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これが私の生きる道?【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

人は誰しも、何かしら決断するときがある。転職だったり引っ越しだったり結婚や離婚など、重たいものから軽いものまでいろいろあるが、それまでの環境を変える場面で、どうするか決めなければいけない。

行きあたりばったりだった人生

目標や計画を立てて少しずつ着実に実行していく堅実な人もいるが、私はこれまで行きあたりばったりで生きてきた。こうしてライターとして連載しているのも、ほとんど成り行きのようなものである。
といっても、何も考えていないわけではない。何をやるかやらないか、引き受けるか断るか、頑張るか止めるのか、ちょっと保留にするか、など一応考えてはいる。けどそれはその都度その都度で、遠い未来を見据えているわけではない。断言してしまったが、事実だから仕方ない。

犬と人生の決断

そんな私だが、決断するときには犬の影響が大きい気がする。37歳のときに会社勤めからフリーライターになったのも「頑張ってライターとして独り立ちする」でも「そのほうが稼げそうだから」でもなく(実際に稼げる職業ではない)、家で仕事すれば富士丸の留守番が減るからそのほうがいいかなと思ったからだし、山に移住しようとしたのも「都会の人混みに疲れたから」ではなく、きっと富士丸が喜ぶだろうからだった(結局、富士丸の急死で中止になったけど)。
その後、現在の鎌倉市腰越の海沿いに引っ越したのも、「海が好きだから」でも「サーフィンがしたい」でもなく、なんとなくそのほうが大福が喜ぶかなという要素が大きかった。結果は全然喜ばなかったのだが。
もちろんそれ以外でもいろいろなことを決めてきたが、振り返ってみると大きな決断をするときは犬が大きく関わっている。ほとんど犬に生き方を決められているくらいのレベルで。「お前と出会っていなければこうはなってなかったと思うよ」ということがたくさんある。
影響の程度はそれぞれ違うと思うが、犬と暮らす人は何かしらそういう面があるのではないだろうか。犬にはそんな力があるように思う。
でも結果的に、後悔はしていない。むしろこれでよかったと思っている。まぁ、違う道は通っていないから分からないのだが。
私にしては珍しく45歳くらいのときに「50歳までに山に家をもつ」という目標を立てたが(書籍『犬の笑顔が見たいから』参照)、それも大福のためである。そして、なんとかそれはクリアした。
そして今、次の目標は特にない。また成り行きに戻ってしまった。それはそれでいいかもしれない。犬にまかせた人生だから。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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