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プライベートドッグランの実態【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

このところ、山の家に行ったときに大福がドッグランで遊ぶ時間が減ってきたように感じる。着くとだいたい「わーい」と走るのだが、ひとしきり遊ぶと30分分もしないうちにスタタタと階段を登り、ドアの前で中に入りたいオーラを出す。

ドッグランに飽きたのか

ドッグランが完成した当時は、それこそ飽きることなく遊んでいた気がするが、最近は少し遊ぶとすぐ部屋に入りたがる(特に福助)。そしてストーブをつけている室内で昼寝する。寒くなってきたせいでも、年齢のせいでもなく、これは「慣れ」ではないかと思う。
朝起きる時間についてもそうだ。山の家を手に入れた頃は、行く度に大福は早起きして「早く外行こうよ」と目を輝かせていたのに、最近は私より起きるのが遅い。朝8時を過ぎても起きてこないから「お前ら、そろそろ散歩行くぞ」というと、「はいはい」とだるそうに起きてくる。なんでそんなにダラダラしてるんだ、といつも思う。

親の心、子知らず

思うに、彼らにとって山の家は最初こそ刺激的だったが、次第に当たり前になってきて喜びが薄れてきたのではないかと思う。雑草だらけだったところを何度も何度も草刈りして、フェンスを張り、ウッドチップを撒くために(足が汚れにくいように)階段を何往復もして、現在のドッグランになるまでがどれだけ大変だったか、全然分かっていないらしい。別に感謝されたいわけでもないが、ドライすぎる。
少し前から、ドッグランでくつろげるようにウッドデッキを組み立てているのだが、作業していると横にいる大福は明らかに「つまんねー」という顔をして、中に入りたがる。そして、やっぱり暖かい室内で昼寝する。
自分たちのプライベートドッグランがあるのがどれだけぜいたくなのか分かっているのかお前ら!と叫びたくなるが、彼らはもちろんそんなことは分かっていない。犬にも「慣れ」ってあるんだなぁと思う。
いいよお前らは、適当に遊んで飽きたら昼寝してればいいさ、と思いながら私はひとり、寒い外でドッグランにオイルステインを塗ったりしている。冬に作ることなかったなと後悔しながら。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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