1. トップ
  2. 犬が好き
  3. 連載
  4. 犬ってホントは
  5. 他人を噛む犬は、本当は噛みたくないけど追い詰められている|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.114

犬が好き

UP DATE

他人を噛む犬は、本当は噛みたくないけど追い詰められている|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.114

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「いぬのきもちWEB MAGAZINE」が送る連載、家庭犬しつけインストラクター西川文二氏の「犬ってホントは」です。
前々回前回と、2回にわたって「噛む」をテーマにお届けしていますが、今回は犬を飼っている人も、飼っていない人も気をつけたい「他人を噛む」について解説します。犬だって、本当は噛みたいわけではなく、仕方なく最終手段をとっている可能性が…。それはどんなときなのでしょうか?(編集部)


前回、飼い主に噛みつく犬の話をしたわけですが、担当の編集者Xさんから他人を威嚇・噛みつく犬の話もして、とオーダーがありました。
他人を噛みつく犬に関しての話といっても、はてさて何を何からどこまで話したらいいのか。
なんで噛むのかの話か、噛まれないようにするにはどうしたらいいかの話か、そうした犬にしないためには飼い主はどうしたらいいのかの話か……。
どういった話にしましょうかと尋ねたところ、お任せしますということでして、まぁ適当に見繕って話を進めていきましょうか。

なんで噛むのか

ストレスゾーン、パーソナルエリアなど、言い方はさまざまですが、他者がそれ以上近づくとストレスを感じる相手との距離が動物にはあります。
その距離は状況によって異なります。

例えば、電車の座席に座っていたとします。停車駅で人が乗ってきて、すぐ近くに座ったとします。席がそこしか空いてなければ、それほどストレスは感じないでしょう。しかし、がらんとした車両だったらどうでしょう。
強いストレスを感じて、誰もがその席を立ってその相手から離れた席に座り直すでしょう。いや、その状況では車両から出ていくと思います。
その車両のなか全体がストレスゾーンとなるからです。
しかし、その相手からの距離が取れないときはどうするか。
相手を追い払おうとするはずです。
犬も同様です。

犬同士の関係も同様。ノーリードだとお互いに、ストレスを感じない距離を取る
Can! Do! Pet Dog School

物理的に逃げる選択ができない状況ほど……

他者がストレスゾーン内に入ってきたときの選択肢は大きく2つ。

ひとつは相手から離れ相対的に相手をストレスゾーン外に位置させる(相手から離れる)。
もうひとつは相手をストレスゾーンの外に追い払う(相手を追い払う)。


この追い払う手段のひとつが、威嚇的に噛みつこうとする行動なのです。
ただ犬たちが(私たちもそうですが)まず選択するのは、「相手から離れる」です。
これはリスクを考えるとわかります。「相手を追い払う」という選択肢は、反撃され自らも傷を負う可能性があるからです。
すなわち「相手を追い払う」という選択をするのは、第一の選択肢「相手から離れる」が選べない状況にあるときなのです。

意外かと思われるかもしれませんが、リードをつけていないときよりもリードをつけているときのほうが、犬は攻撃的になりやすいのです。飼い主が抱いているときに他者の手が近づくと攻撃性を見せる犬がいますが、それもそうした理由からです(決して飼い主を守っているわけではない)。

リードをつけられると相手とも距離を取るという選択肢がとれなくなる。よって、相手を追い払うために攻撃行動をとる
Can! Do! Pet Dog School

物理的以外に逃げる選択ができない状況

リードをつけられているとか、抱かれているとか、物理的に相手との距離が取れない場合以外に、その場から離れられない事情があるときも犬は相手を追い払おうとします。

どういうときかというと、譲りたくない(奪われたくない)リソース(その犬にとって価値のあるものや場所)がそこにある場合です。

前回の飼い主が噛まれるシチュエーションのひとつ、くわえているものを取ろうとしたときも、同じ理由と言えます。くわえていなくても、犬のそばにある何かに手を伸ばすと噛んでくるようなこともありますが、それもこうした噛みの延長です。

さて、噛まれないためにはどうしたらいいかということですが、いきなり相手を噛みつこうとする犬は、ほとんどいません。噛みつくまでの前触れ的な行動を多くは見せます。

まずは、動きを止めます。顔の向きは変えずに、横目で相手を見たりします(その際白目が見える)。鼻の上にシワを寄せます。犬歯を見せます。低くうなります。
こうした動きは、注意していないと見落としてしまいます。
ですので、こうした動きを見逃さないことです。そうすれば、噛まれることはありません。

それと「いきなり……」も厳禁です。
犬の近くに急に手を伸ばすなど、しないことです。こちらの動きが速い場合は犬の反応も速くなり、噛みつくまでの前触れ的な行動を見せない、あるいはそれらを読み取ることができないからです。
さてと今回のお話、オーダーにお応えできておりましたでしょうかね、担当の編集者Xさ〜ん。

文/西川文二
写真/Can! Do! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/

西川文二氏 プロフィール

公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。東京・世田谷区のしつけスクール「Can! Do! Pet Dog School」代表。科学的理論に基づく愛犬のしつけ方を提案。犬の生態行動や心理的なアプローチについても造詣が深い。著書に『子犬の育て方・しつけ』(新星出版社)、『いぬのプーにおそわったこと~パートナードッグと運命の糸で結ばれた10年間 』(サイゾー)、最新の監修書に『はじめよう!トイプーぐらし』(西東社)など。パートナー・ドッグはダップくん(16才)、鉄三郎くん(12才)ともにオス/ミックス。

CATEGORY   犬が好き

UP DATE

関連するキーワード一覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人気テーマ

あわせて読みたい!
「犬が好き」の新着記事

新着記事をもっと見る