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前足の難病と必死に闘う犬 奇跡的な回復を見せたみかんちゃん

この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。
今回ご紹介するのは、4本すべての足に先天性の難病を抱えたみかんちゃんと、そのご家族である藤井さんご夫妻。エーラス・ダンロス症候群という難病を抱えているために、神経がうまく通っていない前足をかじってしまい、とうとう血まみれに……動物病院では「前足2本ともつけ根から切断するしかない」と言われてしまいました。
足に負担をかけないよう、抱っこはあおむけスタイル。大好きな久美さんに抱っこされて、安心して全身を預けています(撮影/尾﨑たまき)
足に負担をかけないよう、抱っこはあおむけスタイル。大好きな久美さんに抱っこされて、安心して全身を預けています(撮影/尾﨑たまき)

1回目の記事|4本すべての足に、遺伝性の難病が……足の切断を迫られた飼い主さんの決断は?

靴下、車いす、洋服……試行錯誤の日々

みかんちゃんが患った病気は、「エーラス・ダンロス症候群」という遺伝性の難病。皮膚や関節、血管など、全身の組織がもろくなる病気で、関節に症状があらわれた場合は脱臼や亜脱臼などが見られ、犬でも症例の少ない難病と言われています。

一度は断脚を進められた藤井さんご夫妻ですが、「みかんの足を切りたくない」という思いから、手間がかかることは承知の上で自宅でのケアを決断しました。1日4回、みかんちゃんの足を消毒する日々が始まりましたが、消毒した端から患部がこすれてしまうので、当初はうまくいかなかったと言います。

「手編みの靴下や包帯、子ども服で足先を保護したりなど、できることは何でも試しました」と久美さん。足先を保護しようと洋服を着せても、肩の骨がないのでうまく着られず、関節を締めつけて足がむくんでしまったそう。
写真は、みかんちゃんの足先ケアセット。赤い靴下はご家族の手編みです(撮影/尾﨑たまき)
写真は、みかんちゃんの足先ケアセット。赤い靴下はご家族の手編みです(撮影/尾﨑たまき)
犬用の長袖服がなかったため、子ども服の袖をつけて改造(撮影/尾﨑たまき)
犬用の長袖服がなかったため、子ども服の袖をつけて改造(撮影/尾﨑たまき)
「足先の負担を軽くしようと車いすを作ってくれる装具技師さんを探しましたが、茨城まで出張してもらうのが難しく、みかんが車酔いをするので連れていくこともできずNG。それならばと手作りの車いすも試しましたが、後ろ足も脱臼しているのでバランスがうまくとれず……とにかく試行錯誤の日々でした」
人用のキャリーカートを改造した車いすを手作りしましたが、みかんちゃんが転倒してしまい、お蔵入りに(撮影/尾﨑たまき)
人用のキャリーカートを改造した車いすを手作りしましたが、みかんちゃんが転倒してしまい、お蔵入りに(撮影/尾﨑たまき)
悩んだ末に、久美さんが仕事で扱っていたサプリ(クロロフィル)の粉末を与えてみたところ、これがよい効果を発揮。みかんちゃんの炎症は次第におさまっていきました。
「薬を与えても吐いてしまうので、みかんの体質には合っていたのだと思います」と久美さん。一時は切断手術を検討されたことが信じられないほど、みかんちゃんの前足は回復していったのです。
試行錯誤の末に、みかんちゃんの体質に合ったサプリが見つかりました(撮影/尾﨑たまき)
試行錯誤の末に、みかんちゃんの体質に合ったサプリが見つかりました(撮影/尾﨑たまき)
ご夫妻の懸命なケアのおかげで、奇跡的な回復をみせたみかんちゃん。次回は、再び歩けるようになったみかんちゃんとご夫妻のお話をお届けします。

※各情報は2020年3月15日現在の情報です。
出典/「いぬのきもち」2020年5月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
写真/尾﨑たまき
文/影山エマ
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