犬も人と同じように聴覚や味覚があります。しかし同じといっても、実は異なる点もたくさんあるのはご存知ですか?今回はそんな犬の聴覚と味覚について、人と異なる点を中心に、獣医師の佐々木文彦先生に解説していただきました。
犬は人よりも低音が聞き取りにくい
人は16~20000Hz、犬は65~50000Hzの周波数の音を聞くことができるといわれており、この数値から、犬は人よりも低音が聞き取りにくいことがわかります。なお、高音に関しては人の2.5倍、超音波といわれる高音まで聞き取ることが可能。
聞こえすぎて疲れそうに感じますが、犬は好きな音や気になった音だけを聞き取るという、都合のいい聴覚をもっているため、心配無用なのだとか。
犬は音をよく聞くために耳や首を動かす
犬は音をより多くとらえるために、自分の意思で音のする方向へ耳介を動かすことができます。これは耳介筋によるもので、人はすでに退化した筋肉です。
また、飼い主さんが犬に話しかけたときに首をかしげるようなしぐさをすることがありますが、これは何を言っているのか聞き取ろうとしているからだと考えられます。
犬の味覚は人より鈍い
味覚は、おもに舌の表面にある味細胞で感じるもの。この味細胞が、犬の場合は人よりも少なく、味覚は12倍ほど鈍いといわれています。
犬は早食いで味わわずに飲み込む傾向があるため、味はさほど重要ではないのかもしれませんね。
犬は苦みを感じない
味細胞が集中した器官である味蕾(みらい)の場所によって、感じる味は異なります。人は甘み、塩味、酸味、苦みを感じる味蕾がありますが、犬は苦みの味蕾がないため、苦みを感じないと考えられるのです。
そのため、犬は毒物の苦みがわかりません。散歩中の拾い食いには十分注意しましょう。
犬の身体的な特徴などから、人と似ているようで異なる点が多々あります。そのため、あくまでも犬目線で考えることが大切。こういった犬ならではの特徴を知って、犬との暮らしやお世話、コミュニケーションに役立ててくださいね。
お話を伺った先生/佐々木文彦先生(大阪府立大学名誉教授 医学博士 獣医師)
参考/「いぬのきもち」2022年10月号『知ってるようでムズカシイ!? いぬの五感クイズ』
文/田山郁
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
※犬の五感については諸説あります。この特集では佐々木先生の見解をもとに編集室で構成し紹介しています。