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ラブラドールというやつは【穴澤賢の犬のはなし】

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。

私は犬種によって性格がある程度決まるとは思っていない。飼い主との信頼関係や環境によって違うし、ちゃんとそれぞれ個性がある。ただ経験上、犬種による気質の特徴みたいなものはあると思う。

ラブラドールの性格は?

最近、八ヶ岳にある犬OK居酒屋(兼ペンション)の「MIC HOUSE」によく行くのだが、そこにいる「エリザベス(通称ベス・♀2才)」というラブラドール・レトリーバーは、まさに典型的なラブラドールなのだ。
まず、何よりも食べることが好き。犬用裏メニューの「茹でた鶏肉」を一切れあげると、ほぼ飲み込むレベルでなくなる。絶対噛んでない。そしてすぐに「もっとくれ」という顔をする。あげると瞬殺。永遠にこの調子であげたらあげただけ全部食べるので、ほどほどにしておく。食欲おう盛な犬は多いが、その圧と勢いがすごい。何かあげても食べなかったりしたたら、即病院レベルだ。
行くといつも鶏肉をあげるから、ベスの中では私はきっと「何かくれる人」になっているに違いない。店に行くと察知して「ここから出せ!」と奥の部屋でワンワン吠え始める(そういうところはすごく敏感)。飼い主であるミクミクさんに「連れてきなよ」というと、ダッシュで来て私にすり寄ってくる。
歓迎しているというよりは「何かくれる人が来た!」という期待の眼差しで。そして私の膝にすりすりしてくるのだが、ラブラドールは下唇が左右に垂れているので、ズボンがヨダレがベタベタ付く。が、気にしない。

細かいことは気にしない。

ベスはとにかく水が好き。近くに小川が流れているのだが、一緒に散歩したときも何の迷いもなくドボンと入っていた。そして大きな枝を拾ってごきげんだった。何が楽しいんだろう。一度、池に飛び込もうとして、危うくミクミクさんも落ちそうになったことがあるらしい。
あとは、水を飲むときに周囲を水浸しにする。うちに遊びに来たときも、着くなり水をガブガブ飲んで、床をビチャビチャにしていた。しかし口の構造からそうなるのは仕方ないので、気にしない気にしない。ミクミクさんも「ベス、気にするな」と言っていた。お前が言うなよ。
一見そんなガサツそうに見えるベスだが、実はとても平和主義者で、いきなり近寄りすぎてイヌミシラーの福助にガウッと怒られるとすごすごと引き返すし、ちょっかいを出してくることもない。
そしてきっと5才を過ぎた頃から落ち着いて、7才くらいになると妙に優しい目をするようになるのだろう。私が知っているラブラドールがみなそうだったように。今のベスを見ていると、想像できないけど。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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