犬のしっぽって、器用に動きますよね。素早く左右へ振ったり、ピンと伸ばしたり、丸めて体に隠してみることも。そんな器用に動く犬のしっぽには、どんな役割があるのでしょうか。今回は獣医師の増田宏司先生に伺った、犬のしっぽが果たす大事な役割をご紹介します。
1.気持ちを表現している
言葉を持たない犬は、表情やしぐさなどのボディランゲージでそのときの感情を伝えています。嬉しいときはにこやかな表情でしっぽを立ててリズミカルに振り、ネガティブな感情を感じているときはしっぽを下げたりおなかに巻き込んだりして、自分の気持ちを表現するのです。
そのボディランゲージの中でもしっぽは動きがわかりやすいので、感情が出やすい部位とされています。愛犬の気持ちを知りたいときは、しっぽを見るといいでしょう。
2.体のバランスを保っている
犬は、体を動かすときにしっぽを“おもり”のように使うことでバランスを保っています。
方向転換するときにしっぽでブレーキをかけて体の向きを変えやすくするほか、狭いところを歩くときも、しっぽをうまく使うことで転倒防止をしています。
ほかにも、走る速度を変えるときにしっぽを使うことがわかっており、速く走るときはしっぽを一直線に伸ばしてスピードが出やすくしたり、速度を緩めるときもしっぽで調整したりしています。犬が体を上手に動かすために、しっぽは欠かせないのです。
3.体を温めている
犬は自分の体にしっぽを巻き付けることにより、体温を逃さないようにしています。北国が原産のシベリアン・ハスキーなどはしっぽに豊かな飾り毛がついていますが、これには体温を逃さないようにしたり、冷たい風から身を守ったりするマフラーのような役割があるといわれています。
かわいらしくて、見ているだけで癒されてしまう犬のしっぽ。そのしっぽには、感情を表現したり、動くときにバランスを取ったり、体温調節に使ったりと、犬の体に欠かせない大切な役割がありました。そんなしっぽの動きに着目すると、今までよりも愛犬のことがより詳しく見えてくることでしょう。
参考/「いぬのきもち」2019年11月号『かわいくて役立つしっぽに癒される"いやしっぽ"collection』(監修:獣医師 獣医学博士 東京農業大学農学部バイオセラピー学科(伴侶動物学研究室)教授 増田宏司先生)
文/こさきはな
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。