愛犬とのお泊まり旅で注意したいのは、移動中だけではありません。慣れない環境に置かれる宿泊先でも、準備や対策は必要です。今回は、愛犬と宿泊する際の心得からトラブル対策、旅先での楽しみ方まで、家庭犬しつけインストラクターの井原亮先生に伺いました。
犬連れ旅行の宿泊先での心得
宿泊施設に着いたら、まずは新しい環境に愛犬を慣れさせることが大切です。すぐに出かけることはせず、しばらく部屋の中でくつろぐようにしてください。部屋の中にトイレを用意して排泄させる、おやつや水を与える、飼い主さんとスキンシップをとるなどして、「宿泊先=快適な場所」という印象を与えましょう。
愛犬が落ち着いたら、施設内や施設のまわりを少し歩いて、再び部屋へ戻ります。このように出たり入ったりを何度か繰り返すことで、愛犬は宿泊施設や部屋を「帰る家」のように感じられるようになるでしょう。
犬連れ旅行の宿泊先でのトラブル対策
そそうの対策
食事時間などの生活サイクルがふだんと異なると、排泄のタイミングもずれて、そそうをしてしまうことがあります。宿泊先では飼い主さんがタイミングを見計らって、愛犬をトイレへ誘導しましょう。
また、日ごろから排泄時に「ワン、ツー」などの声がけによって排泄が促されるようにトレーニングをしておくと、いつでもどこでも排泄ができて便利です。
食欲不振の対策
宿泊施設によっては、特別に犬用の食事が用意されていることもありますが、環境が変わったストレスで食欲がなくなる犬もいます。そんなときは、ふだん食べ慣れているドッグフードや好物のおやつを与えると、食べることがあります。食器や水飲みボウルなども使い慣れたものを用意しておくと、愛犬が安心して食欲が回復することがあります。
要求吠えの対策
犬によっては、環境が変わって気持ちが不安定になると、要求吠えをすることもあります。愛犬が「散歩へ連れていって」「食事がほしい」などと吠えて訴える前に、飼い主さんは愛犬の気持ちに先回りして応え、充分なお世話をするように心がけましょう。
気持ちを落ち着かせられるよう、飼い主さんが見守りながら、犬に噛んで遊べる知育おもちゃを与えてもよいでしょう。
不眠の対策
「枕が変わると眠れなくなる」というのは、人も犬も同じようです。なかには、なかなか寝つけなかったり、いったんは眠るけれど急に起きて吠えたりするケースもあります。
ふだんからクレートの中で眠る習慣をつけていると、旅先にクレートを持ち込めば、いつもと同じ環境なので安心して眠りやすくなります。また、愛用のタオルや犬用ベッドなどを使うのも効果的です。
犬連れ旅行の旅先での楽しみ方
愛犬にとって新鮮な体験を楽しむ
愛犬との旅の醍醐味は「新たな体験」ですが、特別なことをしなくても、ふだんと同じように愛犬と一緒に歩くだけで、充分新たな体験として楽しめます。
場所が違えば、そこで出会う人や犬、日の光の輝き、海や山を渡る風、草花のニオイ、鳥のさえずりや川のせせらぎ、砂浜や山道を歩く感触など、五感に働きかけてくるものも違ってきます。愛犬と新たなものを見て、聞いて、かいで、触れることを存分に味わいましょう。
愛犬同伴OKの店で食事やショッピングを楽しむ
旅先での食事やショッピングは、いい思い出づくりになります。宿泊施設の近くにショッピングモールなどがある場合は、犬同伴OKの店を事前に確認しておくとよいでしょう。
愛犬と食事やショッピングを楽しむためには、「オスワリ」や「フセ」の姿勢で穏やかに休めるよう、愛犬のしつけができていると安心です。
ただし、犬同伴OKの店であってもそこは犬の遊び場ではないので、犬同士のふれあいはほどほどに。飼い主さんと愛犬との時間をゆったり楽しみましょう。
ふだんとは違う環境の宿泊先でも愛犬が安心して過ごせるよう、宿泊先での心得や楽しみ方を頭に入れて、しっかり準備と対策を行いましょう。
お話を伺った先生/井原亮先生(家庭犬しつけインストラクター 「SKYWAN!」代表)
参考/「いぬのきもち」2023年6月号『失敗しない! はじめてのお泊まりレクチャー これだけ!7』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。