とても良い刺激になります。

◆こまめにコミュニケーションをとる


マッサージやボディケアなどのスキンシップで皮膚や手足に刺激を与えることが、脳の活性化につながるといわれています。あまり動けない犬にとっては、やさしく名前を呼ぶ、ほめるなどの声かけだけでも良い刺激になるので、コミュニケーションをこまめにとってあげましょう。

いぬのきもち WEB MAGAZINE「【獣医師が解説】愛犬が認知症?症状や治療法〜サプリメントまで」

愛犬と末永く楽しく過ごすために

白髪の女性と犬
getty

日本の飼い犬の寿命は年々長くなっています。これから先、愛犬と末永く楽しく過ごすためにも、病気の予防や治療だけでなく、愛犬が高齢になったときの介護についても、早めに考えて準備をしておきたいですね。

ただし、毎日全てをやろうとすると、飼い主さんにはかなりの負担になり、ストレスが溜まってくるかもしれません。飼い主さんのイライラが愛犬に伝わり、かえって落ち着きをなくしてしまうことも。ストレスを出来るだけ溜めないように、無理せずできることから始めてみましょう。

監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/AzusaS
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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