犬が好き
UP DATE
野犬も放棄された狩猟犬も見捨てない! 高知県の取り組み
数年前まで殺処分ワーストだった高知県が変化を遂げた!
穏やかな家庭犬として育った土佐のニーナちゃん
「土佐という犬種を家庭犬として飼うのは無理、という意見もありましたが、育て方や環境によって、穏やかな気質の犬にもなるんです。ニーナの場合、子犬のころから、年齢もさまざまな人とふれあわせ、積極的にいろいろな場所に連れていきました。もって生まれた気質と環境の管理は重要な要素となりますが、どんな状況にも、犬が『恐怖』を感じない社会化トレーニングがとても大切なんです」
と話す斉藤さん。
県内の小学校から高校までを回って行う「動物愛護教室~命の授業」では、ニーナちゃんがいつも大活躍。
「犬と初めて接するときの触り方」「犬が近づいてきたときの対処法」「動物の命の大切さ」などを斉藤さんがわかりやすく教えます。
最初はニーナちゃんを怖がった子どもも、時間がたつにつれ自然に触れるようになります。
子どもたちからは、「ペットを飼う責任の重さがよくわかりました」「動物の命は大切にせないかんと思った」という声がいつも上がるそうです
センターの過剰収容問題にも真摯に取り組む斉藤さん
「高知県中央小動物管理センター」でも、斉藤さんはボランティアで指導を行っています。
このセンターは、高知県の委託を受けて民間の会社が運営しています。センター長を務める加志﨑さんと斉藤さんは、13年来のおつきあいで、今までセンターが抱える多くの問題にいっしょに対処してきました。
「数年前まで、高知県は常に殺処分ワーストの県として批判されてきましたが、斉藤さんをはじめとした民間の方々の力も借りて、徐々に殺処分率が改善されてきました」と語る加志﨑さん。
平成29年度の高知県の犬の殺処分数は、19頭と激減しましたが、逆に『殺処分ゼロ』の数字にこだわることで生じる問題も多くある、と加志﨑さん。
「現在の一番の問題は、過剰収容の状況です。中央小動物管理センターのキャパシティは25頭程度ですが、現在は30頭を超える犬が収容されており、対応に追われる毎日です」と悩みが絶えないとのこと。
収容された野犬や狩猟犬には、時間をかけて少しずつ心を開かせる
高知県では、ハンターが山で放棄した狩猟犬、野犬の放浪が多く、そうした犬たちを収容しても、譲渡先がなかなか見つからないのが現状。
斉藤さんは、犬たちが少しでも人に慣れるようトレーニングを行っています。
「ここにいる犬の多くは、しつけ以前に人を怖がらずに受け入れてくれることが先決。それにはゆっくり時間をかけて接するしかないんです」
出典/「いぬのきもち」2019年4月号『犬のために何ができるのだろうか』
取材・文/袴 もな 撮影/筒井聖子
UP DATE