散歩やお世話のときによく見られる犬の拒否。とくに散歩中はたくさんの刺激があるので、「帰りたくない」「動きたくない」と拒否する犬は多いようです。そこで今回は、散歩中に見られる犬の拒否行動の心理について、獣医師の増田宏司先生に伺いました。
犬の拒否は人の子どもの「イヤイヤ期」に似ている!?
犬の拒否はストレートな表現が多く、人の子どもの2歳前後の「イヤイヤ期」の姿と似ています。感情面に関しても嫌の気持ちだけでなく、要求の気持ちもあるなど、子どもと同様に犬の気持ちもやや複雑といえるでしょう。言葉を話せないからこその多様な拒否があるのも注目です。
散歩中の「帰りたくない」拒否行動の心理
散歩中に「帰るよ」と言うと、犬が踏ん張ったり寝転がったりして動かなくなることはありませんか? 帰るのを拒否する行動は、これまでに要求を飼い主さんが聞いてくれた経験を通じて、「この方法はうまくいく」と犬が学んだためです。その結果、さらに同じ拒否行動を繰り返す傾向があります。
帰りたくないという拒否がひどい場合は、気分を変えるようにして、いつもと異なるルートで家に向かうといいでしょう。
散歩中の「通りたくない」拒否行動の心理
階段に近づいたり、特定の場所に来たりすると、犬が通りたくないと嫌がることはありませんか? これは恐怖や不安など、なんらかの理由でその場所に苦手意識があることが考えられます。
通らなくてもいい場所なら無理に通らなくてもいいでしょう。どうしても通る必要があるなら、日数をかけて「大丈夫だよ」などと声をかけながら、その場所に徐々に慣れさせてみてください。
散歩中の「動きたくない」拒否行動の心理
とどまりたい場所に寝るなど、動くのを拒否する行動には、「疲れた」「抱っこしてほしい」「ここにいたい」「注目してほしい」といった、さまざまな理由があります。この拒否行動は頻繁に起こりがちなので、困り果てている飼い主さんも多いかもしれません。
「オイデ」の指示で、その場から立ち上がったり、移動したりできるように練習してみるといいでしょう。なお、同居犬が拒否行動をして要求が通っていると、それを学習して行動をまねることもありえます。
犬の拒否には、飼い主さんへの甘えの気持ちがあります。飼い主さんを信頼しているからこそ拒否行動を見せているといえるでしょう。
とはいえ、長時間動かなかったり、避けたい場所もあるため「オイデ」などでその場から動いてくれるよう、ふだんから練習しておきましょう。
お話を伺った先生/増田宏司先生(獣医師 博士(獣医学) 東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室)教授)
参考/「いぬのきもち」2024年2月号『あの手この手で断固拒否する犬たち』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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