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自由きままな犬たちを見ていると【穴澤賢の犬のはなし】

このところ、大吉と福助は仕事部屋に来ない。朝、私が仕事部屋に行くと、彼らは寝室へ消える。ベッドの上でがっつり2度寝しているのだろう。それはおそらく気温が関係していると思われる。11月頃から冷え込む日が増えたから、きっと3階の寝室の方が暖かいのだろう。そして1階にある仕事部屋は、ちょっと寒い。

日中の行動

仕事部屋には彼らのベッドを置いてあるが、それより3階の寝室でぬくぬく寝る方を選ぶ。そのまま日中は降りては来ない。そこで私はブランケットをかけながら、黙々と仕事をしている。そして15時頃になると、ようやく降りてきて「もうすぐ散歩だよね」という顔で待機する。

でも留守番は不満

最近は日が短くなったので、暗くなる前の16時頃に散歩に行くようにしている。散歩から帰ると、大福はまた寝室に消える。また私は寒い部屋で仕事に戻り、夕食の頃まで降りてこない。これが家で仕事をしている日の流れだが、ちょくちょく打ち合わせなどで出かけることもある。
そんなときも朝、彼らは寝室に行き、見送りにも一切ない。私は用事を済ませて、できるだけ夕方の散歩に間に合うよう16時までには帰るようにしている。そんな日は帰宅すると、たいてい大福がドドドドー!と階段を降りてきて、出迎えというよりは「どこ行ってたんだよ!」という抗議の眼差しを向けてくる。いや、君らいつも寝室で寝ているじゃん。

愛情のバロメーター

また、夜に晩酌をしながらなでると「もう、眠いのに〜」と迷惑そうな顔をされたりする。そういうとき「なんだよお前ら」と思うが、一方で少し安心する。昔から思うが、犬は自分にそそがれる愛情のバロメーターのようなものを持っていて、それが満たされてると迷惑そうな顔をするからだ。
逆に忙しかったり、外出が多かったりしてあまりかまってやれない日が続くと、何かにつけて「遊ぼ!」と誘ってきたり、明らかに不満そうな顔をする。日中に寝室で寝ていることも、たぶん満たされている証なのだろう。と思いながら、寒い部屋でひとりこれを書いている。もしかしたら寝室が暖かいだけなのかもしれないが。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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