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福助、6才になる【穴澤賢の犬のはなし】

この前も書いたが、2020年1月11日で福助は6才になった。元ノラなので誕生日は推定だが、保護されたとき生後数カ月の子犬だったから逆算すると、だいたいそんなものだろう。

トラウマ犬もいつの間にか

そういえば、昨年秋のイベントで会った女性から「あのときはやばい犬を迎えたなぁ、穴澤さんでも無理だろうと思いましたよ」と言われたが、たしかに人間に対する恐怖心は相当だったものの、まぁなんとかなるだろうと軽く考えていた。
実際、何度も血が出るほど噛まれたり、いろいろされたが、なんとかなった。その後の破壊大魔王時代も経て、今ではなんの手もかからないお気楽な丸い奴になっている。私はそう感じるが、きっと大吉は結構大変だろうと思う。なにせ、6才になる今もガキンチョ丸出しだからだ。

精神年齢は……

大吉のものは自分のもの、自分のものは自分のものという基準だから、おもちゃでもなんでもすぐ横取りしようとする。なぜか食べ物だけは奪おうとしないが、それは遠慮しているわけではなく、ふたりとも食に対する執着心がないからだと思われる。
経験上、犬は5才を越えてくると「人間(犬)ができてくる」が、福助にはまったくその気配がない。しょっちゅう大吉に「やんのか!」とケンカを売っているし、兄貴分を慕う雰囲気が見られない。弟というのは、犬でもこうなるものなんだろうか。
けどそれは、大吉にも原因があるのではないかと思う。とにかく福助に甘いのだ。本気でやったら大吉の方が圧倒的に強いのに、福助には手を抜いているのがよくわかる。私が相手だと相当強い力で引っ張るのに、福助相手だと負けてやっている。
いくら年下でも「ええ加減にせいよ!」と、たまに怒ってもいいと思うのだが、そんなときも決して本気は出さない。それをいいことに福助がますます調子に乗る。まるで大吉の上に乗って、福助が好き勝手に飛び跳ねているように見える。でもデカイ顔するのは家の中だけで、対外的にはビビリでヘタレなのだが。大吉はそんな福助が、たまにうざく感じたりしないんだろうか。
感じないらしい。平和そうで何より。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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