犬の祖先は3万3000~1万5000年ほど前に、人の周辺に住んでいたオオカミのなかから現れたといわれています。そのため、犬とオオカミには共通点も。今回は、オオカミと犬を比較することで、犬がいかに人とコミュケーションをとることができるのか解説します。
共通点!オオカミも犬も視線でコミュニケーション
オオカミは群れで暮らしており、その上下関係を重視しています。その関係を確認する手段として用いられるのが、視線でのコミュニケーション。優位のオオカミが相手をじっと見つめたとき、劣位のオオカミは目をそらすことで、それぞれが「自分は上」「自分は下」と意思伝達をするのです。
一方犬の場合、おねだりをするときなど、何かを期待するときに人を見つめることがあります。その際に注目しているのは、人の目の動きと行動。犬は人に視線を送ったり、人の視線を読むことでコミュニケーションを図ろうとしているのです。
そのため、犬がこちらを見つめていたら、できる範囲で応えてあげるとよいでしょう。
人のジェスチャーに反応するのは犬だけ
アメリカの大学で、おやつを見えない場所に隠し、その位置を指さしで教えてあげたとき、オオカミと犬は見つけることができるのか? という調査が行われました。その結果、犬はおやつを選ぶことができ、オオカミはできないということが判明。
理由として考えられるのは、犬が好奇心旺盛な動物であるということ。「指さしの先にイイモノがあった」という経験から学習し、指さしに反応するようになったと考えられます。
それに対してオオカミの場合、わけもわからず指さしに応じるのはエネルギーの無駄だと判断したよう。また、好奇心よりも警戒心が勝ったからだとも考えられます。
犬との間だけ!人と犬が見つめ合うと幸せホルモンが出る
幸せホルモンとよばれるオキシトシンは、出産や子育てに関連するホルモンとして知られています。ストレスを緩和し、幸せな気分をもたらしてくれるこのホルモンが、実は人と犬が見つめ合うことでもお互いに分泌されることが分かりました。
一方のオオカミと人では、同じことをしても分泌されることはありません。
信頼関係で結ばれている飼い主さんと犬は、見つめ合うだけで幸せな気分になれる。犬好きにとっては嬉しい研究結果ですよね。
人と共に歴史を刻んできた犬たちが、いかに人とのコミュニケーションをとることができるのか、オオカミと比べることでより浮き彫りになります。人のパートナーとして、大きな存在を示す犬たち。これからもいい関係を築いていきたいですね。
参考/「いぬのきもち」2016年11月号『キツネ、タヌキ、ジャッカル…… かわいいイヌ科動物も登場! オオカミと比べてわかる犬のこと』(監修:哺乳類学者 川崎市環境影響評価審議会委員 日本動物科学研究所 今泉忠明先生)
文/kagio
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。