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福助との7年【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

2021年1月11日で、福助が7才になった(元のら犬のため誕生日は推定)。もうそんなになるのか。わが家に迎えた当初は貧相な子ギツネみたいだったのに。しかも捕獲(※)されたときのトラウマで、抱き上げようとすると本気で牙をむく困ったやつだった。
(※)捕獲した保護団体の職員さんが悪いわけではないです。さまよっていた子犬を保護してくれて感謝しています

最初は問題児?だった福助

最初は腫れ物に触るように接していたが、途中で面倒くさくなり「かみたければかめば?」とやっていると次第に諦めてどこを触っても怒らなくなったが、今度は留守の間の破壊活動が始まった。
大吉はいつも知らん顔で、「それ、オレじゃないからね」と目で訴えていた。そんなことは分かっている、頼むから注意してくれよと思っても何もしない。そんな調子でクッションは食いちぎるわ、壁紙は剥がすわ、本棚から本を引っ張り出して粉砕するわとエスカレートし、さらにソファーまで破壊された。
こういうことは叱ってもむだなことは知っているので(一応叱るけど)、破壊されそうなところに板を張ったり、本棚の前にギターケースを置いてみたが、でもまた違うところをやられて防御方法を考えるという知能の戦いが続いた。

福助のトイレ問題

同時に、なぜか福助は右スピーカーの前がトイレだと勝手に認識し、そこでオシッコをするくせがなおらなかった。仕方ないからトイレシートを敷いたが、そうするとトイレ認識が強まるのではないかというジレンマに頭を抱えたりもした。
だんだんと誰かが家にいるときは何の悪さもしなくなっていくが、目を離したり留守の間にオシッコをしたり、破壊したり。後から来た犬を先輩が教育するとよく聞くが、トイレも含めて大吉は何も教えてくれない放任主義だと知った。
それでも大吉がいることで福助は安心し、いつも後を付いて回り、戦いを挑んでは手加減をしてもらいながら遊んで疲れて一緒に昼寝していた。
そうこうしているうちに、あまり破壊しなくなり、長くかかったがトイレも覚え安心していたら、独身時代から使っていたソファーベッドをやられた。同じく幼い頃は破壊王だった富士丸でさえ、このソファまでは破壊しなかったのに。小さいくせになかなかやりよる。
そんな苦難を乗り越えて、今では何の手もかからない丸いタヌキになった。だから今、愛犬の破壊活動に悩んでいる人がいたら、そのうちきっと落ち着くから大丈夫だと言いたい(福助は2才頃だったかな)。
7才といえば、富士丸と同じ年齢になったのか。そう考えると、まだまだガキンチョ丸出しで、妙にふてぶてしいが。とりあえず、元気でいてくれればそれでいい。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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