犬が好き
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災害を乗り越えるためにできること。「竜之介動物病院」 vol.3
※保護犬、飼い主さんの情報は2016年8月22日現在の情報です
愛犬が家族を笑顔に。 仮設住宅での犬との暮らし
地震から約1カ月間、家族3人と1頭で車中泊生活となりました。
モコちゃんは恐怖のあまり、地震後数日間、水も飲めずフードも食べられずといった状況が続いたそうです。
さらにはこれまで借りていた家の取り壊しが決まり、新たに住む場所も探さなければなりませんでした。
そんな折、近所の公園内に、ペットと入居可の仮設住宅の建設工事が始まることを知った梅田さんはすぐに応募し、運よく当選できました。
「仮設住宅は隙間が多く、アリがたくさん入ってきて、モコのゴハンにかたってしまうこともあり、モコの食欲もすっかり落ちてしまって……」と心配そう。
「でもここに住むことができただけでも感謝しています」と前向きな梅田さんご夫妻です。

運よく仮設住宅に入ることができた梅田さん家族。左から真実さん、優月くん、兼輔さん
「モコが人と人をつないで、みんなを笑顔にしてくれた」
「地震を経験し、息子たちも不安や恐怖を感じているようでしたが、モコの存在が癒しになってくれています」と梅田さんご夫妻。
近所のおじいちゃんおばあちゃんにも大人気のモコちゃんは、持ち前の人なつっこさで人と人とをつなげてくれています。
「近所の人がわざわざモコに会いに来てくれるんですよ」と話す梅田さんの横で、はしゃぐモコちゃん。その元気な様子を見て、また家族みんなが笑顔になれました。

「モコがいたから、つらい地震も乗り越えられた」と真実さん。モコちゃんの存在が心の癒しになっている
動物のぬくもりが子どもたちを笑顔に
余震が続くなか、恐怖と不安から緊張が解けないカトレア保育園の子どもたちの前に現れたのは、九州動物学院の犬たちでした。
動物のぬくもりに触れ、自然と笑みがこぼれる子どもたち。
さっきまでの緊張が少しずつ解きほぐれているようでした。
九州動物学院は、竜之介動物病院院長の徳田竜之介先生が理事長を務める専門学校。
地震前から教育の一環として、年間36回犬猫とともに老人施設などを中心に回っていた九州動物学院の学生さんとスタッフさん。
地震後は保育園などからの依頼も増え、子どもたちに多くの笑顔を届けています。

カトレア保育園からの依頼を受け、犬や猫とともに、子どもたちに笑顔を届けに来た九州動物学院の皆さん
災害を乗り越えるために。同伴避難の重要さ

竜之介動物病院院長の徳田竜之介先生。飼い主のいない犬を保護し、避妊・去勢手術後、元の場所に戻すTNR活動も年2回行っている
「飼い主さんは愛犬といられることで平常心を保て、愛犬もまた飼い主さんのもとだから安心して過ごせる。だからこそ、犬と人との同伴避難が重要なのです。今後は、犬は家族の一員というだけでなく、社会の一員にしなければならない」と、今回の地震を振り返り、語る徳田院長。
また、同伴避難に欠かせない項目として挙げたのは次の7つ。
- キャリーケース(クレート)への慣れ
- 迷子札、マイクロチップの装着
- 各種予防接種
- ペット用非常袋の備え
- しつけ
- 飼い主としてのマナー
- 同伴避難所開設への働きかけ
「愛犬と離れ離れになることは耐えがたいことです。いつ何時発生するかわからない緊急事態に備えておくことが、愛犬と飼い主さんがともに災害を乗り越えられることにつながるのではないでしょうか」

徳田院長と、竜之介動物病院のスタッフの皆さん。明るい笑顔で、飼い主さんと動物たちを迎えている
1回目の記事はコチラから>>
取材・撮影・文/尾﨑たまき
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