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他人を噛む犬は、本当は噛みたくないけど追い詰められている|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.114
他人を噛みつく犬に関しての話といっても、はてさて何を何からどこまで話したらいいのか。
なんで噛むのかの話か、噛まれないようにするにはどうしたらいいかの話か、そうした犬にしないためには飼い主はどうしたらいいのかの話か……。
どういった話にしましょうかと尋ねたところ、お任せしますということでして、まぁ適当に見繕って話を進めていきましょうか。
なんで噛むのか
その距離は状況によって異なります。
例えば、電車の座席に座っていたとします。停車駅で人が乗ってきて、すぐ近くに座ったとします。席がそこしか空いてなければ、それほどストレスは感じないでしょう。しかし、がらんとした車両だったらどうでしょう。
強いストレスを感じて、誰もがその席を立ってその相手から離れた席に座り直すでしょう。いや、その状況では車両から出ていくと思います。
その車両のなか全体がストレスゾーンとなるからです。
しかし、その相手からの距離が取れないときはどうするか。
相手を追い払おうとするはずです。
犬も同様です。

物理的に逃げる選択ができない状況ほど……
ひとつは相手から離れ相対的に相手をストレスゾーン外に位置させる(相手から離れる)。
もうひとつは相手をストレスゾーンの外に追い払う(相手を追い払う)。
この追い払う手段のひとつが、威嚇的に噛みつこうとする行動なのです。
ただ犬たちが(私たちもそうですが)まず選択するのは、「相手から離れる」です。
これはリスクを考えるとわかります。「相手を追い払う」という選択肢は、反撃され自らも傷を負う可能性があるからです。
すなわち「相手を追い払う」という選択をするのは、第一の選択肢「相手から離れる」が選べない状況にあるときなのです。
意外かと思われるかもしれませんが、リードをつけていないときよりもリードをつけているときのほうが、犬は攻撃的になりやすいのです。飼い主が抱いているときに他者の手が近づくと攻撃性を見せる犬がいますが、それもそうした理由からです(決して飼い主を守っているわけではない)。

物理的以外に逃げる選択ができない状況
どういうときかというと、譲りたくない(奪われたくない)リソース(その犬にとって価値のあるものや場所)がそこにある場合です。
前回の飼い主が噛まれるシチュエーションのひとつ、くわえているものを取ろうとしたときも、同じ理由と言えます。くわえていなくても、犬のそばにある何かに手を伸ばすと噛んでくるようなこともありますが、それもこうした噛みの延長です。
さて、噛まれないためにはどうしたらいいかということですが、いきなり相手を噛みつこうとする犬は、ほとんどいません。噛みつくまでの前触れ的な行動を多くは見せます。
まずは、動きを止めます。顔の向きは変えずに、横目で相手を見たりします(その際白目が見える)。鼻の上にシワを寄せます。犬歯を見せます。低くうなります。
こうした動きは、注意していないと見落としてしまいます。
ですので、こうした動きを見逃さないことです。そうすれば、噛まれることはありません。
それと「いきなり……」も厳禁です。
犬の近くに急に手を伸ばすなど、しないことです。こちらの動きが速い場合は犬の反応も速くなり、噛みつくまでの前触れ的な行動を見せない、あるいはそれらを読み取ることができないからです。
さてと今回のお話、オーダーにお応えできておりましたでしょうかね、担当の編集者Xさ〜ん。
西川文二氏 プロフィール
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