1. トップ
  2. 犬が好き
  3. 連載
  4. 穴澤賢の犬のはなし
  5. 薬をいやがる犬への飲ませ方【穴澤賢の犬のはなし】

犬が好き

UP DATE

薬をいやがる犬への飲ませ方【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

犬との暮らしについて、私は以前から「折れるところは折れるべき」だと思っている。いわゆる「しつけ」については、一緒に暮らすために最低限のルールは覚えてもらう必要がある。その他、「かまない」、「けんかしない」、「拾い食いしない」、「道路に飛び出さない」など、困ることはしないように覚えてもらうのも必要だと思う。

一緒に暮らすためのルール

ただ、何でもかんでも強制するようなことはしない。常に飼い主の「命令」に従順であるように、少しでも言うことを聞かなければ「NO!」としかる、なんてことはしない。軍隊じゃないんだから。自分が逆の立場だったら、そんなの絶対いやだろうし。
だから、一緒に暮らすうえでのルールをある程度覚えてもらったら、あとは好きにさせている。呼んでも全然来ないこともあるし(家の中で)、お見送りはもちろん出迎えにも来ない。それはそれで特に困ることでもないので、寝室で昼寝したいならしとけばいいと思っている。
老犬になり足腰が弱くなったときのために、家の中でも用が足せるようにと毎晩半ば無理やりさせていたが、彼らの頑なな主張に敗北し、折れたこともある。
ただ、何でもかんでも折れるわけではなく、譲れないことは諦めてもらうまでする。シャンプー後のドライヤーだってそうだし、獣医に連れていくのだって、いくらいやがられてもがまんしてもらう。

なぜなら必要なことだから

なぜなら、それは必要なことだからだ。ドライヤーはともかく(ブルブルされると困るけど)、彼らが自ら定期検診を受けるわけはないし、強引にでも連れて行くことで異常があったときにいち早く気付ける可能性があるからだ。
だから私は、折れるところは折れるけど、譲らないところは諦めてもらうという方針で接している。どうでもいいことは好きにさせるが、健康や命に関わることは出来る限り責任を持つ、というスタンスだ。
そんな中でも、わりとやっかいのが薬の飲ませ方だ。わが家では4月から12月までノミ・ダニ・フィラリア予防薬(シンパリカ トリオ)を飲ませているが、最初は苦労した。注射は打てばいいが、薬は飲んでもらわないとどうにもならない。富士丸は何も考えずゴクンと飲み込んでくれたのに、大吉と福助は飲んではくれない。砕いてゴハンに混ぜても食べない。口に入れても吐き出す。
そこで試行錯誤した結果、いやがっても飲み込ませる方法を編み出した。まず上を向いた状態で口を開き、できるだけのどの奥に薬を差し込むと、素早く口を閉じて手で軽く押させる。これで舌をペロッと出すと、飲み込んだ証になる(なぜか飲み込むと必ず舌を出す)。
文章だと分かりにくいかもしれないが、以前に動画もアップしてあるので、同じ悩みを抱えている方は参考にしてみても(大きい薬の場合は砕くなど小さくしてください)。
※注
大吉と福助の場合は噛まないので大丈夫ですが、口を触られるのをいやがる犬の場合は噛まれる可能性が高いので注意しましょう。そういう場合は使えない方法です。
ノミ・ダニはともかく(いろいろ害はあるけど)、フィラリアは一度寄生されると駆除するのが難しくなるので、そこは譲らず、いやでも飲み込んでもらおう。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
ツイッター
インスタグラム

大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
楽天ブックス
「犬の笑顔が見たいから」(世界文化社)楽天ブックス
CATEGORY   犬が好き

UP DATE

関連するキーワード一覧

人気テーマ

あわせて読みたい!
「犬が好き」の新着記事

新着記事をもっと見る