犬が好き
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体に不安のある保護犬と家族に。飼い主が学んだ「目の前の今に全力投球する大切さ」
一緒に暮らすようになってまだ数カ月ですが、まるこちゃんは飼い主さんご夫婦に「大切なこと」をたくさん教えてくれているといいます。
まるこちゃんとの出会い

6才という年齢と病気を抱えていたことから、なかなか里親が決まらなかったそうですが、ご夫婦はまるこちゃんの写真を見て心が動いたといいます。
「初めて会ったときのまるこは、担当の預かりボランティアさんが不在で、不満いっぱいの顔でした。そこがまたいじらしく感じました。ボランティアさんが帰ってくると、上機嫌になり一緒に散歩をさせてもらうことに。
犬との散歩が初体験の私は、ドキドキが止まりませんでした。そんな私の心を一切察することなく、まるこはグングンと私を引っ張り、『行くよ!』と言わんばかりに私を見て笑ったんです。もう、イチコロでしたね」

飼い主さん:
「病気もあったので会う前は少し不安でしたが、会うともう不安はどこへやら。『まるこのすべてを受け入れ、面倒を見たい』と思いました」
こうしてご夫婦は、まるこちゃんと家族になるために、約1カ月のトライアル期間を過ごすことになります。
トライアル期間中に、ご夫婦に「ある試練」が
でも、次第にまるこちゃんは早朝や夜に吠えたり、指示をきかなかったりと、いろんな問題行動を起こすように。ご夫婦はしつけの大切さを痛感したといいます。
「担当ボランティアの方に相談すると『“鬼”になることも必要』と助言をもらいました。問題行動のピークは、トライアルから正式譲渡の返事をする1週間前。まるこに試されているような気もしました。 『あなた、私の親になれるの?』と。
私は絶対絶対、まること暮らしたい。その一心で腹を括り、ダメなものは心の底から『ダメ!』と伝えました。 すると、本当に驚くほどぴたりと問題行動はなくなり、まるこは私の顔を舐めるようになったんです。
犬が顔を舐めるのは母親のように思っている証だと聞き、とても嬉しかったですね」
まるこちゃんとの暮らしは、日々学ぶことがたくさん

ごはん前は嬉しすぎてダンスを踊るかのように部屋中を走り回ったり、お散歩中は夢中になりすぎていつも必死になっていたり——そんなまるこちゃんの姿から、飼い主さんは「おもしろいだけではなくて、そこまで一生懸命になれるすごさみたいなものを感じ、夢中になることの素晴らしさのようなものを学ばせてもらっています」と話します。
まるこちゃんのおかげで「1日1日を大切にしよう」と思えるように

体に不安があって大変なことも多いけれど、まるこちゃんのおかげで1日1日が大切になり、日々たくさんの気づきがあると飼い主さんは話します。
「今、まること共にいられることが嬉しくて仕方ないです。目覚めたまるこ、ごはん待ちのまるこ、ごはんにがっつくまるこ、散歩を心待ちにするまるこ。日常の全部が愛おしいです。
笑って泣いて、食べて寝て、目の前の今に全力投球する。それは、まるこが教えてくれた大切なこと。私たちにとって普通の日々が続きますように、それを叶えてあげられるようにしたいと思います」
取材・文/雨宮カイ
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