「ずっとケージの中に閉じ込められ、仔犬を産んでは取り上げられを繰り返し、外の世界を知らずに育ったそうです。繁殖犬としての役目を終えた途端に、捨てられたのでした」
こう話すのは、元繁殖犬・むぎちゃん(推定7才)の飼い主さんです。
繁殖業者に捨てられたむぎちゃんでしたが、幸運にも命を落とすことなく、保護団体に引き取ってもらったそう。
そのあとに出会ったのが、新しい家族となるいまの飼い主さんだったのです。
むぎちゃんとの出会いは、先代犬が巡り合わせてくれたのかも
飼い主さんがむぎちゃんと出会ったのは、保護団体が開催していた犬の譲渡会。先代犬を亡くしてから落ち込んでいた飼い主さんの姿を見たご主人が、譲渡会へと誘ったのでした。
「その場で私たちに駆けよってきたむぎを抱き上げると、ジーーッと私たちを見つめ、安心と温もりを求めるかのように、ピターーっと体を寄り添わせてきました」
体を寄り添わせてきたむぎちゃんの姿を見たとき、「このコを迎えよう!」と決意したそうです。
私を元気づけようとして、先代犬がむぎに引き合わせてくれたのかもしれないーー飼い主さんは、そう思わずにはいられなかったそう。
そしていまでも、この新しい出会いに感謝しているといいます。
むぎちゃんの楽しそうな顔を見るのが、飼い主さんの喜びに!
むぎちゃんは、とても穏やかでおとなしい女のコ。控えめだけれど、人が大好きで、甘えん坊なのだとか♪
飼い主さんの家に来た当初は、お散歩に出ても歩けずにいたり、家の中でも申し訳なさそうにじっとしていることがあったそう。
でも、そんなむぎちゃんが次第に変化を見せるのでした。
「少しずつ散歩が好きになり、公園で思いっきり走るようになったり、お気に入りのぬいぐるみとじゃれて遊んだり。
むぎが楽しい顔をしているのを見るその瞬間が、何よりも楽しくて嬉しいです!」
甘えるようになったむぎちゃんの姿に、幸せを感じる日々
飼い主さんに、むぎちゃんとの暮らしで幸せを感じる瞬間を聞いてみると、「甘えてきてくれるとき」だと答えてくれました。
「むぎが成犬であっても、それまでの生い立ちがどうであっても、私たちがむぎを家族として迎えた気持ちと同様に、むぎも私たちを家族と思ってくれているんだと思い、とても幸せを感じます」
むぎちゃんと暮らしてみて変わった、保護犬へのイメージ
飼い主さんにとって「大切な家族」になった、むぎちゃん。むぎちゃんを通して、保護犬・保護猫の存在や、パピーミルの惨状について知るきっかけにもなったそう。
そして、むぎちゃんと暮らすことで、「保護犬は飼いにくそう」「成犬からは懐かないのでは?」という先入観が、180度変わったといいます。
もちろん、そのコの置かれていた境遇によっても状況はさまざまだと思いますが、むぎちゃんの穏やかさ、人懐っこさが、飼い主さんの気持ちを変えたのでしょう。
「誰かが不要とした命でも、こんなにも運命は変わる」
これは、飼い主さんが保護団体の方から聞いた、いまでも印象に強く残っている言葉だそう。むぎちゃんのいまの笑顔を見ても、そのことが伝わるのではないでしょうか。
「第2の犬生」を楽しんでほしい!
「むぎの子どもたちが、どこかで幸せに暮らしていると信じ、むぎはむぎの第2の犬生をめいっぱい楽しんで、穏やかで幸せな毎日を一緒に過ごしていこうね!!
我が家に来てくれて本当にありがとう!」
生まれてから繁殖犬として、つらい思いをしてきたであろうむぎちゃん。飼い主さんに出会い、甘え方を知りました。
いまようやく外の世界を見ることができ、いろんな経験を飼い主さんとともにしています。
これからも、楽しいことがたくさん待っているはず! むぎちゃんの成長の様子は、ぜひ
飼い主さんのInstagramをご覧ください♪
むぎちゃんの素敵な笑顔が、そこにあります。
参照/Instagram(
@ayako_mugi)
取材・文/凜香