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犬と登山する喜び【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

ずいぶん暖かくなり、山頂の雪も解けたので、ようやく登山シーズン(私にとって)となった。そんなわけで、犬登山仲間のヤマト一家と車山に登ってきた。行ってみて分かったが、車山は登山というよりハイキングレベルだった。

山登りがしやすい季節の到来

道中は石がゴロゴロ転がって少し歩きにくいが、傾斜はずっとゆるやかで、山頂まで40分ほどで到着する。あまりに楽勝すぎて、大福は山頂で「もう終わり?」とちょっと物足りなそうだったけれど、それでも山に登ってうれしそうだった。
車山の周辺は、なぜか樹木がほとんど生えていないので、ずっと360度景色を見渡しながら登れるのはよかった。このときの動画はインスタにアップしたので見てみてね。
無料駐車場もあるし、しっかりした装備がなくても気楽に登れるから、犬と行ってみるといいと思う。初夏になると、一面緑になるそうだから、その頃にまた登ってみようかと思っている。

翌週は別の山へ

大福の登山欲を解消すべく、翌週には入笠山に登ってみた。ここも途中までゴンドラで行けるし、片道1時間、往復で2時間程度なのでそれほどでもないが、きつい坂道もあるし、こちらの方が車山よりはちょっと登山っぽい。
ちなみに入笠山は犬連れで登山している人が結構多い。大型犬、中型犬はもちろん、トイプードルなど小型犬もうれしそうに登っているので、登山デビューにはちょうどいいのではないかと思う(私もそうだった)。
大福は相変わらず余裕で、ずんずん登っていく。私はその後ろ姿を見ながらついていく。山頂に到着して景色を見渡すと、なんともいえない爽快感がある。こんなことを書いている私が信じられないが、そう感じるようになってしまった。登山はいいものだ。
とはいえ私の場合、登山に目覚めたわけではなく、大福と登る山限定である。妻は登山仲間と冬山に登ったりもしていたが、私は大福が行かないなら「行ってらっしゃい」で終わる。「登ってみると雪山もいいよ」と言われても「そうなんだ」で終わる。
犬が登れない雪山にも本格的な登山にも一切興味がない。大福の後ろ姿を見ながら登ることに喜びを感じているのだ。
何よりうれしいのは、福助は11才、大吉は13才、8月には14才になるのに、片道1時間の上り坂、下り坂を余裕でこなすことだ。途中でバテる様子は一切なく、帰ってきても一晩寝たらフル充電されている。そして次に山に登るときも、しっぽフリフリで登っていく。そんな姿が愛おしくてたまらない。
7才半で原因不明の突然死してしまった富士丸の経験から、今がかけがえのない貴重な時間であることも、ずっと続かないことも知っている。だから余計にそう感じるのだろう。
元気に歩けるうちに、もっとたくさん山に登ろう。その方がちょっと鍛えられるかもしれないし、体力が落ちたら、それに合わせた山に行こう。大福がそんなに登山が好きだと気づくのが遅かったのは後悔しているが、その分、これから山に登ろう。そして、またしっぽフリフリで登る後ろ姿を見せて欲しい。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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インスタグラム

大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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