犬も人と同じく、いわゆる「五感」があります。人と同じといっても、異なる点がたくさん。犬ならではの五感について、人と動物の解剖学にくわしい佐々木文彦先生に伺いました。今回は、犬の「聴覚」についてご紹介します。
人より聴力はいいけれど、低音は聞きとりにくい
人は16〜20000㎐(ヘルツ)、犬は65〜50000㎐の周波数の音を聞くことができるといわれています。この数値から、犬は人よりも低音が聞きとりにくいことがわかります。ちなみに、高音は人の2.5倍、超音波といわれる高音も聞きとれるのですから驚きです。
聞こえすぎて疲れそうに思いますが、犬は好きな音や気になった音だけを聞きとるという都合のいい聴覚をもっているのでご安心を。また、聞きとりに音の長さは関係しないでしょう。
音をとらえるために耳や首を動かすことも
犬は、音をより多くとらえるために、自分の意思で音のする方向へ耳介を動かせます。これは、人はすでに退化した耳を動かす耳介筋をもっているためです。また、飼い主さんが犬に話しかけたときに首をかしげるようなしぐさをすることがありますが、それは見たとおり、何を言っているのか聞きとろうとしているからです。
いかがでしたか? 飼い主さんが何を言っているのか聞き取ろうとして首をかしげるなんて、ますます犬ってカワイイ!と思いますね。
※ 犬の五感については諸説あります。この記事では、佐々木先生の見解をもとに編集室で構成し、紹介しています。
お話を伺った先生/大阪府立大学名誉教授、医学博士、獣医師 佐々木文彦先生
参考/「いぬのきもち」2022年10月号『いぬの五感クイズ』
写真/佐藤正之、殿村忠博、尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室