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春に気をつけたい犬の病気・トラブルについて、獣医師に聞いた

寒さが和らぎ過ごしやすい春。心は弾みますが、一年のなかでも、気候と環境の“変化”が多いこの季節は、愛犬の病気・トラブルが増える傾向が。
そこで、春に起こりやすい病気・トラブルについて、獣医師の野矢雅彦先生に教えていただきました。
撮影/犬丸美絵
撮影/犬丸美絵

原因は2つの“変化”

犬は、変化が苦手な動物ですが、春には大きな変化が! 春の病気やトラブルはおもに以下の2つによるものが多いです。

●気候の変化
厳しい寒さがやわらぎ過ごしやすくなるものの、その変化もじつは犬の健康に影響を与えます。また、暖かくなると周囲の生物も活発になり、二次的に影響を受けることも。

●環境の変化
外での活動がしやすくなることでお出かけが急増したり、引っ越しや家族の転職など飼い主さんの環境が変わることも多く、その影響を受けます。

春に多い皮膚病

気候の変化による気温の上昇が原因の皮膚病
●アレルゲンが増えたり、かゆみが増して皮膚病が悪化

暖かくなり温度・湿度が上昇すると、さまざまな植物の花粉をはじめ、カビの仲間であるマラセチアなど、皮膚を刺激するアレルゲンが増えるため、アレルギー性皮膚炎の症状が悪化してかゆみが強くなりがちに。また、春は体が温まることで、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの皮膚症状の悪化とともにかゆみの症状が強くなり、皮膚をかきこわすケースが多くなります。

環境の変化による心因性ストレスが原因の皮膚病

イラスト/オーツノコ
イラスト/オーツノコ
●自分の体をかきつづけるなどの常同行動から皮膚病に

春に発症する皮膚病の原因で意外に多いのが、環境の変化による心因性ストレスによるもの。体の同じ部分をかく・なめる・噛むなどしつづける常同行動が見られることがあります。結果、足先や足のつけ根、おなかやわきなどに炎症や脱毛などが引き起こされ、悪化すると舐性皮膚炎にまでなることも。

気候の変化による寄生虫の感染が原因の皮膚病

イラスト/オーツノコ
イラスト/オーツノコ
●お出かけ先でどこからか寄生虫が感染して皮膚病に

お出かけが多くなる春は、ほかの犬と接触したり野山で過ごしたりすることが増え、ノミ、マダニ、疥癬虫などの外部寄生虫に感染して皮膚炎を引き起こすことが。春に活発になるノミが多数寄生するとかゆみが強くなりノミ刺咬性皮膚炎を発症。また、感染力が強い疥癬虫は、ほかの犬からだけなくお出かけ先でリースしたペットカートなどを経由して感染し疥癬を発症することも。

春に多い胃腸炎

気候の変化による寒暖差が原因の胃腸炎

●体調を崩したり、免疫力が下がることで胃腸炎を発症

日中は暖かくても朝や夜に冷えたり、日によって冬のように寒い日があったりなど、寒暖差によって免疫力が下がり、体調を崩しやすいのは犬も同じです。とくに犬は、下痢や嘔吐症状があらわれる胃腸炎を起こす傾向が。また、免疫力が下がることでウイルス性のノロウイルスやジステンパー、コロナウイルス、パルボウイルスによる感染症など、強い胃腸症状を伴う感染症にもかかりやすくなるので要注意です。

環境の変化による心因性ストレスが原因の胃腸炎

イラスト/オーツノコ
イラスト/オーツノコ
●自律神経の乱れや食べ物以外のものを口にして発症

犬の胃の機能は、人と同様に意思とは関係なく自律神経によってコントロールされています。この自律神経は、心因性ストレスの影響を受けやすく、環境の変化が多い春は、胃の働きが乱れて胃腸炎を発症してしまうことが。また、ストレスから食べ物以外のものを食べる異嗜を発症し、タオルやトイレシーツなどを口にして胃腸炎を引き起こすこともあります。
春に起こりやすい皮膚病と胃腸炎についてご紹介しました。この季節は、いつも以上に愛犬に変わったことがないか、よく見てあげるようにしましょう。
お話を伺った先生/ノヤ動物病院院長・獣医師 野矢雅彦先生
参考/「いぬのきもち」2023年4月号『春に気をつけたい病気・トラブル』
写真/犬丸美絵
イラスト/オーツノコ
文/いぬのきもち編集室
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