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アホだなーこいつ、と思った話【穴澤賢の犬のはなし】

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アホだなーこいつ、と思った話

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新たに暮らすことになった鎌倉の家の近所には、何人か友人が住んでいる。一人は十年来の付き合いでBといい(通称メガネブタの略)、一年ほど前に都内からこちらに移り住んだ。もう一人は七里ヶ浜に住んでいるGさんで、5年くらい前に知り合って以来、お互い犬好きということもあって、よく犬ごと家に招いてもらって遊んでいた。いつの間にかBとGさんも仲よくなっていて、昨年あたりから家族ぐるみでよく飲むようになっていた。

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そんなところへ引っ越して来たもんだから、さぁ大変。何かにつけて集まっては宴会となる。料理が得意なBが何かをちゃちゃと作り、それをつまみに男どもは酒を飲んでひたすら馬鹿話をする(なぜか嫁連中は共通してほぼ飲めない)という会になる。先週の土曜もそんな感じで、我が家に集合してBの沖縄料理祭りをすることになっていた。夜8時ころにみんなが集まりはじめ、Bが仕込みを開始する。早々にビールで乾杯だけして、Gさん夫妻は大福コンビと戯れていた。

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ちなみに、大吉はもとより福ちゃんもこのメンバーには何度も会っているので、家に来るとしっぽを振って大歓迎する(福ちゃんはもうふつうの愛想のいい犬になったので)。特にこの日、福ちゃんはやたらテンションが高く、Gさんの奥さんに遊んで遊んでとばかりにピョーン、ピョーンと何度もジャンプしていた。そんな様子を横目に見ながらGさんと私はビールを飲みながら、キッチンに立つBに「何作んの? 早く作れよ」などと言ってふざけていた。

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そのときだった。突然「キャインキャインキャイン」というけたたましい鳴き声が聞こえたかと思うと、福ちゃんがテーブルの下に隠れた。しかもずっと鳴き続けている。驚いて「どうした!?」と声をかけても鳴き続けてテーブルの下から出てこようとしない。隣にいる大吉もビックリしている。どうやらGさんの奥さんによると、自分でピョンピョンと飛び跳ねていて、着地に失敗して足を痛めたのではないかとのこと。しかしそんなに高くはジャンプしていなかったという。

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テーブルの下を覗き込んでみると、どこかが痛いのか福ちゃんが悲鳴のように吠えつづけていた。30秒くらい鳴き続けてようやく静かになったが、様子を見ようと前足を引っ張って出そうとすると、また吠えて噛んでくる。足が痛そうなのはわかるが、見ないとわからないので噛まれてもかまわず引っ張り出す(相当嫌なはずだが本気噛みではなく加減できるようになっていた)。見ると右後ろ足が縮み上がっている。みんなで押さえ込んでゆっくり右後ろ足を触ってみるが、痛みが落ち着いたのか、吠えなくなっていた。

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痛いところはないかあちこち触ってみたり、ゆっくり関節を伸ばしたりしてみるが、もう痛がるようすはない。一応ほっとして、ただちょっとひねっただけかと放してやると、右後ろ足を床に付けずに3本足でひょこひょこと歩く福ちゃん。そのままこてんと転んだりもする。やっぱりどこか傷めたのかもしれない。もし神経だとしたら大変だ。しかし土曜の夜にどうしたものかと思っていると、Gさんが近所に24時間診てくれる動物病院があると言う。

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大丈夫だとは思ったが、何かあったらまずいのでひとまず宴会は中断して、病院で診てもらうことにする。Gさんの奥さんの案内で嫁と福ちゃんを連れてすぐに病院へ向かった。病院へ着いて状況を説明して診察してもらうが、触診してもらうとおそらく傷めてはいないだろうという話だった。足を床につかないのは痛みに驚いて怖くなっているだけで、一時的なものだろうと。一晩寝たらふつうに歩くようになるはずだが、もしも様子がおかしければ再度診たほうがいいというレベルで、骨折や脱臼はしておらず、たいしたことはないもよう。しばらく激しい運動はさけるようにと、ひとまず痛み止めの注射だけ打ってもらって病院をあとにした。

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ほっと胸を撫でおろしながら家に着くと9時を過ぎていたが、Bの料理がいい感じに出来上がっていたので改めて遅めの乾杯をした。それにしても幸いにして夜間でも診てくれる病院がすぐ近所にあってよかった。こういうとき、翌朝まで待たなければいけなかったりすると気が気ではない。が、引っ越して落ち着いたら保険に入ろうと思っていたので、保険なし状態だった福ちゃんのこの日の医療費は夜間ということもあってか、なんと1万6千円。

その後、1時間もすると足をついて歩くようになった福ちゃんを肴に「よっ! ひと飛び1万6千円の男」とかいって笑いながら酒を飲んだのだった。笑い事やないでしかし、と思いながら。嬉しくてテンションがあがるのはいいが、勝手にずっこけてキャンキャン泣きわめいて、何やってくれとんだ。
以上、アホだなーこいつ、と思った話でした。

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ちなみに、翌日には何事もなかったかのようにふつうに歩く福ちゃんなのだった。プロフィールの「動けるデブ」を撤回しなくては。

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