犬が好き
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犬を叱ってもなおらないワケ|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.17
今回は、犬と仲良くなる方法を考えるお話。「まず互いの違いを知ること」と西川先生は話します。身近に過ごせば過ごすほど、相手が犬であることを一瞬忘れることがあるかも!?というのは大げさかもしれませんが、「犬」と「人間」の立場で客観的に捉えると、仲良くなる方法が見つかりやすくなりますよ(編集部)
相手とより仲良くなりたいのなら、どうするか。
まずは好きな音楽とか、出身地とか、共通の知り合いがいるとか、何かしらの共通点を見つける。
一方で、相手が自分と違う部分を知る。自分が好きことでも、相手には嫌いなことかもしれない。
相手との共通点を見つけ、一方で自分との違いを知る。
これが、他者と仲良くなる秘訣といえるでしょう。とくに意識していなくても、結果的に仲良くなれる相手とは、お互いにそう接していきているはずです。
さて、犬の話です。
人間と犬との関係も同様です。
人間との共通点を見つけ、一方で人間との差異点を知る。これが、仲良くなる秘訣なのです。
犬との関係は、まず違いを理解することから
進化の過程で獲得してきたものには、共通している部分がたくさんあります。
一方で、違う部分もあります。一番の理解しておくべきことは、3歳児以上の人間と同等の言語能力は獲得していないというところです。
2単語の組み合わせまでは理解できるが、それ以上の会話的な内容は理解できない。
言って聞かす、諭す、などはまったく無駄な努力ということです。
3歳児前後以降になって獲得する、時間や数の概念、死ぬことなど、目の前にある現実以外のことを想像する能力も、恥ずかしい、罪悪感、軽蔑など、目に見えない何かと比較して動く感情も、持ち得ません。
基本的な感情と行動原則は犬も人間も同じ
最も重要なのは、以下の4つの行動原則です。
結果的にいいことが起きる行動を習慣化していく。
結果的に嫌なことがなくなる行動を習慣化していく。
結果的にいいことがなくなる行動をやめていく。
結果的に嫌なことが起きる行動をやめていく。
なんでこんなことをしているの?
その答えは、いいことが起きているか、嫌なことがなくなっているの、いずれかということです。
「いいこと」と「嫌なこと」に関していえば、少なくとも人間の2歳児が「喜ぶこと」と「嫌がること」と同じ、と考えるといいでしょう。
例えば、おいしい、たのしい、きもちいい、などは、犬たちにとってもいいことなのです。
擬人化すべきこと、してはいけないこと
すでにお話ししたように、共通点と差異点を知ることが重要で、共通点は大いに擬人化すべきです。一方で、差異点は擬人化すべきではありません。
誤解がないように、補足を少し。
「ある行動をとった結果、嫌なことが起きれば、その行動は減っていく」
「犬を叱る」は、この行動原則を利用しようとすることです。
しかしながら「いくら叱っても直らないんです」という声が絶えません。
それはなぜか?
人間の子供たちを叱ったとします。なぜ叱られたか? どうしたらいいのか? この2つを、言って聞かす、諭す、などの方法で、子どもたちにはちゃんと伝えているはずです。
いくら叱っても直らない理由は、もうお分かりですね。
犬の困った行動は、叱らなくとも改善できます。
今ではその方法論が確立しています。それを是非とも知るべきです。
え? それが分からないから困っている?
であれば、日本動物病院協会(JAHA)のホームページで、お近くのインストラクターのしつけ教室をポチっと、検索することですね。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
西川文二氏 プロフィール
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