犬が好き
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宮古島の保健所に収容されていた臆病な姉妹犬。家族になって1年、苦手を克服しようとする姿に成長を実感

いぬのきもちWEB MAGAZINEでは、梅ちゃん・稀ちゃんとの出会いや今の暮らしなどについて、飼い主さんに2回に分けて(2021年5月/2022年5月に取材)お話を伺いました。
梅ちゃんと稀ちゃんは、一緒に保護されていた
2頭のことを知った保護主さんが引き出すことを決意し、たくさんのボランティアの方たちの協力を経て、北海道の保護主さんのところまでやってきたそうです。
「無邪気にはしゃぐ2頭の姿に元気づけられていました。もともと家族で『もし次に新しく犬を迎えることがあれば保護犬を引き取ろう』という話をしていたので、梅と稀の里親になることは私たちにとって、とても自然な選択だったように思います」
性格は違うけれど、お互いを補い合える姉妹犬

また、甘えん坊で、ちょっぴり不器用なところが梅ちゃんの可愛いところだといいます。
「梅は、稀がオモチャでひとり遊びをしているのを見て真似をしてみるのですが、上手にできずに拗ねていることも多々あります。それに、ふだんからぼーっとしていることも多いですね(笑)」

「梅がオスワリをして褒められていると、稀は『私のほうが上手だよ!』と言わんばかりに梅の一歩前に出て、アピールしてきます(笑)
また、稀は保護当時から左後ろ足を負傷しており、回復が難しいとのことで切断しているのですが、ハンデを感じさせないくらいパワフルなコに成長しています」
「家に来た初日は、2頭とも様子をうかがって遠慮がちで、おりこうさんに振舞っていましたが、それも1日で終了。
今ではどうやってゲートを開けてキッチンに侵入するか、おやつを手に入れるかを2頭で考えて、毎日挑戦しています(笑) 2頭なので喜びもイタズラも2倍です! 」
「私には妹がいるのですが、よく梅・稀の姿が自分たちに重なります。私たちと同じように真逆の性格の2頭ですが、だからこそお互いを補い合えるのかなと。とてもいい姉妹だなと感じています」
「外の世界は怖くない」と知ってもらえるように、向き合っていきたい
「外の世界は怖くないよ」ということを2頭に知ってもらえるように向き合っていきたいと、飼い主さんは話します。
「梅と稀はいろいろと大変な思いもしてきたと思うので、これからも目一杯愛情を注いでいきたいです。2頭が少しずついろいろなことに慣れてくれると嬉しいです。
そして、ひとつでも多くの幸せを感じ、毎日幸せを感じて生きていってほしいです」
【2頭のその後に迫る】前回の取材後、どのような日常を送っているのかを聞いた

「家では、梅と稀2頭をまとめて“うまれ”と呼んでいます。以前は常に一緒に過ごしていたうまれですが、最近はそれぞれ自由に過ごすことが増えています。
個人行動が増え、それぞれの性格がよりはっきりしてきたように感じます」
「梅は常にかまってほしいタイプなのですが、自分からは行かないプライドがあるようです。
たとえば、稀をなでていると遠くから『クゥーーーン』と鳴いて、恨めしそうにこちらを見ていることがしょっちゅうです(笑) 近くに行くと『なでてください』と言わんばかりに後ろ足をあげて、おなかを見せてくれます。
一方、相変わらずのアイドル気質でひとり遊びが上手な稀は、恨めしそうに見つめる梅を横目に、壊れかけているオモチャでも上手に遊んでいます。
家の中ではとても勝ち気な性格ですが、外ではまだ怖がりな一面もありますね。大きな音や棒、人や車などが怖いので、お散歩はまだまだ苦手なようです」

「個性が出てきた“うまれ”ですが、それでも『お互いが必要な存在』ということは変わらないようです。
梅はオスワリやマテなどご褒美をもらう方法を稀から学び、稀はお散歩に行くことなど外の世界や新しいことの楽しさを梅から学んでいます。
また最近の“うまれ”は、怖いときに逃げるのではなく、立ち止まることができるようになりました。ほかにも、イタズラをしたらお部屋で反省ができるようになったり、小さい一歩ですができることがどんどん増えているように感じます」
「いつか、もう少し恐怖心が減ったときにはドッグランに行って、自由に楽しくほかのワンちゃんたちと走り回るうまれを見てみたいですね!」
2頭に出会えたこと、元気でいてくれることに感謝する日々
「正直に言うと、先代犬を亡くしてから迎え入れたこともあり、以前はうまれを先代犬に重ねることも多かったように思います。でも今は、もっとそれぞれの個に向き合い、2頭をより深く観察し、知ることができています。
うまれは、家に来る前は宮古島の野生で暮らしていました。まだ小さなことでも異様に怯える姿を見ると、外でどんな生活をしていたのかと想像しては胸が苦しくなります。
今日も元気でいてくれること、それだけでも本当に感謝しています。毎日家族みんなにたくさんの笑顔をもたらしてくれているので、私たちはうまれが少しでも安心できる場所をつくり、のびのびと元気に、幸せに育つサポートができればと思っています」

「また、うまれが今我が家にいるのは、宮古島から北海道まで命を繋げてくださったボランティアのみなさんのおかげです。本当に関わってくれたすべての人に、感謝の気持ちでいっぱいです」
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