ドッグフードをものの数秒で完食する「早食い」や、食事を前にすると急に攻撃的になる「フードアグレッシブ」。どちらも犬の本能的な行動ではありますが、飼い主さんにとっては悩ましい行動です。
今回はこれらの原因・対処法や、食事の満足度を上げるポイントについて、獣医師の村田香織先生に教えていただきました。
早食いの原因と対処法
自然界で生きていた時代、食べられるときに食べられるだけ、そしてできるだけ速く食べることは重要な素質でした。犬の早食いは、こうした生存本能からきていると考えられます。早食いを防ぐには、次のような対処法があげられます。
対処法(1) 知育おもちゃを使う
あっという間に食べ終えてしまう早食いは、それだけ犬の満足度も低くなります。おすすめなのは、ドッグフードを知育おもちゃに入れて与えること。苦労して得た食べ物は価値が高まり、満足度アップにつながります。
対処法(2) 早食い防止食器を使う
吐き戻してしまうコや、多頭飼いで食べるのが早いコが、まだ食べているコのゴハンを狙ってしまうケースも。こういった場合は、あえて食べにくいつくりをした早食い防止食器も有効です。
犬の狩猟本能に合わせた食事の与え方を
イラスト/オガワナホ 「いぬのきもち」2025年12月号『食べムラ、選り好み、過食……うちのコの食欲問題、どう対処する?』
犬は捕食行動をする動物。嗅覚や視力を使って獲物を探し、見つけたら頭を使いながら全力で追いかけ、捕らえて仕留めます。そして引き裂いたりかじったりして食べる、というのが本来の食事方法です。
このため、フードボウルをぽんと差し出されるだけの食事では行動欲求が満たされず、退屈な時間ばかりが増えてしまいます。また「コントラフリーローディング効果」といって、動物は努力して得られたもののほうが価値を感じるということがわかっています。
大切なのは、犬の狩猟本能に合わせて“自分の力で得るという体験”をさせてあげること。以下で紹介する3つの方法を実践してみてください。
(1) 食事にトリックを取り入れる
おやつに限らず、毎日の食事にも遊びを交えることで、犬にとって食べ物に対する価値が高まります。飼い主さんとのコミュニケーションが増えることで、満足度もアップしますよ。
(2) 知育おもちゃで食事をとらせる
知育おもちゃにドッグフードを入れたり、ノーズワークマット(おやつを隠せる仕掛けがついたマット)にドッグフードを隠して与えたりする方法も◎ 脳や嗅覚をフル稼働させた犬は、“自分で得る”という快感を得られます。
(3) 探して食べさせる
ドッグフードを入れた知育おもちゃを家の中に隠して、愛犬に探させてみましょう。探すという行動は犬の本能をそそり、毎日の食事が本来の捕食行動に近いものになります。
フードアグレッシブの原因と対処法
フードアグレッシブとは、ゴハンを前にすると、近づいてくる人や犬に対してうなるなど、攻撃的になってしまう行動のこと。自分の食事をとられまいとする本能的な行動です。
犬はオオカミと共通の祖先をもち、早いもの勝ちで食べ物にありついた個体が生き残ってきました。したがって、原種により近い犬種(柴など)によく見られる食べ物を守ろうとする行動です。対処法には次の3つがあげられます。
(1) 絶対に叱らない
叱ったり罰を与えたりすると、犬は食べ物を奪い合う相手なのだと勘違いし、ますます行動が強化されるおそれも。とくに子犬は顕著です。攻撃的な行動が出ても、絶対に叱らないようにしましょう。
(2) ゴハンを小分けにして追加方式にする
1回の食事でゴハンを小分けにし、なくなったら追加するという方法をとります。人はゴハンを奪うのではなく、与えてくれる存在だと理解してくれるようになるでしょう。
(3) 飼い主さんの合図に従う習慣づくりを
犬の食事は、しつけの観点からも大切な時間です。食事の前には必ず何らかの合図を出し、それに従ってから食べるという習慣ができると、愛犬との関係がより円滑に。ただし、ゴハン前の長い「マテ」はNGです。
与え方を少し工夫することで、食欲問題が改善することもあります。愛犬が満足度の高い食生活を送れるよう、今回ご紹介した方法をぜひ取り入れてみてくださいね。
お話を伺った先生/村田香織先生(獣医師 日本獣医動物行動学会獣医行動診療科認定医 こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座講師 「もみの木動物病院」副院長 「ワンちゃんの学校 イン・クローバー」代表)
参考/「いぬのきもち」2025年12月号『食べムラ、選り好み、過食……うちのコの食欲問題、どう対処する?』
イラスト/オガワナホ
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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