みなさんは、災害時に愛犬を守る準備をしていますか?必要な備えを知るには、過去に起きた災害の“数字”がヒントになります。今回は愛犬の防災対策について、「NPO法人アナイス―動物と共に避難する」代表の平井潤子さんに教えていただきました。
数字がわかると災害対策が見えてくる
過去の災害で導き出された“数字”を見ると、その脅威とともに、自分自身や愛犬を含む家族を守るための防災の大切さを実感できます。数字を知って、自分の家庭に何が必要なのかを考えて準備しておきましょう。
東京都の避難所収容率は全体の「22.6%」※
一般的に指定避難所の収容可能人数は、居住人口の一部にとどまるといわれます。人でさえも避難所に入れず、愛犬を連れた同伴避難はますます困難に。その傾向は都心部で強く、平日の日中などに災害が起こると圏外からの通勤者も加わるため、さらに被災者が増えると予想されます。
※一般財団法人 日本防災・危機管理促進協会「令和2年 危機管理体制調査研究報告」より
親戚やいぬ友など、あらゆる避難先の確保を
自宅に倒壊や火事、浸水などの危険性がないのであれば「自宅避難」も選択肢のひとつ。避難所のように支援物資が届かないので、最低でも1カ月分など多めの備蓄を用意しておきましょう。
また、全国にいる親戚やいぬ友の存在が大きな助けになることもあります。日頃から災害時の助け合いについて話し合っておくとよいですね。
最大瞬間風速「43.8m」※(令和元年東日本台風)
風速43.8mは、時速に変換するとおよそ160km。これは特急電車並みの速さです。樹木や電柱が倒れるほか、住家でさえ倒壊する場合も。窓ガラスが割れて飛び散るなど、室内で愛犬がケガをするおそれもあります。
※気象庁「令和元年東日本台風(台風第19号)による大雨、防風等」より
避難は「警戒レベル4」までに、そして明るいうちに
市町村が発令する「警戒レベル4」は、「危険な場所から全員避難!」を意味します。「警戒レベル4」のうちに避難を終えましょう。また、暗くなる前に避難できるよう、なるべく明るいうちに行動することも大切。雨風が強まる前に、小型~中型犬であればキャリーバッグなどに入れて避難しましょう。
ふだんからハザードマップを確認し、どのような避難行動が必要なのか、どのタイミングで避難するのがよいかを家族と共有しておくとよいですね。
室内は飛散防止フィルムなどで対策を
自宅での被災に備えて、防災のための室内環境を整えておくことも大切。窓ガラスに飛散防止フィルムを貼ったり、より安全な部屋を愛犬の留守番時の居場所にしたり、あらゆるリスクを想定をして対策をしましょう。
<室内で注意が必要な場所>
・1階(浸水の危険)
・ガラス窓の付近(割れてケガをするおそれ)
・斜面に面した部屋(土砂災害の危険)
1時間の最大降水量「109.5mm」※(令和2年7月豪雨)
降水量は、50~80mmでも滝のように降り続く非常に激しい雨とされています。それ以上ともなると息苦しくなるような圧迫感に恐怖を感じるレベルに。避難は極めて困難なうえ、土砂災害や洪水による浸水の危険も高くなります。
※気象庁「令和2年7月豪雨」より
感染症に備えてワクチン接種を。災害後は氾濫地区での散歩も控えよう
洪水で下水が混ざった水は不衛生。飲み込むと感染症にかかるおそれもあります。なかでも犬の命にかかわるのがレプトスピラ感染症。地域での発症率に応じて、獣医師と相談してワクチン接種を検討してください。水が引いたあとの汚泥も感染源になり得るので、しばらく氾濫地区での散歩は避け、室内トイレを利用するのがベターです。
災害はいつ起こるかわかりません。自分と家族、そして愛犬の命を守るため、日頃からしっかりと対策をしておきましょう。
お話を伺った先生/平井潤子さん(「NPO法人アナイス―動物と共に避難する」代表)
参考/「いぬのきもち」2024年3月号『必要な備えや心得が見えてきた! 災害の数字から考える愛犬の防災』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。