多頭飼いをしていると、犬同士の意外な関係性や役割分担が見えてくることも。「いぬのきもち」読者の皆さんから集まった多頭飼いエピソードから、犬の個性や絆が織りなす犬社会の奥深さを、動物行動学者の増田宏司先生が解説します。
仲良く助け合う姿にほっこり♡
「ヨークシャー・テリアの桃とマルチーズの苺はとっても仲よし。苺は飛び出し防止ゲートを開けるのが得意で、桃が通れず立ち止まっていると、すぐに駆けつけて開けてあげます」(Hさん)
写真提供/Hさん
【増田先生から】犬は仲間の困りごとに気づいて行動します
犬は仲間の感情や様子の変化にとても敏感です。誰かが困っていると気づけば、近づいて様子を見たり吠えて飼い主に知らせたりすることも。高いコミュニケーション力や協調性をもつ、犬ならではの行動といえます。
ゴハンを残していられない! 多頭飼いならではの意識改革!?
「リンが来てから、先住犬のロイがそれまで少し残していたゴハンを残さなくなりました。食べ物への意識が変わったのか、好き嫌いも自然となくなっていったようです」( Hさん)
写真提供/Hさん
【増田先生から】ほかの犬に影響されて自分も食べる
ゴハンを残さなくなったのは「誰かが食べていると自分も食べたくなる」といった、周囲の犬の行動が刺激となる社会的促進の一例で、多頭飼いの場面でよく見られます。競争意識や「いま食べないと取られるかも」という本能的な感覚も加わり、食への意欲が自然と高まったのでしょう。
遊ぶ相手と甘える相手をしっかり使い分け
「アイとチョコタンは10才差。普通ならいっしょに遊ぶことは少ない年齢差ですが、1年半前にアイを迎えてから2頭はすっかり意気投合。年齢差を超えた遊び仲間としてワンプロを楽しむ一方で、眠たくなるとアイはミカのもとへ。『くっつきすぎでは?』とつっこみたくなるほどの甘えっぷりです」(Kさん)
遊ぶとき
眠いとき
【増田先生から】相手とうまくやる方法を心得ている犬の賢さ
犬は群れの中で、相手によってかかわり方を自然と使い分けることはよくあります。遊びたいとき、甘えたいとき――相手の性格や関係性に応じて行動を選ぶのは、群れの中で平和に過ごすための知恵ともいえるでしょう。
相手が視界に入るだけで吠えだします
「モカに吠えられると、体格で勝るシアリーも負けじと吠え返します。そんな2頭のバトルが始まるとエンはスッと別の場所へ。巻きこまれるのはごめん、といった様子です」(Aさん)
写真提供/Aさん
【増田先生から】犬同士だって合う、合わないはあります
犬も、個性の合わないもの同士がぶつかることは珍しくありません。賢さゆえに相手の動きや気配に敏感に反応しストレスを感じることもあるでしょう。また、犬は本能的に静かで安心できる場所を求める動物。無用な衝突を避けることも、群れ全体の平和を保つための自然な行動です。
「いぬのきもち」読者の皆さんから届いた多頭飼いエピソードをご紹介しました。犬ってやっぱり賢いですね!
お話を伺った先生/獣医師。博士(獣医学)。東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室)教授 増田宏司先生
参考/「いぬのきもち」2025年10月号『多頭飼いライフから見えてきた 犬ってこんな動物です!』
文/ヨシノキヨミ