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かなり正確な犬の体内時計 【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

以前にも書いたことがあるが、私は日中、自宅の1階にある仕事部屋でパソコンに向かっている。後ろには一応、大福用のベッドも置いているが、彼らはそこにいたりいなかったりする。それにはどうも気分と気温が関係しているようだ。

夏と冬で居場所が違う

というのは、夏場はだいたい居るのに、冬場はほとんど3階にある寝室のベッドで寝ている。1階は底冷えするが、3階は日当たり良好でポカポカしているからだと思われる。夏場でも冬場でも、ときどき現れたかと思うといつの間にかいなくなる。そのあたりは気分なのだろう。
別に好きにすればいいと思いながら、エアコンをかけてもなぜかちょっと寒い仕事部屋で今これを書いているのだが、やはり振り向いても彼らの姿はない。きっと3階でぬくぬく昼寝しているのだろう。というのが、日常だ。

動き出すのは散歩の時間

最近は、夕方まで降りてこないことがよくある。それでも、ある時間なると必ずテケテケと部屋に入ってくる(寒いからドアは閉めているが、カチッと閉まらない工夫をしているので、鼻で押してドアを開ける)。
「ん?」と振り返って時計を見ると、16時前後だったりする。冬場はいつも16時ころに夕方の散歩に行くから、それを分かっているのだろう。部屋に入ってくると「さぁ、行こうか」という顔で伸びて準備運動をする。そうして催促されるように、散歩に出る。
たまたまかと思ったが、彼らが仕事部屋に来るのは翌日も16時5分、次の日は15時52分だった。このころは、大福が入ってきたら「お、もうそんな時間か」と仕事の手を止めて支度するようになってきた。そして散歩から戻ると、彼らはまたテケテケと階段を登って行く。
体内時間の正確さにも驚くが、私は寒い部屋にいるのに、自分たちはポカポカしながらたっぷり昼寝して、時間になると散歩を要求してくる態度にもあきれる。「執事か俺は」と思いながら、今日も彼らが降りてくるのを待っている。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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