腎臓や膀胱などの泌尿器に何かトラブルが起きると、その影響がオシッコにも反映され、色やニオイに異変が生じます。今回は、犬の“いいオシッコ”の特徴と、“悪いオシッコ”が出たときに考えられる病気について、獣医師の若山正之先生に伺いました。
犬の“いいオシッコ”の特徴とは
犬の“いいオシッコ”の特徴は以下のとおりです。ただし、オシッコの量などは生活環境などにより個体差があるため、あくまでも目安としてください。
オシッコの色が「淡い黄色」
淡い黄色を基準に、少し薄い、または少し濃い色のオシッコは正常範囲です。朝一番のものは濃い、水をたくさん飲んだ日は薄いなど、日々観察して愛犬の正常なオシッコの色を知っておきましょう。
1日のオシッコの回数が「平均3~5回」
3~5回は成犬の場合で、子犬やシニア犬はオシッコの回数が増えます。朝晩の散歩のときにしかしない、つまり1日2回のオシッコは少ないといえるでしょう。
1日のオシッコ量が「1日の水摂取量の80%ほど」
水分摂取量や運動量などによりオシッコの量は増減しますが、数値よりもかなり少ない、または多いという場合は要注意。泌尿器だけでなくホルモンの病気のおそれもあります。
オシッコのニオイが「ほのかなアンモニア臭」
出たばかりのオシッコはあまりにおいません。しかし、いつもよりきついアンモニア臭がする、甘いニオイがするなど、尿のニオイが強いときは要注意です。
オシッコを出すときの姿勢が「力むことなくすんなり出る」
“いいオシッコ”は出るときもスムーズ。しかし、トラブルがあって痛いと、オシッコをちょびちょびと出して痛みをやり過ごすなど、いつもと違う排尿スタイルになります。
オシッコの色・ニオイがいつもと違う場合に考えられる病気
いつもと違う色のオシッコが出る
うっすら赤い、血がぽつぽつと混じる、緑色に近いなど、オシッコの色がいつもと違う場合は、尿路の炎症などが疑われます。
考えられる病気
- 膀胱炎
- 前立腺疾患(オス)
- 糖尿病
- 尿石症
- 腎結石
- 肝臓病 など
いつもと違うニオイのオシッコが出る
ニオイの異変は気づきにくいといわれますが、いつもよりもニオイがきつい、甘いニオイがするなどの異変は、以下のような病気が考えられるので注意しましょう。
考えられる病気
頻尿の場合に考えられる病気
1回に出るオシッコの量が少なく、回数が多い頻尿という状態は、膀胱の違和感などに伴って見られやすく、頻繁に排尿姿勢をとったり、1日に10回以上も排尿したりすることもあります。
考えられる病気
多尿の場合に考えられる病気
1回分のオシッコでトイレシーツ全体がぬれてしまうほど、大量にオシッコが出るケースもあります。多尿の症状が見られるときは、以下のような病気が考えられます。
考えられる病気
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
- 副腎皮質機能低下症(アジソン病)
- 糖尿病
- 腎障害 など
オシッコが極端に少ない・出ない場合に考えられる病気
オシッコの量が極端に少ない、もしくはまったく出ないときは、腎機能の低下で尿がつくられない、尿路に結石がつまって尿が出せないなどの可能性があります。緊急事態のため、すぐに動物病院を受診してください。
考えられる病気
オシッコには泌尿器の状況が反映されるため、愛犬の健康状態を知るの手がかりとなります。ふだんから愛犬のオシッコや排尿の様子を観察しておき、違和感が見られる場合は動物病院を受診しましょう。
お話を伺った先生:若山正之先生(若山動物病院院長)
参考/「いぬのきもち」2025年10月号『「めぐりがいい」は健康の基本!いいオシッコの作り方』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。