犬のお世話において、飼い主さんと犬の負担を軽減するために必要となるのが「保定」です。今回は、犬の顔まわりのお世話するときの保定の仕方について、愛玩動物看護師の今瑞穂先生に教えていただきました。
保定とは?
犬の体に飼い主さんの体を密着させることで壁をつくり、前後・左右・上下6方向の犬の動きを制限することを「保定」といいます。
保定と聞くと体を押さえるイメージを思い浮かべる人もいますが、無理に体を押さえつけると、苦しさから犬がチアノーゼや関節脱臼を起こしてしまうこともあるため、正しい方法で、安全に保定とお世話を行うことが重要です。
犬の顔まわりのお世話をするときの正しい保定姿勢
まずは、歯みがきや点眼など、犬の顔まわりのお世話をするときの基本の保定の姿勢について解説します。
小型犬の基本の保定姿勢
参考・写真/「いぬのきもち」2026年8月号『正しい方法で犬と飼い主さんの安全を守る!お世話は保定が9割』
片手を犬の下あご骨に添え、もう片方の手の指を頭蓋骨と頸椎の間にあるくぼみ部分に添えることで、犬の顔の動きを制限できます。わきを締めて、犬の上と後ろの動きも同時に制限します。
また、保定するときに、犬に横向きに座ってもらうこともポイント。犬の姿勢に無理が出ず、自然な状態で保定できます。
大型犬の基本の保定姿勢
参考・写真/「いぬのきもち」2026年8月号『正しい方法で犬と飼い主さんの安全を守る!お世話は保定が9割』
片腕は肩甲骨を包むようにして前への動きを、もう片方の手の指は頭蓋骨と頸椎の間のくぼみ部分に添え、顔の動きを制限します。なるべく犬に密着し、全身で犬を包みこむことを意識して、壁をつくっていきます。
大型犬の場合は、お世話する人の助けも借りながら保定を行いましょう。
歯みがき・耳のケアをするときの保定の仕方
参考・写真/「いぬのきもち」2026年8月号『正しい方法で犬と飼い主さんの安全を守る!お世話は保定が9割』
歯みがきや耳のケアをするときの保定の仕方について解説します。こちらは小型犬・大型犬とも同じ方法で行います。
歯みがきをするときの保定・お世話の仕方
基本の保定をベースに二人一組で行います。保定は短時間で終わらせるのが鉄則。時間をかけず、正しい保定ですばやくみがいていくようにしましょう。
耳のケアをするときの保定・お世話の仕方
耳の穴の下側には耳道があるので、強く押してしまうと外耳道が狭くなり、点耳薬などがうまく奥まで入らないことがあります。耳の下は押さえないように保定しましょう。
目ヤニをふくときの保定の仕方
次に、目ヤニふきを行うときの保定の仕方を見ていきましょう。
小型犬の保定・お世話の仕方
参考・写真/「いぬのきもち」2026年8月号『正しい方法で犬と飼い主さんの安全を守る!お世話は保定が9割』
保定者は頭蓋骨と頸椎の間のくぼみを、お世話する人は首輪に薬指と中指をかけ、同じ手の親指と人さし指で口まわりの毛を挟み、顔の動きを制限しましょう。
大型犬の保定・お世話の仕方
参考・写真/「いぬのきもち」2026年8月号『正しい方法で犬と飼い主さんの安全を守る!お世話は保定が9割』
保定者は頭蓋骨と頸椎の間のくぼみを、お世話をする人は犬のあごの下に手を添えて、犬の頭の上下・左右の動きを制限していきます。
点眼をするときの保定の仕方
続いて、点眼をするときの保定の仕方を解説していきます。
小型犬の保定・お世話の仕方
参考・写真/「いぬのきもち」2026年8月号『正しい方法で犬と飼い主さんの安全を守る!お世話は保定が9割』
片手を下あご骨に添えて少し上を向かせ、点眼薬を持った手を犬の額にそっとのせ、まぶたをやさしく引き上げるようにして目を開かせます。
大型犬の保定・お世話の仕方
参考・写真/「いぬのきもち」2026年8月号『正しい方法で犬と飼い主さんの安全を守る!お世話は保定が9割』
点眼は小型犬と同様の手順で行います。ただし、大型犬は力が強いため、基本の保定の姿勢をしっかりとってから、犬のストレスを最小限に、一度で決めることが大切です。
経口投薬をするときの保定の仕方
最後に、経口投薬を行うときの保定の仕方を解説します。
小型犬の保定・お世話の仕方
参考・写真/「いぬのきもち」2026年8月号『正しい方法で犬と飼い主さんの安全を守る!お世話は保定が9割』
手のひらを頭上にのせて、犬歯の後ろにあるすき間に犬の上くちびるの皮膚ごと指を入れると、犬の口が小さく開きます。その後、下あごを下げて大きく開かせましょう。
大型犬の保定・お世話の仕方
参考・写真/「いぬのきもち」2026年8月号『正しい方法で犬と飼い主さんの安全を守る!お世話は保定が9割』
大型犬の場合は、保定者は犬の保定に専念。お世話をする人が犬の口を開かせる動作を行い、投薬を行うようにするとスムーズにいきます。
ご紹介した保定やお世話の仕方を、ぜひ参考にしてみてくださいね。
お話を伺った先生/今瑞穂先生(愛玩動物看護師 JKC公認トリマーB級 東京愛犬専門学校動物看護学科長)
参考・写真/「いぬのきもち」2026年8月号『正しい方法で犬と飼い主さんの安全を守る!お世話は保定が9割』
文/宮下早希
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性がない場合もあります。