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一緒にいるのが嫌にならない唯一の存在【穴澤賢の犬のはなし】

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先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

人は誰しも、同じ空間に誰かといるのが息苦しくなることがあるのではないだろうか。家族や友人、それが例えいくら好きな人だったとしても。少なくとも私は若い頃からそうだった。

「一人になれる時間」が必要?

いつの頃からか、それまで当たり前だったひとつ屋根の下で家族と暮らすことに、ある種の煩わしさを感じるようになった。家族と仲がそれほど悪かったわけでもないが、一人暮らしに憧れるようになった。

それは早く自立したかっただけなのかもしれないが、念願の一人暮らしはそれはもう快適だった。付き合っていた彼女も呼び放題だ。しかしそれでもずっと一緒にいたいとは思わなかった。別れたいという意味ではなく、同じ部屋に長時間一緒にいると「一人になりたい」と思ってしまう。息が詰まるのだ。

これはずっと一人でいたいという意味ではなく、彼女のことは好きだし、友人たちと飲むのも楽しいが、誰かと同じ空間にいつまでも一緒にいるのが嫌になることがある。それは誰と付き合っても同じだったし、結婚してからも変わらない。ある程度は「一人になる時間」が必要なのだ。

犬と一緒にいる時間

程度の差はあれど、誰だってそうじゃないかと思う。もし「片時も離れず一緒にいたい」と思うとしたら、それは付き合い始めの浮かれポンチ期だけで、次第にお互いの心地いい距離になっていくものだ。とにかく私は、今でも同じ空間にずっと誰かと一緒にいるのが苦手だ。集団生活なんて絶対できないと思う。

ただ、これまで犬を煩わしいと感じたことは一度もない。それこそひとつ屋根の下にずっと一緒にいるのに。先代犬の富士丸の頃なんて、30平米もない狭い1DKで暮らしていたのに。フリーランスになったのだって、そうすれば家でもっと長いこと富士丸と過ごせると思ったからだった。

大吉と福助だってそうだ。山の家に行くのも一緒、旅行も一緒。ときどき一人になりたい病の私としては、これはすごいことだ。一緒にいるのがまったく苦にならないどころか、できることならずっとそばにいて欲しいと願う。

それは種が違うからかもしれないが、顔を見ればお互いだいたい何を言いたいか分かるほど意思疎通ができるし、彼らは人間より空気を読む。何かをしてくれるわけでも、何をするわけでもない、ただそばにいるだけでいい。彼らもきっと、そばにいることを望んでいる。それで心が和むとは、犬は不思議な存在だと改めて思う。今年は彼らとどっか旅行に行きたいなぁ。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
ツイッター
インスタグラム

大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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