愛犬の老化スピードをゆるやかにするには、シニア期にあらわれる変化を正しく理解し、それに合わせたケアを取り入れることが重要です。老いが顕著になってからのシニア期は、前期・中期・後期に分けるとイメージしやすいでしょう。
そこで今回は、犬のシニア前期を取り上げ、その特徴やお世話のコツを獣医師の佐々木彩子先生に解説していただきました。
犬のシニア前期とは
シニア前期の年齢の目安は、小・中型犬は11~13才頃(大きめの中型犬は10~11才頃)、大型犬なら8~9才頃。この世代になると、代謝が落ちて運動量も減るため、若い頃と同じ食事量でも太りやすくなります。
また、それまで健康診断で指摘されなかった犬でも、血液検査の結果がよくなかったなど、体内の老いや不調が目に見えてあらわれやすくなる世代です。
こんな特徴が見られたらシニア前期のサイン
以下のような特徴が見られたら、シニア前期のサインと考えてよいでしょう。
イボが増える
代謝が落ちることで体表にイボができやすくなります。とくにその犬の血流が滞りやすい部分にできやすい傾向が。毛の多い犬種は、スキンシップを兼ねて毛をかき分けながらチェックをしましょう。
面倒くさがりになる
耳も聞こえていて、体を動かしにくくなるような病気もしていないのに、若い頃は喜んでしていた行動をしなくなることがあります。たとえば、飼い主さんの帰宅を出迎えなくなる、散歩に行きたがらなくなる、といったケースが多いです。
白い毛が目立ってくる
黒や茶色だった毛がだんだんと白っぽくなっていきます。個体差はありますが、本格的なシニア期に入る前から白い毛が生えてくるようになり、シニア前期になるとそれがかなり目立つように。
血液検査に変化が出てくる
それまで健康診断で指摘されることがなかった犬でも、前期になると血液検査などで基準値外の結果が出ることも。とくに小・中型犬は、12才前後で芳しくない検査結果が出ることも多いようです。
食べ物の好みが変わる
シニア期に入ると、食べ物を消化吸収する能力が落ちやすくなります。そのため、今まで食べていたフードを嫌がるようになることが。
睡眠時間が増える
犬の睡眠は人と比べて浅い眠りがほとんど。長時間寝ないと疲れがとれません。シニアになると疲れやすくなるため、それに比例して寝ている時間も増加し、昼間も寝てばかりになることが。
運動の能力が落ちる
これまで飛び乗れていたものに乗れなくなる、歩く速度が遅くなる、走ったり飛びついたりしなくなる、散歩に出てもすぐに帰りたがる、体を動かす遊びをしなくなるなど、体の動きが鈍くなり、運動量、活動量も減ってきます。
シニア前期の老化スピードをゆるやかにするコツ
シニア前期の老化のスピードをゆるやかにするには、以下のようなお世話などを取り入れてみましょう。
脂質控えめのシニア犬用フードに切り替える
代謝や消化吸収能力が落ちるので、若い頃と同じフードだと、太ったり毛ヅヤやうんちの状態が悪化したりすることが。その場合はかかりつけ医と相談して、脂質が抑えられたシニア犬用フードに切り替えると◎
年に2回健診を受ける
できれば7才(大型犬なら5~6才)から健診は年に2回受けたほうがよいですが、まだ年に1回しか受けていないのなら、この機会に年2回に。見た目は若くても体内で変化が起きていることもあるので、健診でしっかり確認をしましょう。
オスワリ・立つの動作で足腰を鍛える
足腰の健康のために適度な運動は欠かせませんが、それに加えて、オスワリと立つ姿勢を繰り返す遊びを日頃から取り入れてみましょう。ほどよい足腰の筋トレになり、寝たきりの予防に役立ちます。
疲れがとれるよう睡眠環境を整える
シニア期の犬の睡眠は、疲れをとるためにとても大切です。愛犬の寝床はドアの隣や玄関の近くなどの人の行き来が多い場所を避け、静かに休める場所に設置を。また、夜間は部屋を薄暗くして、ぐっすり眠れるようにしましょう。
おやつやトッピングに“腎”を元気にする食材を取り入れてみる
東洋医学でいう“腎”は、生命力の源。そこを元気にすることは、健康長寿にも役立ちます。腎を元気にするおすすめの食材は、豚肉や昆布、豆類。豚肉や昆布で取った出汁をフードにかけたり、豆もやしをゆでて刻んでフードにトッピングしたりするとよいでしょう。
愛犬に長く元気でいてもらうために、犬のシニア期について正しく理解することが大切です。参考にしてみてくださいね。
お話を伺った先生/佐々木彩子先生(キュティア老犬クリニック獣医師)
参考/「いぬのきもち」2025年11月号『長ーく元気でいてほしいから知っておきたい!「シニア期」っていつから?』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。