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愛犬の4本すべての足切断を迫られた飼い主さん 遺伝性の難病を抱えた愛犬との暮らしは

この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。
今回ご紹介するのは、4本すべての足に先天性の難病を抱えたみかんちゃんと、藤井さんご夫妻のお話です。

同居犬探し中に、ひとめぼれ

藤井さんご夫妻とみかんちゃんとの出会いは、愛犬のめろんくんがさみしくないようにと同居犬を探していたことがきっかけでした。「次に迎えるなら保護犬を」と決めていた久美さんは、ある日「気になる犬がいる」と夫の剛さんから子犬を紹介されました。通っているトリミングサロンに、引き取り手を探している子犬がいるというのです。

「子犬は前足がうまく使えず、ハイハイをするような歩き方から“カメちゃん”と名付けられていました。トリミングサロンに行くたびに見かけるので気になっていたんです」と剛さん。興味をもった久美さんが会いにいったところ、子犬は曲がった前足で、久美さんの足に一生懸命すがりついてきたといいます。
4本すべての足に難病を抱えているみかんちゃん。トリミングサロンでは「カメちゃん」と呼ばれていた(撮影/尾﨑たまき)
4本すべての足に難病を抱えているみかんちゃん。トリミングサロンでは「カメちゃん」と呼ばれていた(撮影/尾﨑たまき)
「抱っこして」と言わんばかりのその様子にひと目惚れした久美さんは、「今日中に絶対に連れて帰るから、ほかの人に譲らないで」とトリミングサロンの人に頼み込み、その足でクレートなどのグッズ一式を買い揃えに走りました。
「若い女の子がSNSで里親募集の動画を流してくれたりもしていて、ほかの人からも声がかかっていたから必死でした」と笑う久美さん。それが“カメちゃん”改め、“みかんちゃん”と藤井さんご夫妻との出会いでした。

前足の神経がなく、かじりすぎて血まみれに

動物病院で改めて診察してもらったところ、みかんちゃんは先天性の難病であるとわかりました。生まれつき前足の肩の関節がなく、後ろ足も膝の関節に異常があり、脱臼しやすいと言うのです。

ご夫妻は包帯や靴下を履かせたりして足先の保護に努めましたが、足先を気にしたみかんちゃんが肉球や爪を噛んで遊ぶようになり、とうとう前足をかじりすぎて血まみれになってしまいました。
約5カ月齢のときのみかんちゃん。歩くことが大好きで、写真はドッグランに遊びに行ったときのもの(撮影/藤井さん)
約5カ月齢のときのみかんちゃん。歩くことが大好きで、写真はドッグランに遊びに行ったときのもの(撮影/藤井さん)
「前足が曲がっているのでエックス線写真がうまくとれず、わからなかったのですが、神経がなくて痛みを感じなかったのだと思います」と久美さん。すぐに動物病院に連れて行ったところ、「いま処置をしても、また足先をかじったら再発してしまう。前足2本とも根本から切断するしかない」と言われてしまいます。
1才のころ、肉球をかじってしまい、前足の炎症が悪化してしまった(撮影/藤井さん)
1才のころ、肉球をかじってしまい、前足の炎症が悪化してしまった(撮影/藤井さん)

「足を切らずにすむのなら……」飼い主さんの選択

悩みに悩んだ末に、なんとか別の方法を考えたいと思った久美さんは、元のトリミングサロンに紹介してもらった、別の動物病院に相談しに行きました。

「先生がホワイトボードを持ってきて、みかんの足の状態を絵に描いて詳しく説明してくれたんです。皮膚の表面だけでなく、中の組織まで炎症を起こしているから、切断せずに治療を行う場合は、時間も手間もかかると。それでもみかんの足を切らずに済むのなら、と必死でした」

それから、1日4回、夫妻でみかんちゃんの足を消毒し続ける日々が始まるのでした。
朝昼晩と寝る前の計4回、夫妻でみかんちゃんの足を消毒する日々が始まりました(撮影/尾﨑たまき)
朝昼晩と寝る前の計4回、夫妻でみかんちゃんの足を消毒する日々が始まりました(撮影/尾﨑たまき)
「足を切りたくない」という思いから、必死のケアを始めた飼い主さん。次回は、そんなご夫妻の試行錯誤の日々を振り返ります。

※各情報は2020年3月15日現在の情報です。
出典/「いぬのきもち」2020年5月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
写真/尾﨑たまき
文/影山エマ
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