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柴犬ってホントは|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.16

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「いぬのきもちWEB MAGAZINE」が送る連載、家庭犬しつけインストラクター西川文二氏の「犬ってホントは」です。
今回は、人気の柴犬に関するお話。「柴犬は飼い主に忠実」と昔からいわれる一方で、飼い主を噛むトラブルが多いのだそう。その矛盾に、西川先生がズバリ斬り込みます(編集部)


先日、ある飲み会の席で、友人の友人が犬の話をし始めました。
その友人の友人は私の仕事のことをよく知らないようで、ご自身の飼っている柴犬に関する持論を話し始めたのです。
「柴犬にしつけのトレーニングなんて必要ない。柴犬はあるがままの姿がいい」
とのこと。
なるほどなるほどと相槌を打ちつつ、問題を抱えていないかを、それとなく探りました。
友人の友人の場合は本気で噛まれるなどの深刻な問題はないようでほっとしましたが、柴犬の場合本気で噛まれる飼い主が、他の犬種に比べて多い。
なぜ、柴犬の飼い主は本気で噛まれるようになってしまうのでしょう。

飼い主に忠実なのに飼い主を本気で噛む

公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)の家庭犬インストラクターの認定を受け、プロとして活動を始めて20年。
20年前も今も柴犬の人気は強く、常に一定数の生徒さんがしつけ教室に学びに来ます。
柴犬は20年間の累計を見ると、教室に来られるなかで4番目に多い犬種です。
4番目ながら、飼い主が本気で噛まれる問題を抱える犬種の1番は、なんと柴犬(総数ではなく、比率の多さで)。
なかには抱かれることすら拒絶する犬も、教室に通って来ていました(もちろん教室に通うことで、結果抱き上げられるようになっていきましたが……)。
柴犬は飼い主に忠実などと、よくいわれます。
でも、忠実な犬が一番反抗的な態度、噛む行動に出る。
大きな矛盾です。

↑経験上柴犬が、深刻な噛みの問題を抱えるケースが一番多い
↑経験上柴犬が、深刻な噛みの問題を抱えるケースが一番多い

飼い主が本気で噛まれるシチュエーション

昔から人気のある柴犬。教室に来る彼らの飼育環境は、20年前は半数以上が外飼いでした。現在はというと、100%が室内飼いです。
短期間に、犬の飼育環境が変わったのが見てとれます。
いや変わったのは、飼育環境だけではなく、そもそもの柴犬に求める姿が変わった。
「番犬」からいっしょにリビングで生活し、どこにでもいっしょに連れて行ける犬「コンパニオン・ドッグ」へと、です。
さて、それまで噛まなかった犬が本気で噛むようになる、そのきっかけでよくあるのは、くわえているものを取ろうとしたとき、叱りつけたとき、嫌がるケアを無理やり行ったとき、の3つです。
「コンパニオン・ドッグ」としての姿を求め、いっしょにリビングで生活するようになれば、何かをくわえられる機会、叱りたくなる機会、ケアをする機会は、当然のように増える。

↑社会化および家庭犬としてトレーニングを行えば、みんなイイコに育ちます
↑社会化および家庭犬としてトレーニングを行えば、みんなイイコに育ちます

忠実なはずだからと、無理やりことに及ぶ。結果噛まれる

合図でくわえているものを離すように教える、叱らないで済む環境を提供する一方で好ましい行動を教えていく、嫌がるケアに慣らす。
柴犬に限らず、いずれも、コンパニオン・ドッグに育てるために必要な事柄です。
でも、なぜ柴犬の噛む比率が高いのか。
それは、先の「柴犬は飼い主に忠実」という思い込みが、他の犬種に比べ飼い主に強くあるから、だと私は考えています(もちろん、そうでない飼い主もいますが……)。
飼い主に忠実なはずだから、くわえているものを無理やり取っても受け入れるはず、叱りつければ服従するはず、嫌がるケアも無理やりやっていればやがて諦めて受け入れるはず……
結果、噛まれるようになってしまう。
勝手な思い込みは、捨てることです。
飼い始めの時期から、「コンパニオン・ドッグ」に育てるために必要なさまざまな事柄を教えてけば、みんなイイコに育つのですから。

文/西川文二
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供

西川文二氏 プロフィール

公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。東京・世田谷区のしつけスクール「Can ! Do ! Pet Dog School」代表。科学的理論に基づく愛犬のしつけ方を提案。犬の生態行動や心理的なアプローチについても造詣が深い。著書に『イヌのホンネ』(小学館新書)、『いぬのプーにおそわったこと~パートナードッグと運命の糸で結ばれた10年間 』(サイゾー)、最新の監修書に『はじめよう!柴犬ぐらし』(西東社)など。愛犬はダップくん(14才)、鉄三郎くん(10才)ともにオス/ミックス。

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