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【獣医師が教える!】チワワの寿命と長生きのコツ

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純血種のなかで最も小さい犬種チワワ。その小さな身体、つぶらな瞳、人懐こい性格は、人々を魅了してやみません。国内の飼育頭数においては、トイ・プードルについで2位に位置づけている人気犬種です。今回は、チワワといつまでも楽しく、長生きしてもらえるポイントについてご紹介します。

1)チワワの平均寿命

チワワのような小型犬種は、大型犬種に比べると長生きする傾向があります。さらに獣医医療の発展、ペットフードの進歩、飼い主の健康意識の向上により、ご長寿のチワワを見かけることが多くなりました。近年では、15才くらいがチワワの平均寿命だと考えられています。しかし、後述するような病気の予防や、早期診断ができれば、今後さらに平均寿命は伸びていくでしょう。

2)チワワを外飼育するときの注意点

意外かもしれませんが、チワワを外飼育している飼い主さんもいらっしゃいます。チワワはもともと活発で、探検が好きな犬種です。国内では室内飼育のイメージが強いですが、アメリカでは数年前に野良チワワが社会問題になったほど、ワイルドな一面も持っています。そのため、チワワは外飼育でも過ごすことができます。しかし、その小さな身体ならではの注意点もいくつかあるので、ご紹介しておきます。

外敵に注意!

チワワはその小さな身体ゆえ、肉食動物の標的となってしまうことがあります。街中ではカラスによる襲撃のケースがあげられます。チワワは勇敢な性格なため、カラスやトンビなどの外敵に襲われそうになった場合でも、素直に逃げてくれないことがあります。逃げ込むための小屋を置くことはもちろん、特に体格が小さめのチワワは襲われる危険が高いので、なるべく外飼育しないようにしましょう。トンビがいる海辺などで目を離すことも大変危険です。ベランダでカラスに襲われたというケースもありますので、この点においては室内飼育でも注意しましょう。

体温に注意!

恒温動物全般に言えることですが、寒い地域にいる動物ほど身体が大きくなる傾向があります。これは、体温を維持するときに重要な、熱産生量と熱放射量に関係があります。ホッキョクグマが世界のクマのなかで最大の種であることにも、この理由が当てはまります。対してチワワの小さな身体では、身体の大きさに対する体表面積が大きくなり、体温が逃げやすくなります。
チワワは品種改良された犬種ですが、もともとの原産国はメキシコです。メキシコは暑い地域で、チワワはその地域で順応する手段として、身体は小さく、体温を下げやすい大きな耳を持っています。そんな身体であるため、チワワは寒さに弱い傾向があります。寒さを凌げるような設備を用意することはもちろん、国内でも特に寒い地域では、チワワの外飼育は避けたほうが良いでしょう。

3)チワワの代表的な病気

犬には品種によってかかりやすい病気があります。チワワの寿命を縮めてしまう病気にはどういったものがあるのでしょうか。

1.心臓病

チワワは心臓病にかかりやすい犬種です。心臓病のなかでも、他の犬種と同じく、僧帽弁閉鎖不全症という病気をよく発症します。

■僧帽弁閉鎖不全症:
僧帽弁(※1)が加齢などの理由でゆるくなり、しっかりと閉じきらなくなることを僧帽弁閉鎖不全症といいます。弁(※2)は逆流を防ぐためのものですから、閉鎖不全が起こると、血液の逆流が起こります。僧帽弁の逆流が起こると、左心房(※3)、左心室(※4)の両方に負担がかかります。

※1:僧帽弁
心臓には4つの部屋があります。それぞれの部屋には、左右と房室を組み合わせた名称がついています。全身から還ってきた血液を受け入れる右心房。その血液を肺へ送り出す右心室。肺から還ってきた血液を受け入れる左心房。その血液を全身へ送り出す左心室の4つです。これらのうち、左心房と左心室を隔てている弁が、僧帽弁です。

※2:弁
弁とは、血液の逆流を防ぐものです。血流が力強い動脈には弁がありませんが、静脈や心臓の中にみられます。静脈にある弁は、四肢で特によく発達しています。心臓の中の弁は、血液循環において特に重要な働きをしており、心臓が単純な収縮運動をするだけで複雑な血流を生み出すことが出来ているのは、このためです。

※3:左心房
左心房のきもちになってみると、肺から還ってきた血液に加え、左心室から逆流してきた血液も受け入れることになります。すると、受け入れられる血液量が限界を超え、次第に膨らんでいきます。

※4:左心室
左心室のきもちになってみると、全身に血液を送るために一生懸命収縮しても、血液の一部が僧帽弁の穴から左心房へと逃げてしまいます。さらに、左心房へ逃げた血液は、次の拡張期にまた左心室へ入ってきます。この逃げた血液が加わった分、次の拡張期に左心室に入ってくる血液の総量は多くなります。その結果、左心室が一度に扱う血液の量が多くなり、左心室は徐々に大きくなっていきます。これを、容量負荷による左心室の遠心性肥大といいます。

■僧帽弁閉鎖不全症の予後:
病気が進行し、左心房にかかる圧力が大きくなると、肺静脈を通して、肺の血管にも圧力が加わるようになります。肺の血管に圧力が加わると、肺の血管から肺の中へと血液中の水分が漏れ出てきます。その結果、肺水腫を引き起こします。
肺水腫は命にかかわる緊急の疾患です。心臓病の犬が呼吸困難となり鼻や口から泡を出していた場合は早急な治療が必要です。

■心臓病への備え:
心臓病は外科手術を除いて、基本的には完治を望むことは出来ません。心臓薬を使い、心臓の負担を減らしながら上手に病気と付き合っていきます。
ここで大切なポイントは、心臓病の治療を開始するタイミングです。以前は、咳や運動不耐などの症状が出てから治療を開始する方法も取られていましたが、最近では比較的早期から始める治療の方が、治療の成果がよいというデータが出ています。また、チワワを含むいくつかの犬種では、他の犬種とくらべて心臓病の進行が早い傾向があります。1年前の健診では全く異常がなかったのに、気づいたら心臓病が進行していたというケースもよくあります。高齢になってきたら、年に3回くらいは健診を受けたほうがよいでしょう。早期発見、早期治療、定期健診が寿命に大きく関わってくるのです。
また、肥満は心臓に負担をかけます。肥満気味のチワワは特に注意してください。

2.気管虚脱

比較的よくみかける疾患ですが、特効薬がなく、生涯付き合っていくことが多い病気です。また、重症化すると呼吸困難になることもある恐ろしい病気でもあります。

■気管虚脱とは:
呼吸するときの空気の通り道である気管は、気管軟骨という軟骨が連なって支えています。気管軟骨はアルファベットのCのような形をしており、その内側を空気が通ります。この軟骨が柔らかく、潰れやすくなる病気を気管虚脱といいます。喉を圧迫したときに出る乾いた咳が、特徴的な症状です。
 
先に述べた心臓病とも関係があり、病気が進行して大きくなった心臓は、そのすぐ背中側にある気管を物理的に圧迫します。すると、気管が弱い子であった場合、気管が潰れ、咳をするようになります。咳がよく出る場合は、心臓も含めた検査をしてもらいましょう。

■気管虚脱で気をつけること:
気管虚脱は体質によるものであるため、発症を防ぐためにできることはほとんどありません。悪化させないためにできることを意識して、生活していくことが大切です。

気管虚脱と診断されたら、首輪はなるべく避けましょう。喉に負担がかからないよう、胴輪を使うようにしましょう。また、肥満はさらに呼吸がしづらくなり、症状を悪化させます。命にかかわる病気です。しっかりと体重管理をしましょう。

3.膝蓋骨脱臼

小型犬でよくみられる疾患です。膝蓋骨とは、人間でいう、膝のお皿です。この膝蓋骨は、骨の溝に沿って動くことで、膝の曲げ伸ばしをスムーズにしています。

しかし、小型犬では、生まれつきの身体の構造が原因で、この膝蓋骨がよく内側に脱臼してしまいます。軽度の場合は、脱臼してもすぐにもとの位置に戻ります。しかし、重症化してくると、脱臼したままの状態となり、本来とは違う位置で骨と擦れるため、炎症が起こり、痛みを伴います。

軽度の場合はサプリメントや体重減量をすることで、ある程度コントロールすることが可能です。痛みをともなうようになったら、鎮痛薬も使って治療します。それでもコントロールできない、足を挙げっぱなしにするような場合は、外科手術を視野に入れた治療を検討します。

直接命に関わることは少ない病気ですが、歩行するだけで痛みをともなうようになれば、生活の質が著しく低下します。それがもとで運動不足となれば、健康も損ないかねません。適切な治療、ケアを心がけましょう。

4)高齢チワワへの配慮事項

1.気温の管理

チワワは寒さに弱い犬種です。特に高齢ともなれば代謝も落ち、冷えた場所にいるとぐんぐん体温が奪われていきます。
家の中にいても、油断はできません。飼い主が寝た後や出かけているときに、暖房器具を切っているケースをよく聞きます。高齢のチワワでは、それが命取りになることもあるので、充分に注意しましょう。
外で散歩する場合は、さらに注意が必要です。夏には熱くなったアスファルトによる熱中症の危険性がある一方、冬のアスファルトは驚くほど冷たくなっています。その影響もあり、地面に近いところの空気は、われわれ人間が過ごしている高さの空気より冷たくなっています。高齢のチワワは無理に外で散歩させないように注意しましょう。

2.体重の管理

先述したチワワが気をつけたい疾患は、全て肥満によって悪化するものです。特に心臓病や気管虚脱は、直接命に関わる疾患です。いまの体重が適正な体重なのか、飼い主目線ではわからないこともあります。動物病院で適正体重について診察してもらいましょう。多くの動物病院では、体重過多の場合の減量プログラムを作ってくれます。積極的に利用しましょう。

認知症の発見と見取り

チワワにも認知症があります。正確には認知機能不全と呼びます。認知機能不全は、人間においても発見・診断が難しい病気です。本人の自覚症状が弱く、周りの人から言われて初めて発見されることもあります。そんな疾患であるため、犬での発見はさらに困難です。

以下の特徴がひとつでも該当したら、認知機能不全を疑います。

● 壁や床をぼんやりと見続ける
● なじみのある人や動物に対する認識が変化する
● ものや家具の後ろで動けなくなる
● 壁や家具に向かって歩き続ける
● 水入れのところで立ち止まっている
● 不適切な排泄の頻度が増加する
● 落としたフードを探すのが難しい
● 夜間に頻繁にうろつきまわる
● なでられたり触られたりするのを避ける
● 新しい行動を覚えるのに時間がかかる
● 何もないまたは理由がわからない吠え

認知機能不全は残念ながら進行性の疾患で、完治は望めません。しかし、脳に刺激をあたえるようなリハビリや、サプリメントで進行をやわらげることができます。
最も悲しいことは、認知機能不全でいままで出来ていたことができなくなってしまった子を、飼い主がしかってしまうことです。犬猫にも認知機能不全があることを知り、おかしいなと思ったら動物病院で診断してもらいましょう。

3.定期健診の受診

チワワに限らず、犬は人間のおよそ4倍の速さで年を取っています。つまり、年に1回の定期健診は、人間に換算すると4年に1回の定期健診に値します。病気の進行も速く、先述したとおりチワワの心臓病は特に進行が速い傾向にあります。高齢になったら、春の狂犬病注射のときの健診だけではなく、年に2〜3回の定期健診を心がけましょう。病気の早期発見、早期治療は、直接その子の寿命に関わってきます。

5)老後だからこそ楽しく過ごす

犬は自分で健康管理をすることができません。健康で過ごせているか、病気になりやすい生活をしていないか、病気になったときにちゃんと治療ができるかどうか、これらは飼い主にかかっています。若い時から健康を意識することはもちろん、高齢になったらより一層健康に注意してあげましょう。

また、例え高齢になって病気になったとしても、悲観的になりすぎてはいけません。飼い主が悲しい気持ちで接すると、愛犬にも悲しい気持ちが伝わってしまいます。大変なときこそ、たくさん褒めてあげてください。
病気になってしまったら、飼い主も病気を理解し、治療を一緒に楽しくしてあげることが、愛犬にとっても飼い主にとってもおたがいの幸せにつながると考えています。


監修/滝田雄磨(SHIBUYAフレンズ動物病院 院長)


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