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「日本の保護犬でも聴導犬になれる」ことを証明してくれた”奇跡の犬”みかんちゃん 

ここでは、犬と、犬を取り巻く社会がもっと幸せで素敵なものになるように活動している方々をレポートします。

今回は、保護犬を引き取り聴導犬の育成をして、聴覚障害のある方々に無料貸与を行う日本聴導犬協会の福祉の取り組みについて紹介します。

1回目の記事|保護犬を聴導犬として育成し、聴覚障害者の自立と犬の命を助けて27年

奇跡の犬「みかんちゃん」との出会いで道が開けた

記念すべき第1号の聴導犬となった元保護犬のみかんちゃん。聴導犬を広めるPR犬としても活躍しました
記念すべき第1号の聴導犬となった元保護犬のみかんちゃん。聴導犬を広めるPR犬としても活躍しました
「みかんは、生後推定3カ月ころ、茨城県のスーパーの前で首にビニールひもをつけた状態で放浪していたのを、ある女性によって保護されました。その女性はたまたま当協会の発足をテレビ番組で知り、みかんが大変賢い犬とわかったので、すぐに私たちに連絡をくれたんです」
 
みかんちゃんは、どんな人にもフレンドリーに接することができ、教えられたことはすぐに覚える優秀さを発揮。長野県での訓練を経て2000年に、大阪府に住むユーザー(聴導犬を希望する聴覚障害者の方)Kさんへ貸与されました。ともに聴覚障害のあるKさんご夫婦のもと、みかんちゃんはさらに才能を開花したそう。
「たとえば、来客があったとき、ご夫婦どちらの来客かをちゃんと判断して教えに来ることもできたんです。その優秀さを見て、英国聴導犬協会主催の国際認定試験を受けさせることにしました」と当時を振り返る日本聴導犬協会代表の有馬もとさん。
英国から協会CEOを招き、いくつもの適性試験を受けた結果、みかんちゃんは最高位の「エクセレント」で合格。その後2001年には、日本初の公的交通機関に同伴できる聴導犬としてJR西日本に認定されました。
ユーザーで画家のKさんに、「階下でお母さんが呼んでますよ」と知らせに来たみかんちゃん
ユーザーで画家のKさんに、「階下でお母さんが呼んでますよ」と知らせに来たみかんちゃん
そしてみかんちゃんは、聴導犬引退後は、そのままKさんご夫婦に引き取られ、今度は家庭犬として愛情を一身に受けて、その命をまっとうしたそうです。
協会の東京支部で、聴導犬候補のなかちゃんがアラームに反応して訓練生スタッフを起こす様子。おなかにも乗ります!
協会の東京支部で、聴導犬候補のなかちゃんがアラームに反応して訓練生スタッフを起こす様子。おなかにも乗ります!
病院などでベルを鳴らしてもらい順番が来たことをユーザーに教える訓練。元保護犬のひさちゃんが練習しました
病院などでベルを鳴らしてもらい順番が来たことをユーザーに教える訓練。元保護犬のひさちゃんが練習しました
「みかんは、『日本の保護犬でも聴導犬になれる!』という突破口を開いてくれました。後に続く保護犬の育成では、みかんとの経験が大変役立ちました」
 
現在、日本聴導犬協会は、長野県本部ほか、関東、関西に支部をもち、15頭の聴導犬と介助犬がユーザーさんの生活を支え、候補犬として訓練中の犬が約50頭います。
公園での基礎訓練終了後は、ペットOKのカフェテラスに移り、公共の場で待つ訓練を行います。写真は沖縄の保護団体から来たききくん(推定1才)
公園での基礎訓練終了後は、ペットOKのカフェテラスに移り、公共の場で待つ訓練を行います。写真は沖縄の保護団体から来たききくん(推定1才)
屋外では聴導犬コートを着用。法律により認定証を見せれば、どんな公共施設にも入れます
屋外では聴導犬コートを着用。法律により認定証を見せれば、どんな公共施設にも入れます
次回は聴導犬を引退した犬、聴導犬に適さなかった犬のその後をレポートします。

※保護犬の情報は2022年12月7日現在のものです。
出典/「いぬのきもち」2023年2月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/田尻光久
写真提供/日本聴導犬協会 MAYUMI
取材協力/パークサイドカフェ・バーゼル
取材・文/袴 もな
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