1. トップ
  2. 犬と暮らす
  3. しぐさ・生態
  4. コミュニケーション
  5. 犬は人の心をつかむために“上目づかい”ができるようになった!?専門家が解説

犬と暮らす

UP DATE

犬は人の心をつかむために“上目づかい”ができるようになった!?専門家が解説

犬は本当に「表情」で気持ちを伝えているのでしょうか? 国内外の研究によって、近年その仕組みが科学的に明らかになってきました。飼い主さんとの関係や進化とも深くかかわる、犬の表情の秘密を獣医学博士の増田宏司先生に聞きました。

犬は人の心をつかむために“上目づかい”ができるようになった

撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき
犬がうるんだ瞳で見つめる“上目づかい”。じつはその表情、人と暮らすなかで進化した「特別な仕組み」かもしれません。

犬に顕著に見られる表情筋を解剖学の見地から特徴づけた

イギリスの動物研究者・カミンスキーらと米国の研究チームは、犬とオオカミの頭部を解剖し、目のまわりの筋肉構造を詳細に比較しました。注目したのは、内側の眉を引き上げる筋肉「LAOM(眼角挙筋)」の有無です。その結果、犬ではこの筋肉がはっきりと発達しているのに対し、オオカミではほとんど確認されませんでした。さらにDogFACS(※)による分析でも、犬は人に向けて眉を上げる動きを頻繁に見せる一方、オオカミではほぼ見られないことが明らかになったのです。近年では、この筋肉はコヨーテなどほかのイヌ科動物にも見られることが報告されており、犬でとくに発達している特徴と考えられています。

※人は表情を全体の印象や感情でとらえがちですが、それでは個人差や思い込みが入り正確な比較ができません。そこで、顔の筋肉の動きごとに細かく分類し〝どの部位がどう動いたか〞を記録する「DogFACS」が開発されました。これにより犬の表情を誰でも同じ基準でとらえられるようになり、科学的な研究や比較が可能になりました。
イラスト/フジマツミキ
イラスト/フジマツミキ

犬は、人の注意や共感を引き出しやすい顔の仕組みを備えている

撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき
LAOMの働きによって生まれるのが、いわゆる“上目づかい”の表情です。目を大きく見せて、少し困ったような顔をつくるこの表情は、人の乳児の顔に見られる特徴(ベビースキーマ)とも共通していて、「かわいい」「守ってあげたい」と感じる人の本能的な傾向と関係していると考えられています。
「実際、シェルターでは“上目づかい”をよく見せる犬ほど早く引き取られる傾向が報告されています。人に好まれやすい表情が選ばれ続けた結果、その動きや表現がより目立つようになってきた―― 犬の顔は、人との関係の中で形づくられてきたといえるでしょう」(増田先生)

犬はただ表情豊かなのではなく、人に合わせてその表情筋を発達させてきたのだと考えると、犬への愛おしさがこれまで以上に湧き上がってきますね。
お話を伺った先生/獣医師。博士(獣医学)。東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室)教授 増田宏司先生
参考/「いぬのきもち」2026年7月号『ほら、やっぱり犬は飼い主さんに”顔をつくってる”!』
イラスト/フジマツミキ
写真/尾﨑たまき
文/ヨシノキヨミ
CATEGORY   犬と暮らす

UP DATE

関連するキーワード一覧

人気テーマ

あわせて読みたい!
「犬と暮らす」の新着記事

新着記事をもっと見る