犬が好き
UP DATE
南国の山頂で3頭の保護犬と暮らす斉藤さんの物語
高知県・愛護センターの今後と、南国の山頂で暮らす元保護犬
正しい知識の啓蒙もできる新施設を目指して
また、数年前までは、譲渡をしても避妊・去勢手術を行わない家庭が多く、逆に子犬の数を増やしてセンターに逆戻りというケースもあったそう。
現在は、譲渡先で避妊・去勢手術が行われているか、飼育放棄をしていないかなど、センターの職員が1軒1軒抜き打ちで訪問するなどの努力をしています。
そして、県は2~3年後の完成を目指し、新しい愛護センターの建設を予定。
加志﨑さんは、「斉藤さんと出会ったことで、犬を飼うための正しい知識の啓蒙、収容犬のメンタル面のケアやトレーニングの大切さを、あらためて認識しました。愛護センター建設については、単に犬・猫を収容するだけの施設ではなく、民間の意見も取り入れて、皆が納得できるものをつくってもらいたい」と願っています。
広大な牧場で伸び伸びと育つ3頭の元保護犬
斉藤牧場は、獣医師をしている夫の佳洋(よしひろ)さんとご両親によって管理されています。山の急斜面を開墾した山地酪農で、広大な敷地に放牧された26頭の牛からは新鮮な牛乳が毎日搾乳されています。
「南国斉藤牧場の山地酪農牛乳」は、全国にも知られたブランドです。
牧場にある斉藤さんの自宅では、ニーナちゃんほか、中央小動物管理センターから引きとった2頭の保護犬、そして8匹の猫たちが生活しています。
家族の力も借りつつ、犬との生活の素晴らしさを伝えたい
佳洋さんも斉藤さんの愛護活動を日々サポートしてくれる強い味方です。
毎年の狂犬病の予防接種時には、犬を集合注射の指定場所に連れてくることが難しい、過疎地に住む高齢の飼い主さんのために佳洋さんが家まで出向き、予防接種を行うことも。
最後に斉藤さんは、
「犬を飼うことには努力と忍耐が必要です。とくに保護犬の場合、あせらずゆっくり時間をかけて犬との信頼関係を築くことが大切。一度強い信頼関係で結ばれたら、そこから本当の人と犬との心の交流が始まるんですね。今後も一人でも多くの人に犬との生活の素晴らしさを伝えていければ」
と語ってくれました。
出典/「いぬのきもち」2019年4月号『犬のために何ができるのだろうか』
取材・文/袴 もな
撮影/筒井聖子
UP DATE