愛犬の「吠えグセ」に頭を悩ませている飼い主さんは少なくないようです。でもその原因は、愛犬ではなく飼い主さんにあるのかもしれません。
そこで今回は、飼い主さんが勘違いしがちな犬の「チャイム吠え」と「おねだり吠え」の原因と対処法を、英国APDT認定ペットドッグトレーナーで獣医師の藤本聖香先生にお聞きしました。
チャイム吠えの原因は「音」じゃない!?
玄関のチャイムが鳴るたびに愛犬が吠える「チャイム吠え」。多くの人が、音に反応して吠えていると思っているのではないでしょうか。
参考・写真/「いぬのきもち」2025年2月号『愛犬のキモチを勘違いしてませんか? 犬の問題行動、原因は飼い主さんです!』
でもじつはチャイムの音ではなく、飼い主さんの反応を見て吠えているのです。飼い主さんがバタバタと急ぎ足で玄関へ向かったり、チャイムが鳴る前からそわそわしたりしていると、それを見た愛犬が「何か異変が起きた」と不安になって、飼い主さんの焦りにつられて吠えている可能性があります。
落ち着いてクールに対応しよう!
参考・写真/「いぬのきもち」2025年2月号『愛犬のキモチを勘違いしてませんか? 犬の問題行動、原因は飼い主さんです!』
「一刻も早く対処してチャイム吠えを終わらせよう」と焦って行動するほど、愛犬の不安をあおってチャイム吠えを誘発してしまいます。とくにドタバタと早足になるのはNG。チャイムが鳴ってもふだんと変わらない態度で、慌てず落ち着いて対応しましょう。
おねだり吠えは間違った学習が原因
「おやつがほしい」「遊んでほしい」など、飼い主さんへ欲求があるときに愛犬が吠える「おねだり吠え」。勘違いで対応を誤ると、とくに悪化しがちな吠えでもあります。
参考・写真/「いぬのきもち」2025年2月号『愛犬のキモチを勘違いしてませんか? 犬の問題行動、原因は飼い主さんです!』
最初は「今回かぎり」と思って応えてしまいがちですが、それを繰り返すと「吠えないとおやつがもらえない」と愛犬に覚えさせることに。犬の要求に天井はなく、飼い主さんがおねだりに応えれば応えるほど、愛犬は「吠えてあげたのだから、おやつがもらえるのは当たり前!」と認識して、吠えが悪化の一途をたどってしまうでしょう。
「静かにしていたらもらえる」と覚えさせよう!
参考・写真/「いぬのきもち」2025年2月号『愛犬のキモチを勘違いしてませんか? 犬の問題行動、原因は飼い主さんです!』
「おねだり吠え」をやめさせるには、愛犬が静かにしているときにだけおやつを与えて、「静かにしていれば、おやつがもらえる」と伝えましょう。吠え続けるのは体力を消耗するので、吠えずにおやつが出てくるのであれば、犬にとってもおトクです。
とくに飼い主さんの食事中はおねだり吠えが出やすいので、布をかけたクレート内で待たせるなどするといいでしょう。自分の食事中にクレートの中で愛犬を待たせておくことを心苦しく思う場合は、クレートの中で長持ちおやつなどを与えて静かに食べさせてもよいでしょう。
犬の吠えをやめさせるには、吠えている理由を正しく理解しなければなりません。愛犬の気持ちがわかれば、困りごとを解決するヒントが見つかりますよ。
お話を伺った先生/藤本聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師)
参考・写真/「いぬのきもち」2025年2月号『愛犬のキモチを勘違いしてませんか? 吠え・噛みetc. 犬の問題行動、原因は飼い主さんです!』
文/江村若奈