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「噛んできたらどうすればいい?」では遅すぎる|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.112
前回、しつけは「予防」のためにするというお話をしました。それがいかに大事かわかるのが、犬が噛んできたとき。「噛んできたらどうすればいい?」と考えるのは遅いのです。西川先生によると、噛む相談をする飼い主さんは、3つのパターンに分かれるそう。どんなパターンなのでしょうか(編集部)。
そういえば富士山の初冠雪のニュースなどに接すると、若かりし頃は、スキーの事ばかり考えてしまうという条件反射が起きていました。
そして、いつからか車のタイヤをいつスタッドレスに替えるべきかも、考えるようになりましたね。
今はといえば、スキーのことはまったく考えません。ただ、スタッドレスタイヤにいつ履き替えるかは、思案するところです。
近年は暖冬なので都内ではスタッドレスに替えていてよかった、と胸をなでおろす機会がほとんどありませんでした……が、ありましたね新年早々。
私、野生の感というのでしょうか、直前にスタッドレスタイヤに替えておりまして、ほっと胸をなでおろした次第です。
雪に備えて、スタッドレスタイヤに替える。コレ、ことが起きてから困らないようにするということ。
実は、ことが起きる前に対応するというのは、叱らないでうまく育てる犬のしつけを実践する際にも重要なことなのです。
ということで、今回は「ことが起きる前に」、というお話です。
噛んできたらどうしたらいいのですか?
噛んできらたどうしたらいいですか?
そうした質問にはこう尋ね返します。
いつどんなときに噛まれますか?
この尋ね返しに対する答えから、飼い主は3つタイプに分かれる。
まずは、いつ噛まれるかをちゃんと、把握している飼い主。
そして、いつ噛まれるかを、答えられない飼い主。
最後は、いつでも噛んでくる、といった返答をする飼い主。
ちなみに、犬の噛みには2種類あります。
嫌なことをなくすために噛んでくるケースと、いいことが起きるから噛んでくるケース。
前者は本気ガミ、後者は要求ガミ、じゃれガミなど、です。
いずれのケースも、いつ噛まれるかがわかるのであれば、事前の対応を行うことが可能です。
いつことが起きるかわからない場合は、まずメモ取りを行う
足を拭くとき噛むのなら、足を拭かない。濡れたタオルの上を歩かせたあと、乾いたタオルの上を歩かせる、その程度のことでしばらくはよしとする。と同時に、足に触れることから、足拭きというゴールに向けて少しずつ慣らしていくことです(少しずつ慣らす方法は、Vol.96を参考に)。
要求ガミやじゃれガミの場合は、その状況を作らないように、事前に遊びを始めたり、噛むものを与えたり、クレートで待機させたり、することになります。
さて先に挙げた飼い主の3つのタイプですが、1番目のいつ噛むかを把握している飼い主には、上記のアドバイスをするだけで済みます。
それ以外の飼い主にはどうアドバイスするかというと、噛む状況のメモ取りを行うことから指導します。メモ取りを行うと、噛む状況、すなわちどんなときに、誰に、ということが必ずわかってきます。
いつ噛むのかがわかれば、事前の対応が可能となるわけです。
考えてみればしつけそれ自体が事前の対応
考えてみれば、しつけそのものが、事前の対応そのものということです。
前回のコラムで記したように、すなわち問題が起きないようにする(問題犬にならないようにする)のが、適切なしつけですから。
もっとも、その適切なしつけの方法がわからなければ、予防にはならないわけでして、その方法を学ぶために「犬のしつけ方教室」という存在があるわけです。
おいおい、ことが起きたときどうしたらいいのかを聞いているのに、ことが起きる前に対応しろというのは、論点のすり替えじゃないのかって?
そうですかねぇ……
例えば、雪が降ってきて運転中、コーナーで後輪がスリップしたらどうしたらいいか。その問いに対して答えは、後輪駆動の車ならブレーキを踏まずに逆にアクセルを踏みハンドルを逆方向に切ればいい、です。
そんなことできますか?
ほとんどの方はできないわけですから、事前にことが起きないようにスタッドレスに履き替えたりチェーンを巻いたりするわけです。
実のところ、先のドライビングテクニックを有している人ほど、こうした対応をしているものです。
事前の対応を行うことで、問題を消失させる。それが肝要。そういうことなのです。
西川文二氏 プロフィール
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