「成長すれば困りごとは落ち着くでしょ!」と思っている飼い主さんも多いのではないでしょうか? しかし「いぬのきもち」のモニターアンケート(※)ではベテラン飼い主さんの約半数が成犬期やシニア期に入ってから気になりだした困りごとがある、と回答しています。それには成犬ならではの理由があるのです。
今回は声が多く上がった3つの成犬の困りごとについて英国APDT認定ペットドッグトレーナーの藤本聖香先生に解説してもらいました。
成犬の困りごと1)ほかの犬と仲良くできない
子犬のころはどんな犬とも仲よくできる犬が多いですが、成犬になるとあまり近寄って行かなかったり、遊ばなかったりすることも。そんな愛犬の姿を見て「うちのコ、どうして仲よくできないの?」と不安になる飼い主さんが多いです。
でもじつは、とても自然なこと。人と同じで、“おとな”になれば好き嫌いが出てきて、つきあう犬を選ぶようになっていきます。気が合う犬がまわりにいなければ、友達ができないこともあるんですよ。
「ほかの犬と仲よくしなきゃ!」という気持ちは捨ててOK
飼い主さんは「愛犬に友達がいないとかわいそう」と思いがちですが、愛犬自身は友達がいないことをさほど気にしませんし、寂しいと思いません。必要以上に不安にならなくて大丈夫です。
もし愛犬に何かしてあげたい!という気持ちがあるなら、飼い主さんがいちばんの友達になって、いっしょに遊びましょう。大好きな飼い主さんと楽しい時間が過ごせれば、愛犬の気持ちは満たされますよ。
成犬の困りごと2)寂しがりやになる
成犬期の後半やシニア犬期に入ると、今までは平気だったのに急に1頭だけでいられなくなるなど、寂しがりやになる犬が多いです。これは、若いころより体調が悪い日が増えたり、老化によって今までできていたことができなくなったりして、不安な気持ちになるため、飼い主さんに頼るようなしぐさが見られるためです。
愛犬が安心して過ごせる場所をつくろう
体調不良の不安から寂しがっているなら、早急に治療が必要なので、まずは動物病院で健康診断をして問題がないか確認しましょう。問題がなければ、愛犬が安心できる居場所をつくることで、不安な気持ちを緩和しましょう。段差をなくす、ふかふかで心地いいベッドを用意するなど、愛犬に危険がなく、落ち着ける環境をつくると、老化からくる不安感を軽減できますよ。
成犬の困りごと3)室内で排泄しない
子犬のころは排泄をガマンすることができないので、自然と室内でできることが多いですが、成犬になるとガマンできるようになります。毎日の散歩のときに排泄する習慣がつくと、室内での排泄が必要なくなり、外で排泄するクセがつくため、室内での排泄ができなくなることがあります。
室内のトイレを外っぽい雰囲気にしてみて!
室内のトイレを庭やバルコニーなど外を感じる場所に移動させてみましょう。排泄するまで散歩に行かないなど、ある程度ガマンさせると室内でするようになります。また、愛犬がいつも排泄する外の環境に近づけるため、土や草、落ち葉などを室内のトイレに置いてみても。踏み心地やニオイで排泄が促されますよ。
いかがでしたか? 愛犬が成長してもなかなか困りごとが直らないと感じている飼い主さんは、今回ご紹介した方法をぜひトライしてみてくださいね。
※この特集に掲載されているデータは「いぬのきもち作り隊」の読者146名のアンケートを集計した結果です。いぬのきもち作り隊アンケートは、2022年6月に実施しています。
お話を伺った先生/英国APDT認定ペットドッグトレーナー 「Canine Relationz」代表 藤本聖香先生
参考/「いぬのきもち」2022年10月号『成犬・シニア犬ならではの理由を知ろう! “おとな犬”の困りごとTOP5』
撮影/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室