犬と暮らす
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犬がしっぽを追って回る行動、心配な場合と問題ない場合の違いは
そもそも常同行動とは?
山口先生:
「常同行動とは、目的のないように見える行動を繰り返すことをいいます。しっぽを追う行動のほか、かゆみなどの異常がないのに皮膚を繰り返しなめて脱毛させたり、動物園でライオンがおりの前をうろうろしたりといった行動が挙げられます」
犬が常同行動で自分のしっぽを追うのはなぜ?
山口先生:
「常同行動がどのように起こるかというと、最初のうちは、興奮や不安、恐怖などのストレスが生じたときにしっぽを追ってみたところ、その気持ちが緩和されたとします。この経験により、その後もストレスが生じた際、安心するためにしっぽを追うように。また、このような状況を繰り返すうちに、次第に些細な刺激や、刺激がない状態でもしっぽを追うようになります。異常な頻度で見られるようになると、常同行動とされます」
常同行動でない場合でも、しっぽを追う行動は見られる
山口先生:
「興奮、恐怖、注目を引くため、遊びなどの理由から、常同行動でなくても、しっぽを追う行動をすることがあります」
常同行動とそうでないケースの見分け方
山口先生:
「明らかなきっかけがない場合や、行動が生じる頻度がかなり高く、延々と繰り返されている場合は、常同行動の可能性を考えます」
愛犬に常同行動が疑われる場合の対処法
山口先生:
「きっかけが明らかな場合は、それが起こらないようにします。また、しっぽを追う行動に対して声をかけるなども控えましょう。そのうえで、運動や遊びの時間を増やしてストレス発散の機会を与えたり、ストレスや恐怖を感じることが少なくなる工夫をしたりして、愛犬が落ち着いて過ごせる環境を作ってください。
常同行動は犬の正常な行動を妨げるものではないものの、気になる場合は受診したほうがいいでしょう。
まずはかかりつけ医に相談してみてください。しっぽを追う前に何かきっかけがあるか、一日に何回、何分くらいしているかをメモしたり、様子を動画で撮影したりしていくと診断に役立ちます。状況によっては、専門科である行動診療科を紹介されるかもしれません。
また、しっぽを追うだけでなく、かじるなどの自傷行為が見られる場合や、落ち着いて日常生活を送ることが困難な場合なども、早期の受診をおすすめします」
取材・文/寺井さとこ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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