犬にも、人と同じような気持ちはあるのでしょうか。犬の感情についてはまだわからないことも多いものの、「楽しい」「うれしい」といった気持ちは、脳科学的にみて人の感情のメカニズムと似ていることがわかっているそうです。
今回は、犬にも「ある」と考えられる気持ちについて、獣医師・博士(獣医学)の増田宏司先生に伺いました。
安心・満足
犬は危険がなく、飼い主さんを身近に感じられる場面で安心感や満足感をいだきます。たとえ飼い主さんの姿が見えなくても、飼い主さんのニオイに包まれるだけで、犬は安心しやすくなります。
おもしろい
犬も、おもちゃ遊びの最中におもしろいと感じたり、興味があるものをジッと見つめて「おもしろそう」と感じたりします。ただし、同じように見つめるしぐさでも、腰が引けている、しっぽが下がっているなどの様子が見られる場合は、警戒している可能性もあるので間違えないようにしましょう。
あせり
勢いよく動くものが急に目の前に来ると、犬もあせります。たとえば、サークルが突然倒れたり、見慣れないものが勢いよく近づいてきたり。急に近づいてくる幼い子どもも、犬にとっては予測不能であせらされる相手。そのため、幼い子どもが苦手な犬も少なくないようです。
寂しい・孤独感
留守番のときにいだきやすい感情の代表例です。犬は群れで行動してきた動物なので、留守番をしているときは寂しいと感じます。留守番をする環境が静かすぎると、孤独感を覚えることも。ただ留守番に慣れれば、寂しさを感じるのは留守番の最初だけで、その後は寝たり遊んだりして過ごせるようになります。
不安・恐怖
初めての場所に行ったときや留守番をするとき、犬は不安な気持ちに。また、雷や花火、太鼓のような本能的に苦手とする音や、自分ではどうすることもできない音や振動には恐怖を感じます。
このような場面では、慣れたクレートに飼い主さんのニオイがついたタオルなどを敷くと、不安や恐怖を感じたときに逃げこめるシェルターになります。
うらやましい
犬は、目の前で飼い主さんがほかの犬をかわいがっているときなどに、嫉妬に似た感情をいだくことがあるようです。ただし、人のように、ほかの犬の幸せをねたんで憎むような感情とは言い切れません。犬の場合は、「いいな、自分も加わりたい」という感情に近いと考えられます。
犬にも人と似た気持ちがあることを知ると、心の動きを想像しやすくなり、よりよい関係づくりにつながりそうですね。
お話を伺った先生/増田宏司先生 (獣医師 博士(獣医学) 東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室)教授)
参考/「いぬのきもち」2026年6月号『犬と人が同じこと、違うこと。犬にもある気持ちと犬にはない気持ち』
文/仲田陽子
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。