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野犬も放棄された狩猟犬も見捨てない! 高知県の取り組み

数年前まで殺処分ワーストだった高知県が変化を遂げた!

高知県の保護犬の幸せを願い、行政とともにさまざまな取り組みを行う、「こいぬのしつけかた教室・ふぁーむどぎぃ」主宰のしつけインストラクター・斉藤喜美子さんの活動と、高知県中央小動物管理センターの現状について紹介します。

1回目の記事はコチラから>> 「保護犬の幸せを願い奮闘する、高知県第一号の家庭犬しつけインストラクター」

穏やかな家庭犬として育った土佐のニーナちゃん

斉藤喜美子さんは、県内の学校などで愛護教室を開催する際、可能な限り愛犬・ニーナちゃんを同伴させるそう。この写真は、とある高校で行われた課外事業のひとコマ。生徒たちはニーナちゃんに触れられて大喜び!

「土佐という犬種を家庭犬として飼うのは無理、という意見もありましたが、育て方や環境によって、穏やかな気質の犬にもなるんです。ニーナの場合、子犬のころから、年齢もさまざまな人とふれあわせ、積極的にいろいろな場所に連れていきました。もって生まれた気質と環境の管理は重要な要素となりますが、どんな状況にも、犬が『恐怖』を感じない社会化トレーニングがとても大切なんです」
と話す斉藤さん。

県内の小学校から高校までを回って行う「動物愛護教室~命の授業」では、ニーナちゃんがいつも大活躍。
「犬と初めて接するときの触り方」「犬が近づいてきたときの対処法」「動物の命の大切さ」などを斉藤さんがわかりやすく教えます。

最初はニーナちゃんを怖がった子どもも、時間がたつにつれ自然に触れるようになります。
子どもたちからは、「ペットを飼う責任の重さがよくわかりました」「動物の命は大切にせないかんと思った」という声がいつも上がるそうです

センターの過剰収容問題にも真摯に取り組む斉藤さん

写真は高知県中央小動物管理センター内の犬舎の様子。それぞれの犬舎には、犬同士の相性を考えたうえで、5~6頭の犬を収容。

「高知県中央小動物管理センター」でも、斉藤さんはボランティアで指導を行っています。

このセンターは、高知県の委託を受けて民間の会社が運営しています。センター長を務める加志﨑さんと斉藤さんは、13年来のおつきあいで、今までセンターが抱える多くの問題にいっしょに対処してきました。

「数年前まで、高知県は常に殺処分ワーストの県として批判されてきましたが、斉藤さんをはじめとした民間の方々の力も借りて、徐々に殺処分率が改善されてきました」と語る加志﨑さん。

平成29年度の高知県の犬の殺処分数は、19頭と激減しましたが、逆に『殺処分ゼロ』の数字にこだわることで生じる問題も多くある、と加志﨑さん。

「現在の一番の問題は、過剰収容の状況です。中央小動物管理センターのキャパシティは25頭程度ですが、現在は30頭を超える犬が収容されており、対応に追われる毎日です」と悩みが絶えないとのこと。

収容された野犬や狩猟犬には、時間をかけて少しずつ心を開かせる

人に興味を示さなかった野犬のゆずちゃん(メス・推定2才)は、徐々に斉藤さんに近づくようになったそう。

高知県では、ハンターが山で放棄した狩猟犬、野犬の放浪が多く、そうした犬たちを収容しても、譲渡先がなかなか見つからないのが現状。
斉藤さんは、犬たちが少しでも人に慣れるようトレーニングを行っています。

「ここにいる犬の多くは、しつけ以前に人を怖がらずに受け入れてくれることが先決。それにはゆっくり時間をかけて接するしかないんです」
センターに収容されていたはやとくん(オス・1才)は、野犬の子犬。センターで育ったため人に慣れており、譲渡の対象に!
※各情報は2019年2月6日現在の情報です。

出典/「いぬのきもち」2019年4月号『犬のために何ができるのだろうか』
取材・文/袴 もな 撮影/筒井聖子
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