この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。
今回ご紹介するのは、4本すべての足に先天性の難病を抱えたみかんちゃんと、そのご家族である藤井さんご夫妻。エーラス・ダンロス症候群という難病を抱えているために、一度は動物病院からみかんちゃんの足の切断をすすめられましたが、ご夫妻の懸命なケアにより、奇跡的な回復をみせました。
一歩でも多く、たくさん歩いてほしい
藤井さんご夫妻の懸命なケアで、奇跡的な回復をとげたみかんちゃん。再び元気に歩けるようになりましたが、足先の炎症が怖いので、外で歩かせるのは、枯れ葉や芝生など、やわらかい場所でのみと決めています。それでも芝生の公園を、みかんちゃんはうれしそうに歩くと言います。
「天気のいい日は近所の公園までみんなで散歩に行きます。あんまりうれしそうに歩くので『みかんの公園』と勝手に呼んでいます」とご夫妻。
みかんちゃんの毎日のお世話と工夫
足先の炎症を防ぐため、やわらかい場所での生活が欠かせないみかんちゃん。足先を保護しつつ、サプリでのケアも続けています。
かかりつけ医によると、4本すべての足の関節に先天性の難病を抱えながらもみかんちゃんが元気に歩けるのは、筋肉が発達しているからだと言います。そして、筋肉が衰えてしまえば、歩けなくなってしまうだろうとも言われているそうです。「後ろ足を触ってみると筋肉がすごいんですよ」と久美さんは笑います。
そんなみかんちゃんのかかりつけ医・安富康先生は「先天性の難病で根治が難しいため、挫傷の処置などの対処療法を行っています。曲がった前足は神経の接続にも異常が出ているため、飼い主さんの選択次第では断脚もひとつの手ではあったと思いますが、ご夫妻の懸命なケアのおかげで驚くべき回復を見せています」と語ります。
「みかんが今歩けているのは奇跡です。いつか歩けなくなるその日まで、一歩でも多く歩いてほしいと思います」
そう語るご夫妻の隣で、みかんちゃんは今日も幸せいっぱいに走っていました。
※各情報は2020年3月15日現在の情報です。
出典/「いぬのきもち」2020年5月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
写真/尾﨑たまき
文/影山エマ