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ペットと飼い主さんが離れ離れにならないために。「竜之介動物病院」の取り組み vol.2
※保護犬、飼い主さんの情報は2016年8月22日現在の情報です
竜之介動物病院院長の徳田竜之介先生。熊本地震では施設をペット同伴避難所として開放。飼い主のいない犬を保護し、避妊・去勢手術後、元の場所に戻すTNR活動も年2回行っている。
東日本大震災を機に、強い使命感が生まれた。
竜之介動物病院の徳田院長がそう強く感じたのは、東日本大震災がきっかけだったそうです。
被災地で院長が目にしたものは、いつ迎えに来てくれるかわからない飼い主さんをじっと待つ、被災動物シェルターのペットたちでした。
そのあとすぐ徳田院長は、万一の有事の際、ペットと同伴避難できる場所になればと、経営している動物病院と、動物専門学校の建て替えを行いました。
建物の耐震強度や、さらには同伴避難に充分なスペースを確保し、また自家発電機や貯水タンクなど、万全の備えも整えました。
そんな折、突如起きた熊本地震。
院長が真っ先にしたことは、診察はもちろん、ペット連れの被災者を受け入れることでした。
不眠不休で働き続け、震災から24日間で竜之介動物病院に避難された方は、延べ1500人と、犬・猫などのペット2000頭にものぼりました。
この日は仮設住宅暮らしの西田憲道さん、久美子さんご夫妻のお宅にフィラリア予防の薬を届けに行きました。
ご夫妻と暮らしているのはミックスの中型犬クリちゃん。
前足をクロスしてリラックスしているクリちゃん
「ここに来てすぐ、脱走したんですよ。そしたら、地震前に住んでいたところに帰っていてね。もう更地になっているのに……」と西田さん。
クリちゃんのことを思い、1日3回、今まで以上に散歩に行っているそうです。
狭い仮設住宅では、出入り口の前がクリちゃんのスペース
飼い主さんに会えない寂しさがストレスに。
地震後の避難所暮らしでは犬と同伴避難ができなかったため、クリちゃんを熊本、コロちゃんを福岡の知人宅へ預かってもらっていました。
ところが、仮設住宅で暮らすことがようやく決まった数日後、迎えに行った娘さんのもとで、コロちゃんは突然息を引き取ったそうです。
「地震のストレスがあったんでしょうかね。もっと早く迎えに行ってあげればよかった」とつらい胸の内を語ってくださった西田さんのそばには、クリちゃんがそっと寄り添っていました。
仮設住宅の玄関前でクリちゃんの気分転換を図る西田さん
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取材・撮影・文/尾﨑たまき
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